ソニーとスターテイルがイーサL2「Soneium」共同開発、Astar zkEVM移行も

ソニーとスターテイルがイーサL2「Soneium」共同開発

ソニーグループとStartale Labs(スターテイルラボ)による合弁会社(ジョイントベンチャー)Sony Block Solutions Labs(ソニーブロックソリューションラボ)開発のブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」が8月23日発表された。

「Soneium」は、Ethereum(イーサリアム)のレイヤー2ブロックチェーン。Optimism Foundation(オプティミズム財団)開発の「OPスタック(OP Stack)」により構築したという。なお「OPスタック」は、スケーリング技術「ロールアップ」のひとつである「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」を採用した独自のレイヤー2ブロックチェーンを立ち上げられるソフトウェアである。

「OPスタック」により構築された「Soneium」は、OPスタックを採用したブロックチェーンをシームレスに接続し、イーサリアムのエコシステムにおける拡張性と相互運用性の強化を目指す「Superchain(スーパーチェーン)」構想の一部のチェーンとなる。これは「Soneium」の主要資産となるアスター(ASTR)が、Base(ベース)やOptimism(オプティミズム:OPメインネット)、Mantle(マントル)等のスーパーチェーンネットワーク内のエコシステムと相互運用可能になることを意味すると説明されている。

また「Soneium」ではガス代(トランザクション手数料)をイーサリアム(ETH)とし、現時点では独自トークンを発行する予定はないとのことだ。

今回の発表によると「Soneium」は、近日中にテストネットを公開するとのこと。このテストネットは、「Soneium」の技術を活用したアプリ開発をソニーグループ内外の開発者と共創することを目的とするものだという。今後Sony Block Solutions Labsは、テストネットで開発されたアプリとともにメインネットの一般公開に向けて検討を進めていくとのこと。メインネットにより、ユーザーは各種アプリに自由にアクセスし、Web3サービスの利用が可能となるとのこと。

「Soneium」メインネットでは、ソニーグループのS.BLOXが運営する暗号資産取引サービスなどのWeb3アセットも活用するとした。

またテストネット公開にあたり、今後数週間のうちに同チェーンの技術文書や初期の開発者向けツール、SDK(ソフト開発キット)を提供する予定とのこと。また。これによりテストネットにアクセスするための明確な手順の提供により、開発者へスムーズなオンボーディングプロセスを約束するとのことだ。

なおSony Block Solutions Labsは「Soneium」ローンチにあたり、複数のパートナーと協力しているとのこと。特別パートナーであるAstar Network(アスターネットワーク)の他、Optimism(オプティミズム)、Alchemy Platform(アルケミープラットフォーム)、Circle(サークル)、Graph Protocol(グラフプロトコル)、Chainlink(チェーンリンク)がローンチパートナーとなっている。

昨年6月にStartale Labsは、ソニーグループの事業会社であるソニーネットワークコミュニケーションズと資本提携をしていた。また昨年9月にはソニーネットワークコミュニケーションズとブロックチェーンを共同開発するための新会社「Sony Network Communications Labs」設立を目的とした合弁契約の締結をしていた。

「あたらしい経済」編集部がStartale Labsに取材したところ、「Soneium」開発は元々同社とソニーネットワークコミュニケーションズとのプロジェクトだったが、本社のソニーグループへプロジェクト移管となり、改めてStartale Labsとソニーグループが資本業務提携を行い、両社が共同で「Soneium」の開発を行ったとのこと。

またこれにより、合弁会社の社名は「Sony Network Communications Labs」から「Sony Block Solutions Labs」へと、この8月に変更したとのことだ。

Astar zkEVMをSoneiumに移行へ

Startale Labsは「Soneium」発表と同日、スターテイルラボが開発に携わるイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2「Astar zkEVM」を「Soneium」へと移行する計画を発表した。なおこの移行は、2つのフェーズで構成されるAstar Evolution(アスターエボリューション)による第1フェーズだという。

この移行は、エンタテインメント、ゲーム、金融、コンシューマー・エレクトロニクスの分野で豊富な経験を持つグローバル・テクノロジー・リーダーであるソニーグループとの戦略的提携を意味するという。

このことについてStartale Labsは、「Astar zkEVM」を「Soneium」に移行することで、ソニーの広範なユーザータッチポイントを活用し、Web3技術をこれまで以上に幅広いユーザーに提供し、ASTRにまつわるエコシステムを構築できると伝えている。

これにより「Soneium」のローンチ後は「Astar zkEVM」への入金は無効となるため、「Astar zkEVM」での新たな活動は事実上停止するという。ただし出金機能には全くの影響はないとのことだ。

また「Soneium」のローンチ以降に資産の移行方法について、ユーザーと開発者向けにガイドラインを提供するとのこと。「Astar zkEVM」でリリースされたユーティリティやアセットでNFTを購入したユーザーは、それらを失うことを心配する必要はないとStartale Labsは述べている。

その他Startale Labsは、「Soneium」エコシステムの発展と成長は、Astarエコシステムとその資産に直接的なプラスの影響を与えると説明もされている。

Astar Network創設者でStartale LabsのCEOである渡辺創太氏は「Astar Networkの創設者として、Astarの価値観とそのコミュニティは私たちの最優先事項です。エコシステムを拡大し、オンチェーンでの大量採用を加速するために、Astar zkEVMをSoneium L2に移行することが正しい前進であると信じています。Astar Evolutionのフェーズ1として、Astar zkEVMをSoneium Layer 2に移行します。なおAstar Evolutionフェーズ2が控えています」とコメントしている。

なお今回の発表ではAstar Evolutionフェーズ2について、詳細は発表されていない。

参考:ソニーグループ
画像:iStocks/Who_I_am

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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