FTXが顧客へ127億ドル返還へ、裁判所命令で

FTXに顧客への127億ドルの支払い命令

破産した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXに対し、顧客への救済として127億ドル(約1兆8,693億円)を支払うよう米国の裁判所が命じたと、米商品先物取引委員会(CFTC)が8月8日発表した。

CFTCのロスティン・ベナム(Rostin Behnam)委員長は声明で、FTXは「暗号資産市場にアクセスするための安全で確実な場所であるという幻想」で顧客を引きつけ、その後、顧客の預金を不正に流用して自らのリスクの高い投資を行っていたと述べた。

返済命令は、CFTCとFTXとの間の和解を実施するものだ。同取引所は破産清算を約束しており、2022年後半の破綻時に預金がロックされた顧客に返済する。

FTXの破産申請時の口座価値に基づき、顧客は同社に対する債権を100%回収できる。

CFTCとの合意は、その返済に対する潜在的な障害を解決し、FTXに対する政府の訴訟によって顧客が利用できる資金が減らないことを保証する。 CFTCは、FTXの全顧客に利息付きで返済されるまで、FTXから支払いを徴収しないことに合意した。

CFTCの和解により、FTXは87億ドルの賠償金と40億ドルの不当利得返還金を支払うことになっており、これは取引所の破綻中に被った損失に対する被害者へのさらなる補償に使用される。

ロイターはFTXにコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

同社の創設者サム・バンクマン=フリード(Samuel Bankman-Fried:SBF)氏は、顧客から80億ドルを盗んだとして3月に懲役25年の判決を受けた。同氏は有罪判決を不服として控訴している。

FTXは破産を機に、米国の規制当局や元ビジネスパートナーとの和解を成立させ、不動産や暗号資産、その他のテクノロジー企業への投資など、不正に流用された顧客資金で購入された資産を売却した。

FTXは現在、破産計画に対する投票を求めているが、2022年11月から大幅に下落した暗号資産価格に基づいて返済するという決定に不満を抱く一部の顧客からの反対に直面している。投票期限は8月16日で、FTXは10月7日に破産計画の最終承認を求める意向だ。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto exchange FTX ordered to pay $12.7 billion to customers, US CFTC says
(Reporting by Jasper Ward and Dietrich Knauth, writing by Dietrich Knauth and David Ljunggren; Editing by Rod Nickel, Kirsten Donovan)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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