三井倉庫ロジスティクス、ブロックチェーン活用の物流管理システムを本格稼働

三井倉庫ロジスティクスがブロックチェーン活用の物流管理システムを本格稼働

家電量販大手の上新電機向けの店舗配送業務において、ブロックチェーン技術を活用した物流管理システムが導入および本格稼働を開始した。同社の物流運営を支援する三井倉庫ロジスティクス(MSL)が8月7日発表した。

なお同システムを構築したのは、LOZIとZEROBILLBANK JAPAN(ZBB)および東芝デジタルソリューションズ。LOZIとZBBが共同で開発した物流DX支援パッケージ「Trace Ledger」を中核に、東芝のブロックチェーン基盤「DNCWARE Blockchain+」を連携して構築したという。

「Trace Ledger」は、LOZIのSmartBarcode技術を活用することで、出荷から販売店舗での検品まで、物流に関わるサプライチェーン関係者がスマートフォンなどの携帯端末でQRコードを読み取り、拠点や役務に応じたトレースデータの記録、蓄積、共有が可能とのこと。

なお入力されたデータは、ZBBのブロックチェーン基盤管理プラットフォームを経由して、「DNCWARE Blockchain+」に保存されるとのこと。

ちなみに「あたらしい経済」編集部が東芝に取材したところ「DNCWARE Blockchain+」は、同社の独自開発したブロックチェーン基盤とのこと。東芝の実績あるクラスタ技術(複数のコンピューターを連携させてひとつのシステムとして動作させる技術)をベースに開発されているという。

当該物流管理システムに「DNCWARE Blockchain+」を採用することで、改ざんなどの不正防止を実現したとのこと。

また同システム導入により、「ペーパーレス化によるドライバー拘束時間の削減と環境負荷の低減」がされたという。帳票や伝票など配送にかかる紙の帳票のデジタル化により、現場とのシームレスなやり取りや事務処理の効率化を実現。またシステム上で連携し配送情報を事前に共有することで、ドライバーが施設に到着後すぐに検品、積込み作業を開始できるようになり、ドライバーの拘束時間を削減し、直面する物流・運送業界の「2024年問題」にも対応するという。さらに紙の削減によりCO2削減効果も見込まれ環境負荷低減にも貢献するとのこと。

ちなみに物流・運送業界の「2024年問題」とは、働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題のこと。 ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されることで、一人当たりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなることが懸念されている。

その他にも同システム導入の効果として、「物流情報の透明性向上」が期待されるという。商品の出荷から納入までの取引履歴をブロックチェーン上に記録することで、リアルタイムでの追跡・管理情報が共有されながら、不正行為の抑止にも貢献するとのこと。物流情報の透明性を大幅に向上させることで、安心できる企業間の情報管理が可能になるという。

そして同システムはサプライチェーン全体の最適化にも繋がるとのこと。トレーサビリティの可視化や事業者間での情報共有が迅速化されることで、貨物の追跡や異常時のタイムリーな対応が可能となるとのことだ。

関連ニュース

参考:三井倉庫ロジスティクス
images:iStocks/your_photo・Rudzhan-Nagiev

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【9/19話題】グーグルクラウドの新RPCサービス「Blockchain RPC」、BitGoが独自ステーブルコイン「USDS」など(音声ニュース)

グーグルクラウド、新RPCサービス「Blockchain RPC」開始、カストディ大手BitGo、独自ステーブルコイン「USDS」を来年1月に発行へ、英レボリュート、独自ステーブルコイン発行を計画中か=報道、サークルの米ドルステーブルコイン「USDC」、ブラジルとメキシコの法定通貨から直接利用可能に、コインベースにZetachain(ZETACHAIN)とAleo(ALEO)上場へ、TON財団とカーブファイナンスが提携、TON基盤のステーブルコインスワップ開始、ブラックロック、ビットコインを「ユニークな分散投資」の資産として概説するレポート公開、テザー社、2024年Q2の監査情報を開示。1184億ドルの準備金を保有

Sponsored

ビットコインL2「スタックス(STX)」がアプトス(APT)と統合、BTC導入に向け

スマートコントラクト導入のビットコイン(BTC)レイヤー2ネットワーク「スタックス(Stacks)」が、レイヤー1ブロックチェーン「アプトス(Aptos)」と統合し、「アプトス」上でのBTC導入を計画している。両プロジェクトが暗号資産メディア「ディクリプト(Decrypt)」の報道を引用する形で9月17日発表した

ブラックロック、ビットコインを「ユニークな分散投資」の資産として概説するレポート公開

米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)のアナリストらは、ビットコイン(BTC)をマクロ要因の影響を最小限に抑えた資産とし、同暗号資産が財政、金融、地政学的リスク要因のいくつかに対して「ユニークな分散投資」の資産である理由を概説するレポート「Bitcoin : A Unique Diversifier」を9月18日に共有した

【9/18話題】プログマらの「ステーブルコイン決済プロダクト」が実運用向け開発へ、トランプのDeFiトークン「WLFI」販売計画など(音声ニュース)

プログマとデータチェーン、「ステーブルコイン決済プロダクト」を実運用向け開発フェーズに移行、サークル「USDC」、Suiにネイティブ対応へ、トランプ一族のDeFiプロジェクト、独自トークン「WLFI」販売計画が明らかに、親クリプト派議員マクヘンリーとエマー、エアドロップに対するSECの姿勢問う書簡をゲンスラー委員長に送る、豪中銀、CBDCはホールセール向け優先と決定、ブータン政府、1000億円超のビットコイン保有か=アーカム、イーサリアム次期大型アップグレード「Pectra」、2分割での実施を検討、分散型デリバティブ「ベガプロトコル」がベガチェーンとVEGAトークンのサポート終了へ

Sponsored