株式会社電通が、ブロックチェーン技術を活用したコンテンツのマネタイズについて共同研究プロジェクト「n次流通プロジェクト」を開始することが明らかになった。
共同研究プロジェクトの参加企業は、株式会社電通国際情報サービス、株式会社VOYAGE GROUP、シビラ株式会社、株式会社角川アスキー総合研究所、株式会社朝日新聞社、スタートバーン株式会社となる。
目的は、原著作者ら一次創作者と連携し、原著作者とn次創作者の双方が受け取るインセンティブについて設計を行うことで、コンテンツの新しいマネタイズ可能性を検討していく ・同プロジェクトは、2020年3月に実証実験が行われる予定で、角川アスキーは運営している雑誌・コミックなどが読める「ePub viewer for twitter」サービスを通して協力予定となっている。
・あたらしい経済編集部は、電通広報局広報部の中島亜希氏にプロジェクトに関する2つ質問を投げかけた。
1.電通として、ブロックチェーン領域がビジネスチャンスだと思ったポイントは何でしょうか?
情報流通の中央管理によって成り立っていた消費者との情報接触手段が,協力者を介した「横断・ボーダレス」型へと変化する時代認識のもとで、協力者であるn次流通・創作の関与者についても正当なインセンティブを享受すべき対象と捉えた新しいコンテンツ価値の評価システムについて、検討を始めることとしました。
誰が n 次の流通・創作に関与することがロングテールで見た場合にオリジナルのコンテンツにより多くの付加価値(創作者の与信をともなってのコメントや見通しの確かさだったり、情報の真正性だったり)を生み出しているかを判定したいと考えています。
2.インセンティブを他の金融商品として扱うことや、他のプラットフォームへの展開を考えていますか?
今後の共同研究先との議論を通してインセンティブのあり方を検討予定ですので、現段階では想定となりますがNFT(Non-Fungible Token/非代替トークン: 日本円などの法定通貨との換金性・換金機能を有しない暗号化されたトークン)とする見通しです。今後、そのトークンに対して機能を付与する際に、交換券として金融商品にすることに合理性が見出せるならば、そのような展開も可能性としてはあり得ますが現状未定です。
なお、他のメディアへの展開ありきで当初より設計作業を進めていく方針ですので、プラットフォーム横断でのコンテンツトレーサビリティの実現に繋げられたらと考えています。
編集部のコメント
電通は2016年に、三菱地所、電通国際情報サービスと共に、国内初で最大のFinTech産業拠点「FINOLAB」を立ち上げ、運営しています。そして2018年3月1日に、電通は社内横断組織「電通ブロックチェーンコミュニティー」を発足させています。これまで、電通はブロックチェーンに対して、コミュニティやリサーチ中心でありましたが、事業のタネとなりうる実証実験を開始したことは、国内にとって大きな動きだと、あたらしい経済編集部は考えます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:antoniokhr)