Fireblocks、認可済みカストディアンへのネットワーク提供へ、NYDFS規制下の信託会社設立も

Fireblocksが高まる規制基準に対応する取り組み開始

米Fireblocks(ファイアブロックス)が、規制認可されたデジタル資産カストディアンによるグローバルネットワーク「Fireblocks Global Custodian Partner Program(ファイアブロックス・グローバル・カストディアン・パートナープログラム)」の開始を5月10日発表した。

発表によると同プログラム本番稼働後ファイアブロックスの顧客は、同社プラットフォーム上でデジタル資産の運用をシームレスに管理しながら、認可済みのデジタル資産カストディアンに接続できるとのこと。ファイアブロックスのネットワーク上に構築された、流動性プール、取引所、オン/オフランプ、ステーキングといったサービスだけでなく、対象国でライセンスを受けたカストディアンへの単一のアクセスポイントとしてファイアブロックスのインフラが使用可能になるとのことだ。

具体的には、ファイアブロックスの顧客であれば、同プログラムに参加している規制認可済みカストディアンによるソリューションが利用可能になるというわけだ。

なお同プログラムには、米国、アラブ首長国連邦、英国、シンガポール、タイ、オーストラリアに拠点を置く認可済みカストディアンが参加するという。プログラムの本格稼働は、第2四半期中(4~6月)とのことだ。

また今回ファイアブロックスは、顧客の資産保護サービスへのアクセスを容易にするために、ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)規制下の信託会社「Limited Purpose Trust Company(LPTC)」を設立する意向も発表している(「LPTC」は、米国NY州銀行法に基づく認可を受けた信託会社の一種)。

最終的な承認を得たのち、「LPTC」となるFireblocks Trust Company(ファイアブロックス・トラスト・カンパニー)は米国顧客へコールドストレージカストディソリューションを提供する予定とのことだ。NY州のサイトによると同社は5月3日に同州へ申請がされている。

つまりこれによりファイアブロックスの顧客は、NYDFS規制下のカストディソリューションを利用したビジネス展開が可能になる。

ファイアブロックスの企業開発およびパートナーシップ担当のシニア・バイス・プレジデントであるアダム・レヴィン(Adam Levine)氏は、「世界的なカストディアンの状況は急速に進化しており、グローバル・カストディアン・パートナー・プログラムの開始は、多様なソリューション ネットワークに対する需要の高まりに応えるための大きな一歩です」とコメントしている。

なおファイアブロックスによると、「グローバル・カストディアン・パートナープログラム」には今後数か月のうちにさらに多くのカストディアンが参加する予定とのことだ。

SECは今年3月、暗号資産のカストディを検討している機関に対する規制当局の会計ガイドラインの概要を示す「SAB 121(Special Accounting Bulletin 121)」を発表。同ガイドラインには、銀行が顧客に代わって暗号資産をカストディすることを禁止する内容が含まれている。

「SAB 121」を覆す新法案が5月8日に米下院で可決したが、ホワイトハウスはこれに対し拒否権を行使すると表明している。

今回のファイアブロックスによる同プログラム開始は、このような規制要件や、ビットコインETFの盛り上がりなどによる、デジタル資産分野における認可済みカストディアンに対する機関の需要の高まりに対応するものになると考えられる。

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参考:ファイアブロックスNYDFS
images:iStocks/Максим-Ивасюк・Thinkhubstudio

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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