三菱UFJ銀行が、ブロックチェーン基盤の貿易金融プラットフォーム「komgo」を活用し信用状を発行
株式会社三菱UFJ銀行が、ブロックチェーン技術を基盤とした貿易金融プラットフォーム「komgo」を活用して、信用状を発行したことを発表。(信用状とは、貿易決済を円滑化するための手段として、銀行が発行する支払い確約書のこと)
「komgo」は、KomGo社が開発をした、ブロックチェーンプラットフォーム ・同社は、主に貿易取引におけるペーパレス化やプロセスの自動化を進め、業務効率の向上を図るために2018年8月に設立された企業。
また同社の設立は、三菱UFJ銀行および海外の大手金融機関、石油メジャー(シェル)、コモディティ商社等の計15社の株主によって行われた。なお三菱UFJ銀行はアジアにおける唯一の株主とのこと。
三菱UFJ銀行は「komgo」を通じて信用状、スタンドバイ信用状、売掛債権の買取を含めた多岐に亘る貿易金融商品のデジタル化、本人確認(KYC)手続きの効率化、暗号化による貿易金融に係る当事者が送受信する文書やデータのセキュリティ向上に取り組んでいる。また同行は「komgo」を活用して他株主と共にグローバルベースでのコモディティ取引における貿易金融のデジタル化を推進している。
今回発行された信用状は、同行ロンドン支店にて、コモディティ商社である Mercuria Energy Trading社の実取引に基づき発行されたものであり、同行におけるkomgoを活用した第一号案件となるとのこと。
編集部のコメント
KomGo社は三菱UFJ銀行の他にABN AMRO, BNP Paribas, Citi, Crédit Agricole Group, Gunvor,ING, Koch Supply & Trading, Macqurie, Mercuria, Natixis, Rabobank, Shell, Société Générale, SGSが株主となっています。(プレスリリース参照)
貿易×ブロックチェーンの最近の日本企業の取り組みとして、株式会社NTTデータが「タイ商業・工業・金融合同常任委員会」と共同で、NTTデータが提供するブロックチェーン貿易プラットフォームを活用した共同実証実験を2019年7月から10月に実施したことを同年11月に発表しました。
同実証実験は、貿易文書を電子化した際の貿易関連業務における有効性を検証・報告することを目的として行われ、貿易手続きの時間・コストが最大約60%の削減が見込めること、および、異なる金融機関から不正に二重の融資を受ける「ダブルファイナンス」を防止できることが確認されました。
なおこの実証実験は、タイ政府の国家戦略であるNational Digital Trade Platformプロジェクトの一環として行われ、貿易関連業務に係わる24企業が参加しています。
コメント:大津賀 新也(あたらしい経済)
(images:bugphai)