プログマコイン発行のステーブルコインを貿易決済に
三菱UFJ信託銀行、Progmat(プログマ)、STANDAGE(スタンデージ)、Ginco(ギンコ)の4社が、「国産ステーブルコイン(SC)」の貿易決済への活用に向けた共同検討を開始する。
このSCは、日本法に準拠したステーブルコイン発行・管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」を活用し、発行を検討するという。スタンデージ開発のブロックチェーン貿易決済システムと「プログマコイン」を連携することで、「国産SC」活用による安全・迅速・確実な国際企業間決済が実現可能になるとのこと。
この共同検討を通じて、スムーズな米ドル決済を行うことができず困難を極める対新興国貿易において、「国産SC」を活用した貿易決済のユースケース創出を2024年内に目指すとのことだ。
なお対新興国貿易では、1,000兆円を超える取引規模がありながら、情勢や経済制裁による外貨規制や、信用状取引の利用制限といった問題で、スムーズな米ドル決済を行うことができないとのこと。これにより送金に数カ月もの時間がかかることや、多国・多数の銀行を経由するための手数料がかさむ等、不平等や不利益を抱えたまま、現在も世界中で取引が行われているのが現実とのことだ。
そのうえで、新興国向けに実貿易を行っている日系企業の協力のもと、スタンデージの貿易決済システムとパーミッションレスブロックチェーン上の仮想の「国産SC」を用いた送受金の実証を行うという。
また国を跨ぐ事業者間の送受金取引にウォレットを用いる場合は、事業者内の承認フローや日本語でのサポートが受けられる新たなウォレットの存在が不可欠とのこと。そのため貿易決済に用いる国内事業者が受容可能な新規ウォレットの開発をスタンデージとギンコが共同で進めるとのこと。
そのためこの共同検討では、プログマが「プログマコイン」基盤を提供し、スタンデージが同SCを活用した貿易決済システムを開発する他、三菱UFJ信託銀行が信託型SCスキームにおける信託業務の執行、ギンコが「Ginco Enterprise Wallet」の提供および今回のユースケースに最適化したウォレットを共同開発するとのことだ。
なお仮想「国産SC」を用いた送受金の実証は、今春までに1例目を創出するのが目標とのこと。またウォレット開発については同じく今春にベータ版を完成させ今年中に正式版提供を目指すとのことだ。
「プログマコイン」については、前払式支払手段による日本円SC「JPYC」の信託型による発行に向けた検討が昨年11月に開始した。
その他にも「プログマコイン」を活用したSC発行の検討事例として、プログマ・三菱UFJ信託銀行・ギンコによる暗号資産(仮想通貨)交換業者間における資金決済向上を目的としたSCが昨年11月より検討開始している。なお発行検討されているのは、円貨建ての「XJPY」と米ドル建ての「XUSD」の2銘柄のSCだ。
さらに昨年9月には、三菱UFJ信託銀行とBinance Japan(バイナンスジャパン)が「プログマコイン」を活用し、円貨建てと外貨建てのSC発行を検討開始している。
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