任期中は認めない姿勢
米国の前大統領ドナルド・トランプ氏が、自身が次期大統領に就任した場合、「米連邦準備制度理事会(FRB)による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を認めない」とした姿勢を1月17日に行われた選挙演説にて示した。オンラインニュース「ポストミレニアル(The Post Millennial)」が同日報じている。
現在トランプ氏は、今年の11月5日に行われる米大統領選挙に向け、共和党の指名候補者となるべく同党の予備選挙を戦っている。同氏の支持率は1月14日の時点で61.4%となっており、他候補者より大きくリードしている状況だ。
報道によれば、米ニューハンプシャー州ポーツマスで行われた選挙演説にてトランプ氏は、「皆さんの大統領として私は、CBDCの発行を決して許さない」と表明。CBDC発行が、銀行引き揚げや政治的な武器となり得る危険性をはらんでいると強調したという。
トランプ氏は、CBDCによって連邦政府が国民のお金を絶対的支配下に置くことになると考えているようで、「(CBDCの発行は)自由に対する危険な脅威」だと指摘した。銀行や規制当局が国民のお金を引き出そうとすることに対して「強力な保護を導入する」と述べた。
また同氏は「私が大統領であるうちは、そのようなことは絶対に起こらない」と強い言葉で意志を表明している。
資産がトークン化でき、クロスボーダー取引などで有用性が認められるCBDCは、世界各国で実証実験が行われ、導入に対して積極的な向きの国もある。
一方米国ではここ数年、CBDCがドルの中央集権化を引き起こし、デジタルウォレットを通じて米国人をコントロールするために使われる可能性があるとの批判の声も上がっていた。
FRBの理事であるミシェル・ボウマン(Michelle Bowman)氏は2022年8月、「金融とイノベーション」をテーマとしたカンファレンスにて講演を行い、アメリカにおけるCBDCに対する消極的な意見を表明。
そこでボウマン氏は、FRBが開発を進める全米決済システム「FedNow」の稼働により、CBDC導入の必要性はなくなるという見解を示した。
なお「FedNow」は昨年7月より稼働開始している。
また昨年7月には米ニューヨーク連邦準備銀行のニューヨーク・イノベーション・センター(NYIC)が、CBDCの概念実証(PoC)の結果を発表し、国内決済において分散型台帳技術(ブロックチェーン)が決済イノベーション促進に役立つ可能性があるとの結果を報告していた。
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参考:The Post Millennial
images:iStocks/Reuters