ヴィタリック、プルーフオブステーク(PoS)の簡素化を提案

ヴィタリックがプルーフオブステークの簡素化を提案

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムで現在採用しているコンセンサスアルゴリズム「プルーフオブステーク(PoS)」を簡素化する提案を行った。

この提案は、イーサリアムのフォーラムとして使用される「イーサリアムリサーチ(Ethereum Research)」にヴィタリックが12月27日に投稿したものだ。

ヴィタリックによると、現在のイーサリアムのコンセンサスアルゴリズムは多くのバリデーターをサポートするための構造であるという。そのため署名の処理に大きな負荷がかかっており、今後バリデーターやユーザーが増加すると、さらに負荷は増加するとのことだ。

ヴィタリックは提案の中で、イーサリアムがブロックを1つ生成するごとに多くの署名を必要としていることを指摘。この提案が提出された日には、イーサリアムでは最大で約2万8,000件の署名を処理する必要があったと語っている。

この問題を解決するため、必要な署名数の上限を約2万8,000件から8192件にまで減らすというのが今回の提案である。

そのための方法としてヴィタリック氏は3つのアプローチを紹介している。

1つ目は、イーサリアムのバリデーターになるために必要な最低のデポジット額を4094ETHに引き上げること。これによりバリデーターの数自体に実質的な上限を設定するという方法だ。

2つ目は、ステーカーを最低4096ETHをステーキングする「ヘビー層」と最低金額を設定しない「ライト層」の2つに分ける方法だ。

そして3つ目は、ブロック毎にバリデーターを4096人選出し、毎回バリデーターを交代する方法だ。

なお今回の提案は、これら3つの方法に限定するものではなく、全く異なるアプローチも含めたいずれかのアプローチで、必要な署名数を8192にまで抑えるという内容である。

これが実現すれば、技術実装者だけでなくライトクライアントなどのサイドインフラストラクチャを構築することも、より簡単になるとのことだ。

ヴィタリックは定期的にイーサリアムネットワークへの提案を行なっており、12月24日には、イーサリアムのプロトコルに「zkEVM」を実装する考えを自身のブログにて明らかにした。

なお「zkEVM」は、暗号技術「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)」を活用して、イーサリアムの仮想マシンであるEVM(イーサリアム仮想マシン)に代わってコントラクトやブロックチェーン内のステート(状態)の変化を計算する仮想マシンだ。

関連ニュース

参考:イーサリアムリサーチ
images:iStocks/BlackSalmon

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【4/4話題】イーサリアム「Pectra」メインネット実装は5/7に、米下院がステーブルコイン規制「STABLE法」可決など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米SEC、フィデリティのステーキング対応「ソラナ(SOL)現物ETF」の上場申請を受理

米証券取引委員会(SEC)が、米証券取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)によって提出された、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)の現物価格に連動するETF(上場投資信託)「フィデリティ・ソラナ・ファンド(Fidelity Solana Fund)」の上場および取引に関する提案書を受理した。SECが4月3日に公表している

ブラックロック、英国で暗号資産事業者の登録完了

米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)の英国部門であるブラックロックインターナショナル(BlackRock International)が、英国の規制当局である金融行為監督機構(Financial Conduct Authority:FCA)から、暗号資産(仮想通貨)事業者としての登録承認を4月1日付で受けた。登録情報はFCAの公式サイトで確認できる