英国のビットコイン擁護団体、英政府へチェース銀行UKの反クリプト政策の見直しを要請

ビットコイン擁護団体が書簡を送る

英国のビットコイン擁護団体「ビットコインポリシーUK(Bitcoin Policy UK)」が、英国政府に対し、チェース銀行UKの暗号資産(仮想通貨)取り扱い停止を見直させるよう要請している。同団体が、英国財務省の経済長官であるアンドリュー・グリフィス(Andrew Griffith)氏へ9月28日に送った書簡にて明らかとなった。

なおチェース銀行は、JPモルガン・チェース銀行ヨーロッパ(J.P. Morgan Europe Ltd.)の登録商標および商号だ。

同銀行が暗号資産取引を停止することは、ブルームバーグが9月26日報じていた。

チェース銀行UKの顧客は10月16日から、デビットカードや銀行送金による暗号資産取引を行えなくなるという。またチェース銀行UKは、この決定の理由を「顧客資産を不正取引や詐欺から守るため」だと説明。背景として英国ユーザーをターゲットにした暗号資産詐欺の件数が増加していることを挙げている。

ビットコインポリシーUKは書簡にて「もとより、英国が暗号資産のハブになることは、政府の公言した政策であるが、この政策目的と英国規制下の銀行の行動を一致させるのは難しい」と述べている。

当時英財務相だったリシ・スナック(Rishi Sunak)英首相は昨年4月、「英国を暗号資産技術の世界的なハブにすることが私の野望」とコメントしていた。

また、ビットコインポリシーUKはチェース銀行UKが方針転換の理由として挙げた、詐欺などから顧客資産を守るためという主張についても言及。

暗号資産業界がそういった問題に悩まされていることは認めた上で、「最新のデータは、この分野が他分野と比べても特に詐欺的であるという見解を裏付けるものではない」とし、暗号資産犯罪活動の分析企業チェイナリシス(Chainalysis)による2023年のレポートでは、「全体として、暗号資産における不正な活動は、総量に占める割合が依然として1%未満と小さく、実際には約0.24%だ」と報告されていると述べた。

また米大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)のCEOであるブライアン・アームストロング氏は9月27日、X(旧Twitter)にて、チェース銀行UKの対応を批判。グリフィス氏をメンションし「どうやらチェース銀行UKはあなたの政策目標を尊重していないようだ」と述べ、「英国の暗号資産保有者は、このような扱いを受けるのであれば、チェース銀行UKの口座を閉鎖すべき」とポストしている。

関連ニュース

参考:書簡ブルームバーグ
デザイン:一本寿和
images:iStock/Wayne-Marinovich

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した