バイナンス対SEC訴訟で
米ドルステーブルコイン「USD Coin(USDC)」を発行する米サークル(Circle Internet Financial)が、米証券取引委員会(SEC)に対し、「決済用ステーブルコインは証券ではない」との考えを表明した。サークルが米地裁に9月28日に提出した書類にて明らかとなった。
この提出書類は、大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)とSECが争っている訴訟に対し提出されたものだ。
SECは、バイナンス提供の米ドル連動型ステーブルコイン「Binance USD(BUSD」が有価証券にあたると主張しており、これに対しサークルが意見を提出した形だ。
提出書類にてサークルは、「決済用ステーブルコインは、それ自体では投資契約の本質的な特徴を持たない」とし、「BUSDは、購入者に利益をもたらす可能性を与えるものではない」と主張している。
またSECは有価証券か否かを判断する際の基準として「投資によって利益を合理的に期待できるか」ということを挙げている。サークルはこの点に触れ、「決済用ステーブルコインの販売は単なる資産売却に過ぎない」とし、「資産売却は、売り手による売却後の約束や義務から切り離されたものであり、投資契約を成立させるには不十分」だと指摘。
決済用ステーブルコインの販売は発行者の努力に基づくものではないため、SECは決済用ステーブルコインを管轄できないと主張している。
バイナンスと同社CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏は6月5日、SECより提訴された。
SECは、バイナンスが取引量を人為的に膨らませ、顧客の資金を流用した他、米国の顧客が国外の交換所で取引できるようにし、市場規制について投資家に誤解を与えたなどと指摘。ワシントンDCの連邦裁判所に提出された訴状には、バイナンスとCZ氏、同社の米交換所運営会社に対する13の容疑が記載されており、その内容にはBNBトークンやBUSDトークンの販売も含まれ、ステーブルコインの提供が未登録の証券募集にあたるとの主張も含まれている。
バイナンスとCZ氏は9月21日、SECの訴訟はその権限を越えていると主張し、SECの訴訟の却下するよう裁判所に求めている。
広範囲での規制進める姿勢のSEC
SECは暗号資産や取引所のみならず、ここ最近ではNFTへの取り締まりも行っている。
8月には米ロサンゼルス拠点のメディア・エンターテインメント企業であるインパクト・セオリー(Impact Ttheory)をNFTの未登録証券募集を行ったとして起訴。NFTがこのような法的措置の対象となるのは、これが初の事例であった。
SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は9月12日、暗号資産を株式のような他の証券と同じ法律に従うべきだとの考えを上院金融・住宅・都市問題委員会の公聴会に向け、明かしていた。
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参考:提出書類・ 提訴取り下げの要求書
デザイン:一本寿和
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