イーサリアムコミュニティでDeFiハッキングに対応する「ERC7265」が提案

DeFiハッキングに対応する規格「ERC-7265」が提案

イーサリアム(Ethereum)のコミュニティメンバーが、DeFi(分散型金融)プロトコルのセキュリティを向上させるための新規格「ERC-7265」を7月3日に提案した。

同規格は、ハッキングによる資金流出被害を抑えるための機能「サーキットブレーカー(Circuit Braker)」をスマートコントラクト内に搭載する提案だ。「サーキットブレーカー」は、スマートコントラクト内の大規模な資金の移動を検知し、その資金移動実行を一時的に遅らせる「バックストップ」発動により機能する。

なお同規格は、DeFiでは一般的な「ガバナンスによってアップグレードが可能なプロトコル」向けに設計されている。

開発者の一人であるメア・バンク(Meir Bank)氏によるとDeFiのプロトコルの更新は、そのほとんどがガバナンスによって行われるため、通常ハッキングに気づき復旧作業を行うときにはすでに手遅れだという。

しかし「サーキットブレーカー」を正しく設定して導入すれば、デメリットはほとんど無しに資金の流出被害を抑えられるそうだ。

なお「ERC-7265」は、まだ提案されたばかりであるため、イーサリアムのコアチームが完全な提案として受け入れるかは分かっていない。しかしバンク氏はツイッターで「私たちは、DeFiを救うために今後も教育を続けていくつもりです。将来あなたのプロトコルにERC-7265を使うことに興味があれば、遠慮なく声をかけてほしい」とコメントしている。

ちなみにERCはEthereum Request for Commentsの略であり、EIP(Ethereum Improvement Proposal、イーサリアム改善提案)のうちアプリケーションレベルのものを指す。トークンの規格として採用される「ERC-20」や「ERC-721」もERCの1つである。

はじめてのビットコインはメルカリで

関連ニュース

参考:ギットハブ
デザイン:一本寿和

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

Sponsored

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した