Datachain・三菱UFJ信託銀行・TOKIが技術提携、ステーブルコインのクロスチェーンインフラ構築で

Datachain・三菱UFJ信託銀行・TOKIが技術提携

三菱UFJ信託銀行、Datachain(データチェーン)、TOKI(トキ)の3社が、技術提携の開始を6月2日発表した。

この技術提携は、マルチチェーンで展開されるステーブルコインのクロスチェーン取引を可能にするインフラ構築を目指すために行われたとのこと。

三菱UFJ信託銀行が推進するステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」によって発行される予定のステーブルコインが、様々なパブリックブロックチェーン上で発行・流通されることを想定して、3社はインフラ構築を行うようだ。

なお「Progmat Coin」を用いた各種ステーブルコインは、6月1日に施行された改正資金決済法により、取り扱う仲介業者がライセンス登録を完了し次第、発行・流通が可能になる予定となっているとのこと。また「Progmat Coin」によるステーブルコインは、イーサリアムやコスモス、アバランチ、ポリゴン等のパブリックブロックチェーンを含む各種ブロックチェーン基盤上でのステーブルコインの発行が想定されているとのことだ。

発表によるとクロスチェーンインフラの構築によって、次の3つのユースケースを想定しているとのこと。

異なるパブリックブロックチェーン上のステーブルコイン同士の交換をする「クロスチェーンスワップ」。NFTやガバナンストークン等の異なるパブリックブロックチェーン上のステーブルコインによる決済を行う「クロスチェーン決済」。そして、異なるブロックチェーン上のレンディングプロトコルでステーブルコインを活用した取引を実行する「クロスチェーンレンディング」とのことだ。

3社によるこのクロスチェーンインフラ構築の取り組みは、2024年第2四半期の実現を目処に推進していくとしている。

なお現在TOKIは、パブリックブロックチェーン間でクロスチェーン取引を可能にする「クロスチェーンブリッジ」の開発を行っており、2023年内にローンチし、グローバルでの提供を予定しているとのことだ。

2022年9月に三菱UFJ信託は、クロスチェーン決済実現に向けDatachainと協業を開始していた。今年4月にはステーブルコインを用いたデジタル証券のクロスチェーン決済による技術検証に成功したことを発表していた。

その技術検証では、「Progmat Coin」のブロックチェーン層の1つである「Corda(コルダ)」と、「Progmat」以外のデジタル証券を扱うブロックチェーン基盤を想定した「GoQuorum(ゴークオーラム)」を相互接続し、両ブロックチェーン上のトークンの同時移転を実現したとのことだった。

なお「コルダ」は、企業間取引での利用に特化したブロックチェーン。米R3社が開発している。また「ゴークオーラム」はイーサリアムをベースとした企業向けのブロックチェーンである。

これまではコンソーシアム型のブロックチェーンでの技術検証が行われていたが、今回のクロスチェーンインフラ構築はパブリックブロックチェーンに関わるものとなる。

関連ニュース

参考:三菱UFJ信託銀行
デザイン:一本寿和

images:iStocks/metamorworks

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【9/6話題】テレグラムCEOが逮捕後初の声明、トランプが米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言など(音声ニュース)

テレグラムCEO、逮捕後初の声明発表。同社使命に同意できない国からは撤退の意志も、トランプ、米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言。イーロンマスクと共に米政府財務監査行う姿勢も、スイ(SUI)、機関投資家向け米ドルステーブルコイン「AUSD」利用可能に、モジュラーブロックチェーン「Elixir」、最終テストネット公開、EigenLayer、メジャーアップデート「アイゲンポッドアップグレード」導入、FlowがEVM対応開始、メタマスクでも利用可能に、TONブロックチェーン、総トランザクション数が10億件を突破、半数は3か月、Penpieで27Mドルの不正流出、Pendleは105Mドルの保護に成功

Sponsored

暗号資産決済Mercuryoがマルチチェーンデビットカード提供開始、マスターカードと提携で

暗号資産(仮想通貨)決済プラットフォーム「マーキュリョ(Mercuryo)」が決済大手の米マスターカード(Mastercard)と提携し、ノンカストディアル型のウォレットから暗号資産を直接使えるマルチチェーンデビットカード「スペンド(Spend)」の提供開始を9月5日発表した