韓国地裁がLUNAは証券ではないとの見解、クオン氏の弁護士は米SECの提訴を否定

韓国地裁「ルナは非証券」

昨年5月に暴落した暗号資産(仮想通貨)「テラ:Terra(LUNA:ルナ)」が、証券ではないとの見解を韓国地裁が示した。地元紙が4月24日報じている。

報道によるとソウルの南部地区裁判所は、「LUNA」発行元であるテラフォームラボ(Terraform Labs)の元CEOで共同創業者のシン・ヒョンソン(Shin Hyun-seong)氏に対する証券違反の告訴を却下したとのこと。裁判所は棄却決定文で「ルナコインは資本市場法で規制する金融投資商品に該当するとは見にくい」と明記したという。

裁判所は、シン・ヒョンソン氏を証券法違反で同氏逮捕を求める検察の上訴を却下している。また同氏の財産押収についても、請求対象となる財産が犯罪で取得したものとは判断しかねるという理由から却下している。

異なるSECの見解

今回の韓国の地裁による判断は、米証券取引委員会(SEC)との見解とは対照的だ。

SECは2月、「LUNA」及びテラフォームラボ、その創業者ド・クウォン(DoKwon)氏を証券詐欺指揮の罪で提訴している。

クオン氏の弁護士はこの提訴について、同氏のどの行為が米国法に抵触するかについて公正な通知・明確な説明を受けていないと述べており、この提訴が棄却されるべきだと主張している。

テラの騒動

ド・クオン(DoKwon)氏が立ち上げたテラフォームラボは、暗号資産「LUNA」とアルゴリズム担保型米ドルステーブルコイン「テラUSD:TerraUSD(UST)」を発行していた。

テラUSDは、法定通貨の価格に連動する「ステーブルコイン」としてかつては世界の暗号資産上位10位内に入っていたが、昨年5月に1USD=1USTのペッグが崩壊し暴落。USTやLUNAなどの暗号資産が無価値となり、世界の投資家の間で総額420億ドルの損失が発生したとの試算もあり、投資家らから詐欺で訴えられている。その後インターポールの手配リストにも掲載された。

昨年6月に韓国捜査当局がテラプロジェクトの関係者に出国禁止令を出し、同年9月には、韓国の裁判所がド・クオン氏を含む6人に逮捕状を発布していた。

3月23日には、ド・クオン氏と同氏の側近とされるホン・チャンジュン(Hon Chang Joon)氏が、ドバイ行きのフライトのパスポート審査で偽造パスポートを使用したとして、文書偽造の犯罪容疑でモンテネグロの空港にて逮捕された。現地の裁判所にてこの罪が裁かれた後、両名の引き渡し手続きが行われる予定だ。

関連ニュース

参考:現地地方紙(일요신문)
デザイン:一本寿和
images:iStock/Rawf8

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【12/20話題】NTTドコモのERC6551搭載ゲームβ版、「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」正式承認など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored