米SECがコインベースにウェルズ通知、証券法違反の疑いで

コインベースがウェルズ通知を受け取る

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、3月22日に米証券取引委員会(SEC)から「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取ったことを同日発表した。

ウェルズ通知とは、SECが企業・個人に対して、法的措置を講じる予定であることを通達する公式文書だ。

今回SECの調査対象となったのはコインベースのステーキングサービス「Coinbase Earn」を始め、機関投資家向けの「Coinbase Prime」、「Coinbase Wallet」だという。なおコインベースは、現時点で訴訟されてはいないため、通常通りサービス運営を行うという。

SECは回答を拒否

コインベースによると、ウェルズ通知には証券取引法違反の可能性を特定したこと以外の情報は記されていないとのこと。コインベースはSECに対し、違反の可能性がある資産について回答を求めたが、SECは対応を拒否したという。またコインベースは昨年夏に始まったSECの調査を受け、過去数カ月にわたり、SECへ登録に関する複数の提案を行ってきたという。しかしそれらに対し一切のフィードバックが得られなかった挙句、今回のウェルズ通知が行われたと伝えている。

コインベースの主張

コインベースは2021年4月14日にナスダックへ上場している。コインベースは、この時と根本的に何も変わっていないとし、株式上場はSECの長期にわたる審査を経て行われたはずだと主張した。

またコインベースは、基準を満たさなかったために、審査した資産の90%の銘柄を上場させなかったという。これこそがまさにSECとの登録協議に熱心に取り組んでいた理由だと断言した。

またコインベースは、ルールを教えてもらえれば従い、登録手順を提示してもらえれば登録に応じると主張。必要であれば、コインベースの明確性を主張し、SECの不公平さや不合理であったことを裁判で証明するために法的措置にも応じるとした。

コインベースは3月3日、デジタル資産運用会社「ワンリバーデジタルアセットマネジメント(One River Digital Asset Management/ORDAM)」を買収し、ORDAMが「コインベースアセットマネジメント(Coinbase Asset Management/CBAM)に名称変更したと発表。コインベースは今後、CBAMを通し、新規・既存の機関投資家向けに暗号資産投資顧問サービスを提供していくとしていた。

また3月17日には、米国の暗号資産における規制強化に影響を受け、米国外でグローバル顧客向けの暗号資産取引サービスの設立を検討していると報じられていた。

関連ニュース

参考:コインベース
デザイン:一本寿和
images:iStocks/AndreyPopov・sumkinna

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

Sponsored

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した