SWIFT、CBDCソリューション開発を次フェーズに移行
国際銀行間ネットワークシステムを提供するSWIFT(スウィフト)が、各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を相互連携させる実験的ソリューションの開発を次フェーズへ移行することを3月9日発表した。
SWIFTによると、実験に参加した18の中央銀行および商業銀行が同ソリューションのレビューした結果、「明確な可能性と価値」が認められたとのこと。これを受けSWIFTは今後数ヶ月のうちに、各国中央銀行がさらにテストできる決済用ソリューションのベータ版を開発する予定だとしている。
SWIFTらは同ソリューションの実験において、2つの異なるブロックチェーンネットワーク間および既存のフィアット(法定通貨)ベースの決済システムとの間で約5,000件の取引をシミュレーションしたという。中央銀行および商業銀行の参加者は、異なるプラットフォームにて構築されたCBDCであっても、シームレスな交換が可能であることを確認し、その結果このソリューションの継続的な開発への強い支持を表明したとのことだ。
なおベータ版開発に加え、第2段階のサンドボックステストも行うことが決定したとのこと。証券決済や貿易金融、条件付き決済などの新たなユースケースについて参加者と協力していくとの意向が示されている。
なおサンドボックスに参加するのは、フランス銀行(Banque de France)、ドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)、シンガポール通貨庁(Monetary Authority of Singapore)、BNPパリバ(BNP Paribas)、HSBC、インテサ・サンパオロ(Intesa Sanpaolo)、ナットウエスト(NatWest)、カナダロイヤル銀行(Royal Bank of Canada)、SMBC、ソシエテジェネラル(Société Générale)、スタンダードチャータード(Standard Chartered)、UBSとのことだ。
SWIFTの最高イノベーション責任者であるトム・シャッハ(Tom Zschach)氏は「我々の実験は、デジタル通貨と伝統的な通貨が共存する金融エコシステムにおいて、SWIFTが果たすことのできる重要な役割を示しました。私たちのAPIベースのCBDCコネクタは、2つの異なるブロックチェーンネットワークと従来の法定通貨との間の約5,000件の取引で堅牢であることが証明されており、それをさらに開発するためにコミュニティのサポートを得られたことを嬉しく思っています。多くの参加者が(CBDCの)相互運用性についての継続的な協力を望んでいることを明らかにしており、これは特に喜ばしいことです」とリリースにてコメントしている。
SWIFTは昨年10月に、既存の金融インフラ上でCBDCおよびトークン化された資産のシームレスな転送に成功したことを発表していた。
WIFTはトークンの転送に関する複数のプロジェクトに参加しており、そのうち「異なるブロックチェーン間におけるCBDCのクロスボーダー取引」と、「複数のプラットフォームで発行されたトークン化資産の現金決済」の2つの実験に成功したとしていた。
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参考:SWIFT
デザイン:一本寿和
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