国連UNHCRがウクライナ難民へ「USDC」配布へ、ステラネットワーク利用で

国連UNHCRがウクライナ難民へ「USDC」配布へ

ウクライナの国内避難民(IDP)や戦争被害者に対して暗号資産(仮想通貨)を配布するための「ブロックチェーン決済ソリューション」の試験提供が開始された。

同ソリューションに採用されているブロックチェーン「ステラ(Stellar)」の開発と成長を支援するステラ開発財団とUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が12月15日発表した。

このソリューションにより、UNHCRと国連のテクノロジー・ソリューション・プロバイダーであるUNICC(国連国際計算機センター)は共同で、支援対象者がスマートフォンにダウンロードした「ステラ」対応ウォレット「Vibrant」へ直接資金を送付するとのこと。

なお対象者へ送金されるのは、ステラ上で発行された米ドルステーブルコイン「USDC」となる。対象者は受け取った資金をドルやユーロ、現地通貨へ交換して、国際送金ネットワーク「マネーグラム(MoneyGram)」の拠点で引き出しが可能とのこと。なおウクライナに「マネーグラム」の拠点は4,500か所あるという。

既にこのプロジェクトはキエフ、リヴィウ、ヴィニツィアの3都市において試験的に実施されているとのこと。戦争によって最も影響を受けている地域で人道的支援として資金提供を行い、現在必要とされている宿泊施設費や食料、医療、冬の間の暖房などに利用されるとのこと。

同ソリューションについては今後ウクライナの他の都市にも拡大される予定。2023年初めには、ウクライナ国内のより多くの戦争被害者やウクライナからの難民への提供を目指しているとのことだ。

ウクライナのデジタル・トランスフォーメーション担当副大臣であるオレクサンドル・ボルニャコフ(Oleksandr Bornyakov)氏は「今日、私たちはブロックチェーン技術によって、これまで不可能だった方法で人道的活動をスケールアップできることを実感しています。ウクライナから逃れてきた人々、特に銀行にアクセスできない人々にとって、デジタルウォレットを使ったこのパイロットプロジェクトは、生き延びるための命綱となり得るものです」と述べている。

また同氏は「このプロジェクトは、ブロックチェーンが人道的資金の配分方法を変革し、革命をもたらす可能性があることを示す鮮明な例です。ブロックチェーン技術の利用により、UNHCRなどの人道支援組織は、より透明性と説明責任を高め、最も脆弱な人々が彼らの名前で提供される資金にアクセスできるようにすることができるのです(一部略)」とリリースにてコメントしている。

なおステラ開発財団は今年6月、「マネーグラム」と共に国際送金サービス「MoneyGram Access(マネーグラムアクセス)」を提供開始していた。

同サービスを利用することで、暗号資産ステラ(XLM)対応ウォレット利用のユーザーは、マネーグラムの取扱店ネットワークを通じて「USDC」の送金が可能となり、銀行口座やクレジットカードを必要とせずに、USDCと現金をシームレスに換金できるようになっていた。

なおその際のサービス対象地域は、カナダ、ケニア、フィリピン、米国だった。

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参考:ステラ
images:iStocks/Maryna-Petrenko-Shvets

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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