連邦預金保険公社(FDIC)、米銀行向けに暗号資産業界ガイダンス提供の方針

FDICが米銀行向け暗号資産業界ガイダンス提供の方針

連邦預金保険公社(FDIC)の会長は、銀行規制当局が暗号資産(仮想通貨)関連リスクについて理解を深めれば、暗号資産関連の活動に関する業界ガイダンスを金融機関に提供することを期待していると伝えた。

ブルッキングス研究所での講演で、FDIC会長のマーティン・グルーエンバーグ(Martin Gruenberg)氏は「私たちは、他の新しい活動に関連するリスクを評価するのと同じように、暗号資産の活動に関連するリスクを理解し評価しなければならない」と述べた。

さらにグルーエンバーグ氏は、米ドルにペッグした暗号資産として分類されるステーブルコインを利用した将来の決済システムの可能性について、FedNow(連邦準備銀行が開発する即時決済サービス)やFRS(米国中央銀行)のデジタル通貨(CBDC)の可能性と同様に、連邦準備制度が間もなく開始するFedNowを補完するものであるとした。

決済用ステーブルコインは、強固なガバナンスとコンプライアンスの仕組みを持つ許可制のブロックチェーンに基づいていれば、より安全性が高まるだろうという。

またグルーエンバーグ氏は「安全性と健全性、消費者保護、マネーロンダリング防止に関する基本的な監督責任の観点から、パブリックブロックチェーンは非常に大きな課題をもたらす」とも伝えた。

今年7月、FDICは暗号資産関連企業にサービスを提供する銀行に対し、破綻した場合にどの資金が政府によって保証されるかを顧客に確実に伝えるよう促し、顧客が資産の安全性について混乱することを懸念していると指摘した。

FDICと連邦準備制度理事会(FRB)は、7月に破産を申請した暗号資産関連企業ヴォヤージャーデジタル(Voyager Digital)に対し、同社のプラットフォームで投資した資金が政府によって保証されると顧客に誤解させたとして、停止命令を出した。

関連ニュース

米CFTC暗号資産規制法案の修正版がリーク、DeFiへの影響変わるか

南米最大デジタル銀行Nubank、独自暗号資産「Nucoin」来年ローンチへ

米国財務会計基準審議会(FASB)、暗号資産に公正価値会計を採用へ、ASBJとも会合

MakerDAO、DAIの裏付け資産5億ドル分を米国債・社債に投資へ

米国規制委員会トップ、暗号資産やステーブルコイン規制強化の方針

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Banking agencies to provide guidance on crypto after better understanding risks- FDIC head
Reporting by Hannah Lang in Washington
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

Sponsored

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した