コンコーディアム(CCD)ら、グリーンランドのブロックチェーン選挙システム実現に向け助成金獲得

竹田匡宏

Sponsored

コンコーディアム財団、ブロックチェーン選挙システム実現に向け助成金獲得

コンコーディアム財団(Concordium Foundation)らが、デンマーク自治領である世界最大の島グリーンランドで、オンライン投票システムを構築する方法の調査のため、デジタル・リサーチセンター・デンマーク(DIREC)から360万デンマーク・クローネ(約7000万円)の助成金を獲得したことを10月18日に発表した。

助成金を獲得したのはコンコーディアム財団のほか、コンコーディアムブロックチェーン研究センター・オーフス(COBRA)、オーフス大学、アレクサンドラ研究所、コペンハーゲンIT大学だ。

なおデジタル・リサーチセンター・デンマーク(DIREC)は、デンマークの8つの大学のコンピュータサイエンス学部とアレクサンドラ研究所が共同で設立したリサーチセンターだ。

2020年の法改正によりグリーンランド国民は、今後の国政選挙でオンライン投票しなければならなくなる可能性があるという。

グリーンランドの政府機関は、コンコーディアムのグループと密接に協力していくとのこと。この助成金をもとにコンコーディアムは、オーフス大学、アレクサンドラ研究所、コペンハーゲンIT大学の研究者グループとともに、ブロックチェーンベースのシステムがグリーンランドでより信頼できる電子選挙となるかどうかを調査する予定だ。

コンコーディアムのCTOコーレ・シェルストーム(Kåre Kjelstrøm)氏は「オンライン選挙にはもちろん多くの利点がありますが、不信感と規制の準備と安全なソリューションの不足のために、大多数の国が前進することを妨げています。科学的根拠に基づき、プロトコルレベルでIDを持つ分散型ブロックチェーンであるコンコーディアムから、私たちのチェーンでオンライン選挙を構築する際に起こりうる問題を解決するために、ぜひ参加したいと思います。グリーンランドでは、膨大な距離のために投票することが困難で、オンラインソリューションは有権者の参加を増やす可能性があり、これが2020年の法改正でグリーンランド政府が将来的にグリーンランドの人たちにオンラインで投票する機会を与える道を開いた理由の1つです」とコメントしている。

またプロジェクトの主任研究員であるコペンハーゲンIT大学教授のカーステン・シュールマン(Carsten Schürmann)氏は「私の目標は、グリーンランドの意思決定者に、どのシステムでオンライン選挙を行うべきかを決定するための良い条件を提供することです。またこのプロジェクトは研究面でも意義があります。技術的に言えば、私たちは未知の領域に進んでいるのです。私たちの結果次第では、選挙のメリットを実感できる多くの国々が、私たちの結果を同様に利用できるようになることは容易に想像がつくでしょう。そして最後に、グリーンランドは人口が少なく距離もあり、最適なスタート地点です」とコメントしている。

ブロックチェーンはネット選挙の解決策になるか?

オーフス大学の准教授であり、ブロックチェーン技術の検証に関する研究で国際的に知られるコンコーディアム・ブロックチェーン研究センター・オーフスの研究員バス・スピッターズ(Bas Spitters)氏は、今回のプロジェクトに大きな可能性を見出しているという。

同氏は「電子選挙プロトコルは一種の掲示板を使用しており、ブロックチェーンはプライベートで安全な掲示板として使用することができます。すでにマイナーな選挙では、有権者が自分の投票が正しく登録されたことを確認するために使われています。今回のプロジェクトでは、より大規模な選挙でも使えるかどうかを探っていきます。特に、票の確認に使用するプロトコルが部外者からアクセスできないこと、安全であることを検証することを目指します。さらに、コンコーディアムと協力して、MitIDをブロックチェーンに統合することで、有権者の個人情報が保護されると同時に、有権者に身元確認の機会を与えることができるかどうかを調査しなければなりません」と伝えている。

また選挙に関するテクノロジーにおいて世界的な第一人者であるカーステン・シュールマン(Carsten Schürmann)氏は、以前はインターネットに批判的だったとのことだが、現在オンライン投票が今後数年で普及すると確信しており、そのための信頼できるシステムを構築することの重要性を認識しているという。

そして同氏は「ブロックチェーンは、セキュリティを確保し、透明性を高めるための比較的新しい機会を提供するものであり、インターネット選挙について語るとき、実に興味深いものとなるでしょう。このプロジェクトでは、選挙プロセスへの攻撃を抑制し、技術的・人的エラーを検出し、投票の秘密を守るために、ブロックチェーン技術をどのように利用できるかを具体的に調査していきます。私たちは、検証可能な、いわゆるソフトウェアに依存しないシステムのプロトコルを開発することによって、これを実現します」と説明している。

DIRECについて

デジタル・リサーチセンター・デンマーク(Digital Research Centre Denmark)は、デンマークの8つの大学とアレクサンドラ研究所のユニークなコラボレーションだ。DIRECの目的は、デンマークにおけるデジタル技術の研究、革新、教育の能力を拡大すること。さらにDIRECは、デンマークの企業や公共部門と協力し、最新のデジタル技術に基づく革新的な新製品やサービスを開発することで、デンマークの競争力向上に貢献していくとのこと。

Concordiumについて

Concordiumはプロトコルレベルでユニークなアイデンティティ・レイヤーを備えたパブリックで持続可能なPoSブロックチェーン。 Concordiumは、これまでにない透明性の保証とプロトコルレベルでユーザーID管理を実装して、匿名性を完全なプライバシーに置き換えるために使用されるゼロ知識証明を導入することでプライバシーを損なうことのないオーフンソースプラットフォームを提供する。

URL:https://concordium.com
公式日本語ツイッター:https://twitter.com/Concordium_JP

問い合わせはこちらのメールに: contact [アット] concordium.com(日本語可)

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した

【11/21話題】ビットコイン9万6000ドル突破、ホワイトハウス初の暗号資産ポスト新設検討かなど(音声ニュース)

ビットコイン9万6000ドル突破、トランプの政策に期待、トランプ陣営、ホワイトハウス初の暗号資産ポスト新設を検討か=報道、アスター、新ロードマップ「Astar Evolution Phase 1.5」発表、ASTRがオプティミズムスーパーチェーン進出へ、オンチェーン分析のArkham、米国で暗号資産の現物取引所立ち上げへ、コインベースウォレットが「USDC Rewards」導入、保有だけでAPY4.7%、韓国最大の野党、暗号資産課税の免除額引き上げの改正案を提出=報道、FTX元幹部ゲイリー・ワン、暗号資産詐欺事件で実刑を免れる、韓国大手の暗号資産取引所Upbit、「ジャスミーコイン(JASMY)」取り扱い、コインベースにミームコイン「Floki(FLOKI)」上場へ、ジェミナイ、フランスで正式にサービス展開、ビットフィネックス証券、エルサルバドルで「トークン化米国債券」提供へ、21シェアーズ、「Ethereum Core ETP」にステーキング機能追加、EVM互換のL1ブロックチェーン「Monad」、テストネットを段階的に公開へ、1SECと丸井グループが資本提携、ブロックチェーン活用の新しいファンエンゲージメントモデル構築で

Sponsored