ビットフライヤーとハッシュパレット、ゲーム「ELF Masters」IEOに向け契約締結
国内で暗号資産(仮想通貨)取引所などを運営するビットフライヤー(bitFlyer)が、ハッシュパレット(HashPalette)と、 IEOによる資金調達に向けた契約締結を行ったことを9月1日に発表した。ハッシュパレット運営のPlay to Earn型ブロックチェーンゲーム「ELF Masters(エルフマスターズ)」のガバナンストークン「ELF」のIEOに向けた契約締結だ。
なおIEO(Initial Exchange Offering)とは、トークンによる資金調達を暗号資産取引所が支援し、具体的には主体となって発行体のトークンを販売するモデルのことだ。これまで国内においてIEOを実施したのは、Hashpalette(ハッシュパレット)によるコインチェックでのパレットトークン(Palette Token/PLT)と、サッカーJ2リーグに加盟する「FC琉球」によるGMOコインでの「FCRコイン(FCR)」がある。
なお「ELF Masters」は、今回IEOに向けた動きを発表したガバナンストークン「ELF」に加え、ユーティリティトークン「CST(Crystal Shard Token)」も発行する予定だという。「ELF」の用途は、ステーキング、ブリード費、ガバナンス投票、ゲーム内アイテム売買とし、「CST」の用途は、ゲーム内報酬、ブリード費用、ゲーム内アイテム売買と説明されている。ちなみに「ELF」は法的位置付けとして暗号資産、「CST」はポイントor暗号資産となっている。
また「ELF Masters」は9月16日に正式版がリリースされる予定とのことだ。なお先日8月23日に、ビットフライヤーはIEO事業参入を発表し、バーチャルSNS「Yay!」を運営するナナメウエともIEOに関連する契約締結を発表していた。
IEO実施に向けた契約締結に関する記者発表会開催
今回の契約締結発表に伴い、同日14時から記者説明会が開催された。そこでは今回のIEOの契約締結に至った背景、ブロックチェーンゲーム「ELF Masters」について、またどのようなトークンエコノミ ーが形成されるかについて説明された。
ビットフライヤー 新規事業開発部 副部長の大和省悟氏は「bitFlyer IEO」の提供機能について説明。プロダクトの主な機能として「bitFlyer IEOの開発」、「プライマリー」、「セカンダリー」、「定期情報開示」の4つをあげた。「定期情報開示」では、JVCEAが定める「新規暗号資産の販売に関する規則」に則り、IEO実施から5年間、3か月毎に当該プロジェクト及びトークンの状況を公開する機能が提供されるとのことだ。
「あたらしい経済」編集部は、記者会見にて、ハッシュパレット代表取締役の吉田氏へ取材を行った。
––吉田さんは一度IEOを経験されていると思いますが、その際の反省点と今後のIEOで活かしたい点を説明していただけますか?
私たちは、昨年の7月に日本で初めてのIEOである、パレットトークン(PLT)のIEOを実施しました。その際に担当してくださったチームの皆様とは、一年以上にわたり、ほぼ毎週打ち合わせをしてきまして、取引所の皆様や弁護士さんなどさまざまな専門家のサポートで実現できました。その時の反省と呼ぶには、少し意味合いが違ってきますが、いろいろな準備にあたっての知見や着眼点などは、今回のIEOに反映がなされていくという形です。
そして実はもう一点、大きく外部環境が変化している点があります。昨年IEOを実施した時には、まだ自社発行暗号資産の期末時価評価課税の問題に対する議論というのが、あまり進んでいない状況で、日本におけるトークンの適切な管理や将来ジョインするチームメンバー、開発パートナーへのトークンの分配というものを考慮したときに、法人課税信託の仕組みを活用して、ある意味非常に複雑なトークンの法人課税信託のスキームに時間をかけていく必要がありました。このようなペイン(課題点)がありました。
今回大変ありがたいことに、web3が政策面においても注目を受けまして大きく状況が変わりました。今年の8月に私も理事を務めておりますJCBAのICO・IEO部会から実際に期末時価評価税制の提案をJCBA全体として、提出しました。
そういった流れもあり、ちょうど昨日(8月31日)、経済産業省そして金融庁の連名で自社発行トークンに関する期末時価評価の問題の議論というのが、税制改正要望に盛り込まれました。このような外部環境を踏まえ、より前向きな形でそういったスキームを生むことができたというのは非常にありがたいなと思っています。
––「ELF Masters」のIEOをビットフライヤーで実施することを決めた理由はなんでしょうか?
ビットフライヤーは業界のリーディングカンパニーであり、いろんな領域でチャレンジをしてこられた企業です。私たちもゲームトークンIEOという新しい領域に挑戦する意思決定をしたときに、常に日本の挑戦の最前線を走ってきたチームと一緒にやりたいということで、ビットフライヤーさんにお願いをしました。
ハッシュパレット、これまでのweb3への取り組み
ハッシュパレットは昨年7月にコインチェック提供のIEOプラットフォーム「Coincheck IEO」を利用してパレットトークン:Palette Token(PLT)を発行し、日本で初の事例となるIEOを実施した。なおハッシュパレットの親会社はハッシュポート(Hashport)であり、昨年8月に前澤友作氏から約4.8億円調達を発表している。
ハッシュポートはIEO支援に関して、ナナメウエ、インバウンドオウンドメディア運営の「MATCHA」など複数の企業と連携している。また今年7月にハッシュパレットのゲームスタジオ部門「ハッシュゲームス(HashGames)」が開発・提供するP2E(Play To Earn)のブロックチェーンゲーム「CryptoNinja Party!(クリプトニンジャパーティー)」のゲームトークンのIEO(Initial Exchange Offering)実施が、オーケーコイン・ジャパン(OK Coin Japan)と検討段階へ入ったことも発表している。