ニューヨーク州が米ドルステーブルコイン規制要件を発表
ニューヨーク州金融サービス局(DFS)が、米ドル担保型ステーブルコインのコンプライアンス要件を示したガイダンスを6月8日に発表した。ガイダンスを作成したのは、DFSのアドリアン・ハリス(Adrienne A. Harris)長官で、米国で初めて金融規制当局が米ドルステーブルコインのコンプライアンス要件を定義した事になるという。
具体的なコンプライアンス要件の項目として「資産の裏付けと換金性」、「必要準備金」、「独立監査」の3つが示されている。
「裏付けと換金性」の要件としては、裏付け資産の市場価値が毎営業日終了時点の発行済みステーブルコインの名目価値と同等以上でなければならないとのことだ。またステーブルコインの償還方針についても、DFSから事前に承認を得ておく必要があるという。そしてステーブルコイン保有者が、償還を求めた際、すぐに米ドルで償還する義務がある。
また「必要準備金」の要件について、裏付け資産は発行企業の専有資産から分離され、米国の州または連邦政府が認可した預金取扱機関または資産保管機関に保管される必要があるという。また裏付け資産の構成要素としては「発行体が取得した満期まで3ヶ月以内の米国財務省証券」「米国財務省証券」、「米国財務省債券」などが示されている。
そして「独立監査」については、米国公認会計士協会(AICPA)の基準を適用し、米国でライセンスを取得している独立した公認会計士(CPA)から、月に一度は証明業務を受ける必要があるとのことだ。
DFSのアドリアン・ハリス長官は次のようにコメントしている。
「DFSが2018年にニューヨークで最初の米ドルステーブルコインの発行を承認して以来、当社の規制対象事業者は、消費者を保護し、発行されるコインの安定性を確保するために、保守的な準備要件を満たし、定期的な証明を提供しなければなりませんでした。この分野における私たちの長年の専門知識を活用し、今日の規制ガイダンスは、ニューヨークで米ドル担保型ステーブルコインを発行しようとする暗号資産企業にとって明確な基準を作成します」
なおこの規制ガイダンスが適用されるステーブルコインはパクソスが発行する「USDPおよびBUSD」、ジェミナイ(Gemini)が発行する「GUSD」、および GMO-Z.com Trust Companyが発行する「ZUSD」とのことだ。今後、ステーブルコインを発行する事業者にも適用される。
参考:DFS
デザイン:一本寿和
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