アメリカ進歩センター、米国が新法なしで暗号資産を規制できる可能性示唆
米規制当局が暗号資産をはじめとしたデジタル資産を監督下に置く際、新たな議会立法をせずに既存の法律をほぼ利用ができると、ワシントンで最も影響力のあるリベラル系シンクタンクが3月1日発表した。
証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)などの機関は、シンクタンクであるアメリカ進歩センター(CAP)の報告書を、暗号資産の管理方法に関する判断材料にできる。
報告書の制作者は「規制当局はステーブルコインをどのように規制するのが最善かまだ決めていない」と述べている。ステーブルコインはその価値をドルやその他の法定通貨に固定した暗号資産だ。なおこの問題については米国財務省が昨年、報告書で議会に提起していた。
システミック・リスクと投資家保護を懸念する革新的な考えを持つ人々は、規制当局がこの問題に対してより厳しい姿勢をとることを望んでいる。なおシステミック・リスクとは、特定の金融機関や市場など1ヵ所で発生した支払い不能等の事象が連鎖的に波及し、金融システム全体を機能不全に陥れてしまうリスクのことだ。
シンクタンクは、暗号資産に関連するコモディティのルール作りなど、現在の規制の枠組みにおけるギャップに対処することは、議会にとって有益であると述べている。しかし、暗号資産のための新しい明確な規制構造は不注意に監督を弱め、規制の裁定を生み出す可能性があると警告している。
「暗号資産の技術を用いた証券については既存の仕組みがあり、その仕組みが施行される必要があります。私たちは車輪を作り直す必要はありません」とCAPの金融規制・コーポレートガバナンス担当ディレクターのトッド・フィリップス(Todd Phillips)氏は述べている。なお報告書はフィリップス氏と税務政策担当シニアディレクターのアレクサンドラ・ソーントン(Alexandra Thornton)氏が共同で執筆したものだ。
CAPは各機関が現在の権限の範囲内で講じることができる多くの措置を示している。それは例えば、SECは暗号資産ウォレットプロパイダーを清算機関として規制できる他、CFTCはステーブルコインの裏付けとなる資産の開示を要求できるなどだ。
またこの報告書では「ドル準備金の裏付けがある限り、銀行が議会の承認なしに独自のステーブルコインを発行すること」を銀行規制当局が認めることができると示唆されている。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
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Reporting by Hannah Lang in Washington; Editing by Michelle Price and David Gregorio
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters