飯塚市、ブロックチェーン活用の行政文書電子交付に係る実証事業を発表
福岡県飯塚市と、chaintope、ハウインターナショナル、カグヤ、Gcomホールディングスらが、ブロックチェーンを活用の各種証明書等の行政文書に係る電子交付について実証事業を再開することを13日発表した。
これまでも同社らは実証事業を実施していたが、その際のトラストサービスに係る実現課題と運用に向けた課題の発掘及び発掘した課題解決の取り組みを進め、来年5月に新たに実証実験を実施する予定とのことだ。
具体的には、飯塚市が発行する所得証明書等の行政文書について、マイナンバーカードの電子証明書を活用し、スマートフォンやタブレットにより電子申請から電子交付までの一連の行政手続きを、行政文書の電子データの真正性を担保し、発行元のなりすましや文書の改ざんを防止した信頼性を確保した電子データで発行する実証実験を実施するとのこと。
これにより、トラストサービスにより「公が認証し、信頼性が確保された電子データ」の根拠技術となる電子署名やタイムスタンプといった認証技術について市民への理解を図りつつ、将来的な行政文書のデジタル発行基盤となるトラストサービスの検証を進めていくとのことだ。
昨年度実施された同社らの実証実験では、実際の住民情報では無くダミーデータが利用されていたが、来年実施を目指す実証実験では実際の住民情報等を使った実証実験を目指すとのこと。実際のデータの活用のため、内閣府の規制サンドボックス制度の活用を視野に入れて確認を進めるとのことだ。
なお来年度実施を目指す実証実験にはchaintopeの独自ブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」が利用されるとのこと。
今回の取り組みを実施するchaintopeの代表取締役CEO正田英樹氏は、「あたらしい経済」に以下のように語ってくれた。
「飯塚市はスマホで住民票を扱う事ができるスマート自治体に、一番手で名乗りを上げました。インターネットで真正性を確保する仕組みの実証を終え、今年度はいよいよ実際の住民データによる実験に向けて準備を進めています。これから市の組織する各種委員会において、技術的な安全性を十分に見極めた上で、安心で便利な行政サービスを実現していきます」
なお先月開催された「福岡県ブロックチェーンフォーラム」にて、飯塚市は「飯塚市ブロックチェーン推進宣言」の発出と、FBA(Fukuoka Blockchain Alliance/フクオカ・ブロックチェーン・アライアンス)の設立が発表を行っている。そのフォーラムの冒頭挨拶で福岡県知事の服部誠太郎氏も「ブロックチェーンを新たな成長産業と位置づけ、企業の育成、集積に取り組んでいく」と話しており、ブロックチェーンへの取り組みに積極的な姿勢を見せている。
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