スイスのデジタル銀行SEBA、投資ファンド向けカストディ銀行ライセンス取得

デジタル銀行SEBA、カストディ銀行ライセンス取得

スイスのデジタル銀行SEBAが、投資家保護を目的に集団投資スキーム(ファンド)のカストディ銀行としてのライセンス(the CISA licence)を取得したことが9月29日に分かった。

このライセンスはスイスの金融規制当局である金融市場監督局(FINMA)から付与された。集団投資スキームは主にスイス国内の投資ファンドが対象となる。

スイスでは投資ファンドは「Federal Act on Collective Investment Schemes」という法律に則って、運営されている。スイス連邦法の公式ドキュメントによれば「Federal Act on Collective Investment Schemes」の目的は「投資家を保護し、集団投資スキームの市場の透明性と適切な機能を確保すること」とのことだ。

発表文によると、SEBA銀行はライセンスを取得したことによって、プロの投資家を対象に流動性のある暗号資産やデジタル資産を原資産とする投資ファンドに対し、機関投資家向け品質のカストディソリューションを提供することができるようになるとのことだ。

発表で、SEBA銀行のCEOであるグイド・ビューラー(Guido Buehler)氏は次のようにコメントしている。

「2年前にスイスの銀行・証券会社のライセンスを取得したSEBA銀行は、機関投資家による暗号資産・デジタル資産の導入が世界的に加速している中で、素晴らしいビジネスモメンタムを享受しています。今回のCISAライセンス取得により、SEBA銀行は機関投資家向けのデジタル資産分野で先駆的な役割を果たしていきます。

アセットマネージャーは、CISAライセンスを取得したカストディアンであるSEBA銀行が確保したスイスベースの投資信託構造を利用して、暗号資産やその他のデジタル資産を基盤とした戦略をより多くの人々に提供することができるようになりました」

SEBA銀行の動向

2019年にSEBA銀行とシグナム銀行の二行がデジタル資産を扱う銀行として、金融市場監督局から銀行ライセンスが付与された。

そしてSEBA銀行は2020年7月に金融商品の発行や決済サービスを提供するDigital Asset Shared Ledger (DASL)と提携し、デジタル証券の発行や投資機能の提供を開始した。このデジタル証券はR3のCorda上で発行され、流通されている。

またスイスではツーク州が2021年2月よりビットコインとイーサリアムによる納税の受け入れを開始した。ツークでは企業と個人はビットコインとイーサリアムで最大10万スイスフラン(約1167万円)の税金を支払うことができる。

スイスは金融機関とともにデジタル資産の活用に積極的な取り組みを進めている、世界でも先進的な国家の1つだ。

参考:SEBA
デザイン:一本寿和
images:iStocks/MarekUsz・Ninja-Studio

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した