EY、イーサリアム課題解決の新たなプロトコル「Nightfall 3」をオープンソース化

EY、イーサリアム課題解決の新たなプロトコル「Nightfall 3」をオープンソース化

EYがイーサリアムのスケーリングに特化したレイヤー2プロトコルである「Nightfall 3」のプロトタイプコードをオープンソース化することを7月2日に発表した。

「Nightfall 3」はプライバシー技術の「ゼロ知識証明」とスケーリング技術の「オプティミスティック・ロールアップ(Optimistic rollup)」を組み合わせたプロトコルで、効率性の向上と取引コストの削減を実現しているとのことだ。またこの組み合わせのプロトコルは「ZK-Optimistic Rollup」と呼ばれているようだ。

また開発背景として、イーサリアムのガス料金と呼ばれる取引コストの上昇があるとのこと。「Nightfall 3」は、ガス料金の上昇を相殺する以上の効果が期待できるとのことだ。

「ZK-Optimistic Rollups」を使用することで「Nightfall 3」は、1トランザクションあたり約8,200ガスのコストで取引を実現できているようだ。これは従来のERC20トークンを公開して送金する場合の約8分の1のコストとのこと。また「Nightfall 3」は、他のトークン転送ツールと同様に見える標準化されたアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を開発者に提供することで、開発者がプライバシーを実装するために必要な学習時間を短縮するように設計されているようだ。

EYグローバルブロックチェーンリーダーのポール・ブロディ(Paul Brody)氏は「EYの経験に基づくと、ZK-Optimistic Rollupは、パブリックなイーサリアムネットワーク上でプライベートな取引を実行するためのセキュリティのインセンティブと数学的な効率性のバランスにおいて、現在最も効果的なものの一つです。 これまでと同様、企業によるこの技術の採用を促進するために、このコードを再びパブリックドメインに提供します」とコメントしている。

EYグローバル・ブロックチェーン研究開発部門の責任者でアソシエイト・ディレクターのダンカン・ウェストランド(Duncan Westland)氏は「新しいゼロ知識証明プロトコル(ZKP)を開発する際、開発者は低レベルのZKP設計を正しく読み、理解できる必要があります。ユーザーがプライベートトークンの転送のみを必要とする場合、アプリケーションにZKPの相互取引を管理させることが可能です。

その場合、ユーザーがレイヤー1からレイヤー2への転送方法に注意していれば、ZKPのトランザクションは、プライバシーが追加されているとはいえ、従来のトークン交換とみなすことができます。ユーザーがそのように動くことができるAPIを用意することで、開発をスピードアップすることができます」とコメントしている。

参考:EY
デザイン:一本寿和
images:iStocks/dalebor

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

Sponsored

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した