「暗号資産にも投資家保護を」SEC委員長が米国公聴会にて見解示す

「暗号資産にも投資家保護を」SEC委員長が米国公聴会にて見解示す

SEC委員長のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏が5月27日の米国下院公聴会にて「SECはニューヨーク証券取引所やナスダックで見られるような投資家保護を暗号資産取引所の利用者にも与えたい」と述べた。

ゲンスラー氏は公聴会にて米国の金融トレンドは「1.新規株式公開と特別目的買収会社、2.プライベート・エクイティファンド、3.暗号資産、4.フィンテック、5.データ分析」の5つであると明かしている。

ゲンスラー委員長は米国金融トレンドの1つである暗号資産に対して、従来の資本市場と同レベルの投資家保護の枠組みが必要であることを念頭に、見解を表した。

SEC委員長ゲンスラー氏、暗号資産への見解

暗号資産は変動が激しいものの過去5年間で規模と評価額が大幅に拡大しています。今週の月曜日の朝の時点で、この市場の全体的な評価額は約1.6兆ドルでした。わずか1年で6倍以上の増加をしましたが、この12日間で1/3以上の減少を示しています。

最初の暗号資産であるビットコインは、ニュースメディアの多くの注目を集めています。そして月曜日には、コインマーケットキャップで追跡している5,000以上の暗号資産トークンのうち、時価総額が10億ドルに達したトークンは80個、100万ドル以上に達したトークンは1,600個に上りました。暗号資産は非常に不安定で投機的な資産クラスであるため、この数字は変動する可能性があります。5年前の2016年5月26日には、すべての暗号資産の時価総額は約90億ドルで、その大部分がビットコインとイーサリアムでした。

ここ数週間で報告されている取引量は、1日あたり1,300億ドルから3,300億ドルとなっています。しかし暗号資産はSEC未登録の暗号資産取引所で取引されているため、これらの数字は監査されておらず、規制当局にも報告されていません。これは暗号資産市場における数多くの規制格差の一つに過ぎません。

これらのトークンの多くは、証券法上の投資契約です。長年にわたり、SECはこの分野で75件の訴訟を起こしています。SECは市場参加者に対して、ICOを利用して資金調達や証券取引を行う者は、連邦証券法を遵守しなければならないと一貫して伝えています。またこれらの資産に投資する資産運用会社も、証券取引法の対象となる可能性があります。

これらの市場における投資家保護には、多くの課題とギャップがあります。現在市場に出回っている有価証券であるトークンは、連邦証券法を遵守せずに募集、販売、取引されている可能性があります。

さらに暗号資産を取引する取引所は、まだSECに取引所として登録していません。このように、従来の証券市場に比べて投資家の保護が大幅に不足しており、それに伴って詐欺や不正行為の機会も増えています。欧州委員会は、詐欺や投資家への重大な損害を伴うトークン関連の案件を優先しています。

また、暗号資産レンディングプラットフォームや分散型金融(DeFi)プラットフォームは、投資家や投資家を保護しようとするSECスタッフにとって多くの課題を提起しています。SECは、ブローカー・ディーラーによる暗号資産カストディの手配についても意見を求めています。ただ私は他の規制当局や議会と協力して、暗号資産市場における投資家保護のギャップを埋めることを楽しみにしています。

参考:SEC
デザイン:一本寿和
images:iStock/gstraub・4×6

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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