日立とゼンリン、長崎市観光型MaaSのデジタルチケッティングと決済機能の開発へ
株式会社日立製作所と株式会社ゼンリンが、長崎市における観光振興による地域活性化につなげることを目的とした観光型MaaS(Mobility as a Service)の実証実験に向け協業を開始することを5月20日発表した。両社はこの協業を通じ、2021年度中に実施する同実証実験において中核となる、サービス基盤の開発に取り組んでいくとのこと。
この実証実験では、長崎市を訪れる観光客を対象に、ゼンリンの地図情報とブロックチェーンを活用した日立のデジタルチケッティングおよび決済機能を組み合わせたアプリを開発し、長崎市の魅力を再発見できる観光ルートの検索から、位置情報に基づく各種交通・観光チケットの購入、決済までをスマートフォンのアプリ上でシームレスに行える、観光型MaaSの実現に取り組むという。これにより観光客のツアーへの参加や観光施設の入館、商業施設での買い物特典といった、さまざまな観光サービスをアプリから購入できるほか、スマートフォン画面のチケット提示で簡単にサービスを利用できるなど、旅先での快適さと利便性の向上に寄与するとのことだ。
さらに実証実験で得られたデータを基に、ゼンリンが整備を進めている地図データベース「Mobility based Network」と、デジタルチケッティングや決済機能といった日立のLumadaソリューションを組み合わせ、観光客の行動や購買実態を位置情報で可視化することにより、観光客の移動や購入サービスに応じて、経路付近の飲食店や関連するアクティビティのレコメンドをデジタルマップ上で提供するほか、クレジットカード以外の複数の決済手段に対応する、新たなサービス基盤の構築を目指すとしている。
日立とゼンリンで開発するサービス基盤の特長(以下引用)
1.さまざまな交通手段を同一地図上で可視化し、初めての土地でも快適な移動を実現
本サービスの地図基盤である「Mobility based Network」は、自動車用ネットワーク、鉄道路線、駅構内通路、歩行者用ネットワークなど、移動に最適化された地図データベースです。各ネットワーク間は交通結節点として接続されているため、電車からバスへの乗り換え経路の表現はもちろん、IoT機器で収集した移動情報を可視化するための地理空間情報としての活用に貢献します。2.ブロックチェーンとIoT技術を活用し、安全性を担保しながら利便性の高いサービスを実現
異なるサービスの権利情報をブロックチェーンで統合管理する日立の「権利流通基盤」を活用したデジタルチケッティングにより、利用者ごとに発行する共通IDを介して、各サービスの安全性・独立性を担保しながら、鉄道やレンタカー、ツアー予約といったさまざまなサービスを専用アプリ上で一元的に利用することが可能です。また、IoTデバイスとリアルタイムに接続し、柔軟かつ迅速な値段設定と決済を支援する日立の「IoT決済プラットフォームサービス」を活用しており、決済手段はオープンAPIで公開していることから、クレジット、デビット、プリペイドなどさまざまなキャッシュレス決済に対応することが可能です。
出発前にアプリでチケットを事前購入しておき、現地ではキャッシュレスでスマートフォンを提示するだけで施設の利用が可能になるなど、旅行時の利便性を高めます。また、チケットを購入して友人にプレゼントすることも可能なほか、取得したクーポンを他の地域で利用することもできるなど、地域間での権利情報の連携も可能です。
参考:日立製作所
(images:iStocks/SeanPavonePhoto・artsstock)