今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
3/16~3/22週のサマリー
- SECがRipple社に対する訴訟を取り下げ
- FRB、QTを4月から減額することを決定
暗号資産市場概況
3/16~3/22週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+0.04%の12,550,600円、ETH/JPYの週足終値は同+2.30%の296,695円であった(※終値は3/22の当社現物EOD[3/23 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、ボラティリティの低いレンジ相場となった。暗号資産に関するトピックとしては、米証券取引委員会(SEC)がRipple社に対する訴訟を取り下げたことが目を引いたが、その他相場を動かすヘッドラインが出なかったことも要因だろう。
19日、Ripple社 CEOであるガーリングハウス氏はXでSECによるRipple社に対する訴訟が正式に終了したことを発表した。SECは2020年12月からRipple社やその幹部に対して訴訟を起こしており、XRPが証券として扱われるべきか否かが争点となっていた。2023年7月連邦地方裁判所のトーレス判事は一般投資家向けのXRPは証券ではないと判断したものの、機関投資家向け販売は証券法違反と認定した。その後もSECはXRPの証券法違反を訴え法定闘争は続いたが、SECゲンスラー委員長が退任したことをきっかけに訴訟は終焉へと向かっていた。
XRPは2022年~2024年の間、長らく低迷が続いていたが、ゲンスラー氏の退任が報道された2024年11月に急騰しその後堅調な相場が続いている。今回訴訟が正式に終了した件は相場にほとんど織り込まれていたため急騰とはならなかったものの、低迷の要因となっていた出来事が終わり堅調な相場が続くことが予想される。
また、先週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、バランスシート縮小ペースの減速を開始する方針を示した。米連邦準制度理事会(FRB)は現在量的引き締め(QT)を行い保有資産の圧縮を続けているが、その月間縮小ペースの上限額を250億ドルから50億ドルに減額することを決定した。QTの減額と聞くと金融緩和のように感じリスクアセットにとって買い材料であると思われるが、意図としてはリスクアセットが過度に崩れることを気にかけた予防策の面が強く、米株・暗号資産にはプラスに働くが手放しに買い材料とは喜べない。実際に市場はFOMC直後には買い材料と捉え米株・暗号資産は上昇したものの、翌日にはFOMC前の水準まで値を戻していた。
最近の暗号資産市場は暗号資産固有の材料というよりも米株に連動した動きが目立つため、引き続き景気動向に関連する指標やFRB高官の発言等をウォッチしておきたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

3)ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

3/16~3/22週の主な出来事
3/23~3/29週の主な予定
【今週のひとこと】日本のビットコイン保有企業
トランプ政権が発足し、米政府のBTC保有や各州でのBTC保有法案の議論が活発になってきました。この流れは日本も同様であり、ビットコイン保有を表明する企業が増えてきています。ここでは公開情報を基に、主な日本におけるBTC保有企業とその戦略について見てみましょう。(米国におけるBTC保有企業については暗号資産週間レポート(2025.1.5-2025.1.11)にて解説していますので、併せてご覧ください。)
まず、日本企業のBTC保有量において1位は、東京証券取引所に上場しているメタプラネット社です。同社は現在3,200BTCを保有しており、2025年末までに10,000BTCの保有を目標としています。Bitcoin Treasuries.net調べでは、世界のBTC保有企業ランキングで10位となっています(3/23執筆時点)。同社は「ビットコインを長期的な準備資産として安全に取得・保有し、株主の皆さまに持続的な価値を提供します。」という公約を掲げています。また、1株あたりのビットコインの成長率を示す主要業績評価指標(KPI)「BTCイールド」を基準に業績を測定するというユニークな取り組みも行っています。先週、トランプファミリーの一員であるエリック・トランプ氏を同社のアドバイザーに迎えたことも話題となりました。また、オンラインゲーム大手のネクソン社は1,717BTCを保有しており、同ランキング18位に位置しています。日本においても、これまでにBTCの保有を表明している企業は数十社にも上っています。
しかしながら、本業とは関連性のないBTC保有をIRの材料と捉え、株価が乱高下するケースも多く見られるため、上場企業のビットコイン保有を材料とした株式投資には注意が必要です。あくまで参考程度に、どういった企業が何を意図してビットコイン及び暗号資産を保有しているかという観点から考察することが重要でしょう。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
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