暗号資産マーケットレポート
今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
1/19~1/25週のサマリー
- ビットコインが一時1,700万円を突破し、史上最高値を更新
- トランプ氏が米国大統領に就任、暗号資産に関する大統領令に正式に署名
- SECのゲイリー・ゲンスラー委員長が退任、暗号資産に友好的なマーク・ウエダ氏が代行就任
- SECが暗号資産の規制枠組みに関するタスクフォースを設置
- 政府効率化省(DOGE)の取り組みにおいてブロックチェーン活用の協議を開始
暗号資産市場概況
1/19~1/25週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+1.03%の16,402,450円、ETH/JPYの週足終値は同+1.85%の521,205円であった(※終値は1/25の当社現物EOD[1/26 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、2期目を迎えたトランプ政権による発言や大統領令の内容を注視しながら、大きなボラティリティを見せた。ビットコインは、一時1BTCあたり1,700万円(約10.9万ドル)を超えて史上最高値を更新したが、その後は10万ドル付近まで下落する場面も見られた。一方で、高いボラティリティが続いたにもかかわらず、米国のビットコイン現物ETFは先週の全ての営業日で純流入(約17.5億ドル、日本円換算で約2,700億円)を記録した。
アルトコインの中では引き続きソラナが注目を集めた。ソラナ・ネットワークのTVL(Total Value Locked)は一時120億ドルを超え、FTX破綻事件前の水準を超えて過去最高規模にまで成長した。同ネットワークでは直近トランプ大統領のミームコインとメラニア夫人の名称を冠したコインが発行された。
ビットコインは週明けから最高値を更新したが、これはトランプ氏の就任式演説で戦略的ビットコイン準備金が公表されるという噂がSNSで拡散されたためだった。当初は1BTCあたり10.9万ドルを上回っていたものの、暗号資産が即時の優先事項として記載されていないことがSNSを通じて拡散されると、就任式までに10.6万ドルまでじりじりと下落し、結果的に就任演説で暗号資産への言及がなかったことから10万ドルまで急落した。
そして、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて、24日(金)未明1時よりトランプ氏のインタビューでは「米国をAIと暗号資産の首都にする」と発言。これは就任式後、公式の場で暗号資産について初めて言及したものだった。しかし、具体的な計画や方法は提示されず、米国の取引時間中には10.6万ドルから10.2万ドルへと約4,000ドル下落した。その後、暗号資産に関する大統領令に署名したことで一時急騰する場面もあったものの、その骨子は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の設立や発行、使用を禁止する内容だったため、10. 2万ドル台まで後退する乱高下が見られた。週末前には米国証券取引委員会(以下、SEC)が2022年から施行した暗号資産に関する会計規則「SAB121」を撤廃したことが好感され、再び反発した。
今週は今年最初の連邦公開市場委員会(以下、FOMC)にて米国の政策金利の発表が予定されている。多くの伝統的金融市場の専門家は、4.50%での据え置きを予想し、パウエル議長の発言に注目している。昨年12月のFOMCで米国のインフレ見通しが上方修正され、本年の利下げ回数を下方修正したことも改めて押さえておく必要がある。足元では米国のビットコイン現物ETFの規模が拡大し続けており、米国トレーダーの資金フローにより相場のボラティリティが高まる可能性がある。
トランプ2.0の最初の一週間は、暗号資産および業界の成長を阻止してきた障壁を整理し始めた週だったと言える。SECのゲイリー・ゲンスラー委員長が退任し、暗号資産にフレンドリーなマーク・ウエダ氏がSEC委員長代理として21日に就任、翌日には暗号資産規制枠組みに関するタスクフォースが設立された。さらに24日午前には、業界から批判されてきた暗号資産会計ガイドライン「SAB121」がSECにより撤廃された。このルールは2022年SECにより提案されたルールであり、昨年に米国下院で撤廃が可決されたものの、バイデン前米大統領による拒否権行使により維持されてきたため、今回の撤廃は業界にとって大きな意義を持つ。このように制度的改善がわずか一週間で進んだことも注目に値するだろう。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
3)ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格
1/19~1/25週の主な出来事
1/26~2/1週の主な予定
【今週のひとこと】World Liberty Financial(WLFI)
先日1月20日の大統領就任式にて米国大統領に返り咲いたトランプ氏ですが、そのトランプ大統領が関連するWorld Liberty Financial(以下、WLFI)について見ていきたいと思います。
WLFIとは、トランプ家が推進する分散型金融(DeFi)プロジェクトです。「金融の民主化」を掲げ、「自由」や「プライバシー」を重視するとされています。ガバナンス・トークンは$WLFIであり、保有者はWLFIプロジェクトの将来に関する提案・投票を行う権利を持ちます。ただし、1つのウォレットで投票できるのは総発行枚数の5%までに制限されており、1トークン=1票としてカウントされます。
昨年11月にはTronDAOから3,000万ドル分の出資を受け、戦略的パートナーシップを拡大したことにより注目を集めました。同プロジェクトはWBTCやETH、LINKなど複数の暗号資産を大量に取得しています。これは、十分な流動性の確保などプロジェクトの基盤強化、長期的な資産運用とその収益の再投資などが背景としてあります。
今後提供予定の機能としては、「プラットフォームを介した多様なデジタル資産の管理」、「ステーブルコインの流動性プールを活用した利回りの獲得」、「サードパーティアプリへの簡易的なアクセスや情報取得」があり、個人間での暗号資産取引を簡単にする環境の構築を目指しています。
直近でWLFIは、トランプ氏の47代大統領就任に際し、約4,700万ドル相当の「$WBTC(イーサリアム基盤のビットコイン)」と約4,700万ドル相当の「ETH」などを購入しました。トランプ政権が2期目を迎えたこともあり、今後様々なプロジェクトや投資家からの出資やパートナーシップといったニュースを目にする機会も増えてくるかもしれません。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
画像:Reuters
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。