2025年 ビットコイン市場どうなる? 年初は堅調な推移。一言解説は「AIエージェント」(仮想通貨市場レポート1/6号)

暗号資産マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

12/29~1/4週のサマリー

  • 一年間の日米主要株価指数をビットコインがアウトパフォーム
  • 年末年始の相場、ビットコインが前週比+3.38%、イーサリアムが+7.28%で上昇
  • スイス政府、スイス中央銀行の準備金にビットコインを保有するための憲法改正案を登録
  • トランプ2.0の米下院議長、暗号資産に比較的フレンドリーなマイク・ジョンソン氏再選
  • ニューヨーク州裁、トランプ次期米大統領に1月10日の出廷を命令

暗号資産市場概況

12/29~1/4週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+3.38%の15,474,050円、ETH/JPYの週足終値は同+7.28%の575,455円であった(※終値は1/4の当社現物EOD[1/5 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、年末と年始でボラティリティの大きな差が見られた。年末には利確売りやスイス政府からの好材料、ビットコイン現物ETFから約4.26億ドルの資金が流出したことなどが重なり、乱高下の相場となった。その一方で、年初に入ってからの相場は右肩上がりの堅調な推移を見せた。なお、暗号資産を含む各アセットクラスは1年間のリターンが確定され、特にビットコインは約+111%という際立った上昇率で注目を集めた。

年末に差しかかった週初は依然として出来高がまちまちだった。月曜日には単一企業として世界最大量のビットコイン保有を誇るMicroStrategy社(以下、MSTR)が新たに2,138BTCを1BTCあたり97,837ドルで追加購入したと発表した。これは同社にとって11月中旬以降8週連続の買付となる。(現在の総保有量の約43.4%がこの8週間で買い増した数量であり、トランプ氏当選後の11月11から約1週間隔で行われている)

MSTRの8週間連続追加購入の発表後、事実売りと利確売りがビットコイン価格を91,000ドル付近まで後退させた。また同日、米国株の上昇とともに94,000ドル超えへ反発するもビットコイン現物ETFから約4.26億ドルの資金が流出、再び91,000ドル付近まで押し下げられる展開となった。

2024年の最終日であった火曜日にはスイス連邦政府がスイス国立銀行(中央銀行)の準備金にビットコインを組み入れるための改憲案を提案したと報じられた。現スイス中銀総裁のマルティン・シュレーゲル氏は昨年10月に着任したばかりであり、ジョルダン前総裁と同様にビットコインの大きなボラティリティを理由に懐疑的な姿勢を示している。今後、同国政府の動きに対し、同国中銀はどのように反応するかが注目される。こうしたニュースと米国市場の上昇が重なり、一時は96,000ドル付近まで上昇したが、国債利回りの上昇や米国株式の下落を受け、再び下落するなど乱高下しながら2024年を終えた。

年明け後も出来高は薄いものの上昇基調を維持し、ビットコインは98,000ドル付近で週末を迎えた。土曜日の未明には米下院議長に共和党のマイク・ジョンソン氏が接戦の末に再選された。同氏は「FIT21法案(21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法案)」と「反CBDC法案」に賛同するなど、暗号資産にフレンドリーな議員とみられており、トランプ2.0政権下で進む暗号資産政策にも好影響を与えると期待される。一方、同日にトランプ氏はニューヨーク州裁判所から出廷命令を受けた。同裁判所の判事は有罪評決破棄の要求を退け、1月10日の量刑言い渡しへの出廷を命じつつ、収監は行わない方針を示唆している。

今週は米国で雇用統計や非製造業PMIなど連邦準備制度理事会(FRB)が注視するデータが相次ぐ。加えて、新年を迎えた今月末から米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち4名のメンバーが交代する。来週には新しく投票権を得るカンザスシティ連銀のシュミッド総裁が、常任メンバーのボウマン理事と同日の1月10日に発言する見込みだ。今年最初のFOMCはトランプ氏の就任の翌週に予定されており、その際メンバー交代も正式に行われる見通しである。詳細の日程は、下段の「2025年FOMC日程」を参照されたい。

2024年のビットコインは1月中旬から下旬にかけて下落しているものの、最終的には年初来+111%以上の上昇となり、日米の主要株価指数を上回るパフォーマンスとなった。(チャートは下段の「日米の主要株価指数とビットコインのパフォーマンス比較」を参照されたい)

再来週に迫るトランプ氏の就任後、暗号資産関連の政策が実際に進展する可能性があるため、暗号資産市場にとって追い風となるかもしれない。新年には余裕資金の範囲内で株式などと分散しながら暗号資産をポートフォリオに組み入れることは、現下の市況を踏まえても一考に値するだろう。

1) BTC/USD週間チャート(30分足)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

3) ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 紫線がイーサリアム価格)
SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

5)日米の主要株価指数とビットコインのパフォーマンス比較チャート(日足)

(期間:2024/01/01~2024/12/31、赤い水平線:0%)
TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

6)2025年のFOMC日程

(灰色ハイライト:ブラックアウト期間、赤い四角:FOMC日程、日付:米国現地時間)
連邦準備制度理事会提供の日程にてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

12/29~1/4週の主な出来事

1/5~1/11週の主な予定

【今週のひとこと】AIエージェント

暗号資産市場にとって歴史的に活況な年となった2024年が終わり、新しく2025年を迎えました。今年は暗号資産市場にとってどういった1年になるのでしょうか。

さて年初より暗号資産市場で注目を集めているテーマとして、「AIエージェント」というキーワードが挙げられます。「AIエージェント」とは、「人間の介入なしに、タスクを計画し、実行し、定義された目標に向かって作業できる自律型ソフトウェア」である、とBinanceが年末に公開したレポートの中で定義しました

よく似たものとしてXなどで見かける「bot」が存在していますが、「bot」はあらかじめプログラムされたものであり、人間の介入を必要とし、固定されたルールのもとで動作するといった特徴を持ちます。

「AIエージェント」は能動的に多段階の意思決定を行い、相互作用に基づいて適応し動作します。ある暗号資産プロジェクトではトークン・ホルダーがアイデアを投じ、AIが過去の実績に基づいてそれを判断するというシステムなども開発されています。

一般的に伝統的な銀行や決済方法は人間による本人確認・承認が必要であるため、プロトコルが主体となっている暗号資産領域と「AIエージェント」の親和性は今後ますます高まってくるといえるでしょう。

とはいえ、まだ発展途上の分野であり、考慮すべき問題点も多いのが現実です。「AIエージェント」が人間の基本的な価値観・倫理観・意図に従って行動することを保証できるのかといった問題も孕んでいます。現時点では実用的な技術というよりは、テスト段階であると言えるかもしれません。

2023年から2024年にかけて、「ChatGPT」「生成AI」「自動運転」など、AIの技術が我々の身近になってくるようなニュースをよく耳にしました。2025年は「AIエージェント」が市場を席巻する日もそう遠くないのではないでしょうか。当社取り扱い銘柄の中にもAI領域拡大の恩恵を受ける銘柄もありますので、関連ニュースをチェックしてみるのも面白いかもしれません。

年始のご挨拶

あけましておめでとうございます。

本号は2025年初のレポートです。

本年は米国トランプ大統領の就任に始まり、

暗号資産を成長戦略に掲げる米国の政策運営に期待が寄せられています。

また、日本国内においても暗号資産制度の整備が進むことが予想され、

暗号資産市場が規模を拡大する上で重要な一年となります。

部員一同、市場動向を踏まえたレポートを配信できるよう尽力してまいります。

本年も何卒よろしくお願いいたします。

このレポートについて

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暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
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この記事の著者・インタビューイ

SBI VCトレード

SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。

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