暗号資産マーケットレポート
今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
12/22~12/28週のサマリー
- ビットコインは99,800ドルまで接近も100,000ドル突破出来ず
- クリスマスイブ、日本時間22時から翌日3時まで約4.9%上昇
- イスラエルで6つのビットコイン価格連動のミューチュアルファンドを組成
- 金融庁、暗号資産を「国民の投資対象となるべき金融資産」として検討へ
- 週間のビットコイン取引高、11月トランプ氏当選以来の平均を6日間下回る
暗号資産市場概況
12/22~12/28週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲1.03%の14,997,450円、ETH/JPYの週足終値は同+3.38%の536,400円であった(※終値は12/28の当社現物EOD[12/29 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、米国のトレーディングデスクが休暇に入ったことによる流動性の低下や、ビットコイン現物ETFからの資金流出が続いたことなどにより、取引高の落ち込みが目立った。取引が通常よりも少ない市場では価格が乱高下する場面も見られた(出来高の推移については、下段に掲載した「11月からのビットコイン現物取引高とその平均値」を参照されたい)。
24日と25日はクリスマスイブとクリスマスでグローバル市場が早引け、あるいは休場となった。米国基準でみると、4営業日のうちクリスマスイブのみ大きく上昇し、それ以外は横ばいか下落にとどまった。同日には株式市場も上昇し、米国10年物国債利回りも小幅に低下したものの、顕著な変動は見受けられなかった。
暗号資産市場では、特段のネガティブニュースはなかったにもかかわらず、上昇余力に乏しく軟調な動きとなった。一方、ポジティブな材料としては、トランプ次期米国大統領が大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長に暗号資産フレンドリーなスティーブン・ミラン氏を指名したほか、米国上院議員のシンシア・ルミス氏がYahoo Financeとのインタビューで、「FRBはビットコインを保有すべきだ」と主張したことが挙げられる。しかしマーケットはこうしたニュースを好感することなく、ビットコインは92,000ドル付近まで後退した。
週央からは、いわゆる「クリスマスラリー」の形で安値から約5,000ドルの上昇も見られた。しかし、水曜日の26日17時ごろには大きな出来高を伴わず1,500ドル近く急落、市場のセンチメントを冷やした。背景としては、月曜・火曜の2日間続いたビットコイン現物ETFの純流出、それに伴う利確目的のロングポジション解消が推測される。
木曜日の夜には、一時注目を集めていた週次の米国新規失業保険申請件数が予想をやや上回ったが、市場への影響は限定的だった。これには米国の雇用データはハリケーンなどによるノイズが続いていたほか、FRBも警戒を示していたものの、今月のFOMCでは堅調な米国消費と雇用環境を改めて確認したことが要因と考えられる。週末の直前では、大きな下振れは起こらず93,000ドル水準を維持して週末を迎えた。
来週は2025年の新年がスタートする最初の週であり、国家による暗号資産戦略的備蓄を主張するトランプ政権が始動する1月となる。オンチェーンデータ分析プラットフォームGlassnodeの「ビットコイン月間収益率」データでは、半減期を迎えた年の年末年始にはビットコイン投資においてプラスのリターンになる傾向がある。特に、2回・3回目の半減期に当たる2016年と2020年において、各年の12月から翌年1月までのリターンが-5%から+100%超となった実績がある。ここで月間収益率とは「30days Rolling Return」を示し、該当期間のいずれかを起点に前後の30日間の収益を表す。
現在と同様に半減期を迎えた2016年や2020年のケースを参考にすることで、今年の年末年始ビットコインパフォーマンスを予測することに一助となるかもしれない。とはいえ、過去とは異なる値動きが起こる可能性がある点には十分留意しなければならない。本データの詳細については下段の「各年度別年末年始のビットコイン月間収益率」を参照されたい。
なお、先週に引き続きグローバル市場は31日と1日に休場する予定であり、国内市場は3日まで休場となる。一方、暗号資産市場は365日24時間取引が継続されるため、米国の経済指標などの影響を受ける可能性があるだろう。そして、ちょうど3週間後にはトランプ次期米国大統領の就任予定であり、変動性に注意を払いたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
3) 11月からのビットコイン現物取引高とその平均値、ビットコイン価格
4) 各年度別年末年始のビットコイン月間収益率、年末年始=12月~1月
<チャート説明>
(-50%未満:シクリカルな底もしくは売られすぎの区間)
(-30%~0%:典型的なマイナス収益率の区間)
(50%以上:リスク回避や利確売りが触発され得る区間)
(70%:史上最高値もしくは市場環境の変化が起こっている区間)
(30日Rolling Return=Pt−Pt-30/Pt-30×100、Pt:特定日tの終値、 Pt-30:tから30日前の終値、t:日付)
5)ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
6)イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格
12/22~12/28週の主な出来事
12/29~1/4週の主な予定
【今週のひとこと】大統領経済諮問委員会
12月23日、大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers、以下CEA)の委員長にスティーブン・ミラン氏が指名されました。同氏は投資会社ハドソン・ベイ・キャピタル・マネジメントのシニアストラテジストであり以前から暗号資産にフレンドリーな人物です。
CEAは1946年に第2次世界大戦後の平時における完全雇用の実現を目指し創設された大統領府の機関で、その役割は大統領の経済報告書の作成の支援や経済の発展と動向に関する情報の分析、連邦政府の政策とプログラムを見直しなど、大統領に経済政策について助言する任務を負っています。
委員長と二人の委員の3名で構成され、いずれも就任には上院の承認が必要となります。委員長は閣議,経済政策委員会(EPC),国内政策委員会(DPC)などの主要な会議にCEA代表として出席します。過去にはアラン・グリーンスパン、ジャネット・イエレン、ベン・バーナンキなど、その後のFRB議長経験者が委員長を務めており、CEA委員長はFRB議長就任への登竜門とも言えるでしょう。
スティーブン・ミラン氏はイノベーションを促進するために暗号資産の規制を改革する必要があると、X(旧ツイッター)を通じてコメントしたこともあります。そのため同氏が上院の承認を通り、CEA委員長に就任した場合、暗号資産分野での規制緩和が実現するか注目です。
年末のご挨拶
2024年の暗号資産レポートは本号で最終号となります。新年の再開は2025年1月6日を予定しております。2024年中はご愛読いただき、ありがとうございました。来年も何卒宜しくお願い申し上げます。よいお年をお迎えください。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。