暗号資産マーケットレポート
今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
12/1~12/7週のサマリー
- BTC、節目となる100,000ドルを突破し過去最高値を更新
- 「フラッシュクラッシュ」が発生、BTCは100,000ドル付近から一時92,000ドル台まで急落
- ETH、2024年3月以来となる4,000ドルを突破し堅調に推移
- トランプ次期大統領、米証券取引委員会(SEC)次期委員長に暗号資産親和派のポール・アトキンス氏を指名
暗号資産市場概況
12/1~12/7週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+3.39%の14,992,900円、ETH/JPYの週足終値は同+7.89%の601,330円であった(※終値は12/7の当社現物EOD[12/8 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、米国大統領選以降のポジティブな市場センチメントを背景に、BTCは史上最高値となる100,000ドルの節目を突破。高値更新後は「フラッシュクラッシュ」による急落に見舞われるも、週末にかけて堅調さを取り戻し、再び高値を窺う価格帯にて推移する展開となった。
アルトコイン市場においても、前週に引き続き強気を継続。出遅れの目立っていたETHも好調なETFの資金流入フローを背景に堅調に推移し、2024年3月以来となる4,000ドルに到達。足元で好材料が出たXRPを筆頭に、LINK・ADA・DOT・POL・LTCなどにも物色買いが入り、暗号資産市場は全面高の様相を呈した格好となった。
市場センチメントの支えとなっている、トランプ次期大統領の要職人事には今後も注視していく必要がある。中でもゲンスラー米証券取引委員会(SEC)委員長退任後の委員長人事は重要事項であるだろう。
5日、トランプ氏は自身が運営するSNS「Truth Social」上で、SECの次期委員長に元SEC委員のポール・アトキンス氏を指名した。アトキンス氏は2002年から2008年までSECの委員を務めた経歴を持つ。足元ではフィンテック企業に対するコンプライアンス上のアドバイスをするなど、クリプトフレンドリーな人材として知られる人物である。
翌日には、PayPal元 COOでありイーロン・マスク氏とともにペイパルマフィアの一員として知られるシリコンバレーの著名人、デイビッド・サックス氏をホワイトハウスの「AI及び暗号資産関連の最高顧問」に任命した。
米大統領選挙当選以降、続々と暗号資産に親和的な人物の要職人事の発表を行うトランプ次期政権チームであるが、SEC委員長等の就任については米国議会上院から承認を得る必要がある。そのため、トランプ氏が指名した人物が必ず指定のポストに就くわけではないということも留意しておきたい。
6日には「フラッシュクラッシュ」が相場を震撼させた。BTCが100,000ドルの歴史的節目を突破し、勢い付いたまま104,000ドル付近まで続伸したものの、利益確定売り優勢となった展開からデリバティブ市場での過熱感が顕在化し、ロスカットの連鎖につながったとみられる。CMEにおいて、BTC建玉が1分間で約10億ドル相当のロングポジションの清算があったことが直接要因ではないだろうか。暗号資産市場全体の清算額は過去半年間で最大規模となった。今回の急落は市場の過熱感や投機的な取引の増加が示唆されている。相場は引き続き過熱感を帯びており、今後も高値圏でのボラタイルな展開には十分注意されたい。
今週は11日に米消費者物価指数(CPI)の発表を控えている。18日に行われる、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの有無を判断する重要な材料であるため注目する必要がある。引き続きトランプ政権の政策動向を注視するとともに、暗号資産が他のリスク性資産と比較し、世界的にどういった立ち位置であるのかというマクロ的な視点を持ち、ボラタイルな局面も想定した投資判断を行っていきたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
3) ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格
5)暗号資産総清算チャート
12/1~12/7週の主な出来事
12/8~12/14週の主な予定
【今週のひとこと】「Truth Social」(トゥルース・ソーシャル)
ドナルド・トランプ次期米大統領が大統領への返り咲きを果たし、要職人事を自身が創設したSNS「Truth Social(トゥルース・ソーシャル:以下TS)、」で発表していることが話題になっています。
TSは2021年に設立されたTrump Media&Technology Group Corp.(以下、TMTG)によって運営され、2022年にサービスを開始しました。背景には2021年1月、トランプ氏の支持者による米議会議事堂襲撃事件があり、トランプ氏のX(旧ツイッター)やフェイスブックのアカウントが永久停止されたことが挙げられます。トランプ氏は「ビッグテックの暴走に立ち向かうためTruth SocialとTMTGを作った」と語っています。仕様はX(旧ツイッター)とよく似ており、投稿の上限文字数は1,000文字となっています。
TS上でトランプ氏は、本文でも触れた通り、新たな人事として米証券取引委員会(SEC)次期委員長や次期連邦捜査局(FBI)長官、次期駐中華人民共和国米国大使、国境警備局長官といった要職人事を発表しています。
暗号資産業界に関連した人事として、元PaypalのCOO(最高執行責任者)のデイビッド・サックス氏をホワイトハウスのAIおよび暗号資産に関する最高顧問への起用を発表しました。トランプ氏は同氏の登用に際し、暗号資産業界を「米国の競争力にとって極めて重要な分野である」とし、「暗号資産業界が求めてきた法的基盤の整備を行っていける人物」であると同氏を評しました。
いよいよトランプ政権の発足が来月に迫っており、新しい要職人事や政策動向に対して全世界が注目しています。TSは現在、他のSNSと比べてユーザー数は限定的ですが、トランプ氏の再登板を機にその影響力が拡大する可能性も考えられます。自身のSNSを活用する「トランプ2.0」では、更なる情報発信をTS上で行うことが予想されるため、今後もトランプ氏のTS上での発言には目が離せません。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。