トランプ勝利や米利下げ決定でビットコイン史上最高値更新、今後の動きは?(仮想通貨市場レポート 11/11 号)

暗号資産マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

11/3~11/9週のサマリー

  • ビットコインは円建て、ドル建てともに史上最高値を更新
  • 米大統領選挙にてドナルド・トランプ氏が当選
  • FOMCでは市場予想通り25bpsの利下げが決定

暗号資産市場概況

11/3~11/9週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+9.83%の11,674,000円、ETH/JPYの週足終値は同+23.10%の469,880円であった(※終値は11/9の当社現物EOD[11/10 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、米大統領選挙にてドナルド・トランプ氏が当選したことで、ビットコインが円建ておよびドル建てでの市場最高値更新となった。ドル建てでの最高値更新は2024年3月以来であり、目先は節目の$80,000付近での値動きに注目となるだろう。

注目イベントは米大統領選であり、トランプ氏の完勝となった。日本時間では6日の日中から開票報道が流れていたが、激戦州での当選確実報道が発表される度に暗号資産は上昇していた。激戦州とはアリゾナ、ジョージア、ネヴァダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの7州である。

米国の大統領選挙は538人の「選挙人」による選挙人団によって実施されている。有権者によって過半数の支持を得た候補は、ほとんどの場合その州に割り当てられた選挙人全員の支持を獲得する。各州の選挙人を合わせて270人以上集めた候補者が当選する仕組みとなっている。ほとんどの州は歴史的に有権者がどの党を支持するか決まっているため、どちらを支持するか決まっていない激戦州で支持を集めた候補者が当選する可能性が高い。そのため今回の選挙において、激戦州の結果でトランプ氏の当選確実報道が流れる度に、トランプ氏が大統領に選出される可能性が高まり暗号資産が段階的に上昇したという見方になる。

今回の選挙では、イーロン・マスク氏が激戦州にて100万ドル配布をするキャンペーンを行っており、トランプ氏を積極的に支援していた。マスク氏と言えばドージコインが連想されるため、トランプ氏の当選が確実となるとドージコインは他銘柄に比べアウトパフォームし、前週比では30%以上上昇した。

週末には、FOMCにおける米政策金利発表が行われ、市場予想通り25bpsの利下げ、また、声明文についても大幅な変更はなく、概ね予想通りの結果となった。米大統領選挙にて接戦となり開票が遅れる、もしくはねじれ議会となった場合は波乱のFOMCとなる可能性があったが、トランプ氏の勝利が明確に決まり、下院選においても共和党が勝利する可能性が高かったため、無難に通過することとなった。

次週はトランプ新政権における人事に注目したい。ビットコインが史上最高値を更新したことで青天井の様相を呈しており、暗号資産に親和的な人物の起用等ポジティブ材料が報じられた場合、素直に上昇する可能性が高い。また米10月消費者物価指数(CPI)にも注目したい。トランプ新政権による積極財政が予想されるため、インフレへの注目度は高まると考えられ、結果次第では12月FOMCへの影響があると思われる。

1) BTC/USD週間チャート(30分足)

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)

3) ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)

4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 紫線がイーサリアム価格(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)

5) ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

6)イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 紫線がイーサリアム価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

11/3~11/9週の主な出来事

11/10~11/16週の主な予定

【今週のひとこと】「ペクトラ(Pectra)」アップグレード

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)は11月7日、イーサリアムの次期大型アップグレード「ペクトラ(Pectra)」実装に向け、新たなテストネット「メコン(Mekong)」がリリースされたことを発表しました。歴代最大規模とも目される「ペクトラ(Pectra)」アップグレードですが、その内容について今一度確認しておきたいと思います。

アップグレード時期は2025年第一四半期を予定しており、規模が大きいためアップグレードを2つに分割することを予定しています。主な実装予定の機能は以下の3つです。

1. ウォレット機能の強化:EIP-7702が導入され、外部所有アカウント(EOA)がスマートコントラクトウォレットのように機能するようになります。これにより、トランザクションのバッチ処理など、スマートコントラクトウォレットでのみ可能だった機能を通常のウォレットに導入できるようになります。

2. データ可用性の向上:EIP-7594(PeerDAS)が実装され、レイヤー2ソリューションのスケーラビリティが向上します。これにより、大量のトランザクションを効率的に処理できるようになり、ネットワーク全体のパフォーマンスがさらに向上します。

3. ステーキング上限の引き上げ:ステーキングできるETHの上限が32 ETHから2048 ETHに引き上げられます。これにより、大規模なノードオペレーターが効率的に報酬を得られるようになります

ペクトラはさまざまな機能が追加される大型アップグレードであるため、大きな注目を集めています。価格の面ではソラナ等他の暗号資産に対して相対的にパフォーマンスが落ち込んでいますが、今回のアップグレードによるイーサリアムの今後の大きな成長に期待したいです。

このレポートについて

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暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
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画像:Reuters

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