暗号資産マーケットレポート
今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
10/20~10/26週のサマリー
- 米連邦検事局、USDT発行元のテザー社をマネーロンダリング防止規制違反の疑いで調査
- イスラエル、イランへ報復攻撃を開始
- CMEにおけるビットコイン先物の未決済建玉残高が史上最高を更新
暗号資産市場概況
10/20~10/26週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+0.24%の10,222,000円、ETH/JPYの週足終値は同▲4.15%の378,695円であった(※終値は10/26の当社現物EOD[10/27 6:59:59]レートMid値)。
今週の暗号資産市場は、未決済建玉残高(以下、OI)が史上最高水準に達したことを背景に高いボラティリティを見せた。ビットコインは先週のラリー後、調整局面に入り、70,000ドル突破には至らなかった。一方で、地政学的な緊張の高まりと米連邦検事局によるステーブルコイン発行企業への調査など、悪材料にも65,000ドル以上の水準を維持した。
週初には70,000ドルのラインを突破できず、約4,000ドルの下落を経て、その後反発する展開となった。23日には前営業日の米国市場のビットコイン現物ETFで、7営業日間の平均3.7億ドルの純流入から純流出に転じたことが確認された。米国株式市場の下落が意識される中、ビットコインは65,000ドルまで後退するも、その後株式市場とともに反発した。
週央にはカナダ中央銀行は政策金利を0.05%引き下げ、3.75%に設定。毎週木曜日に発表される新規失業保険申請件数も市場の予想を大幅に下回った。世界の中央銀行が引き続き利下げサイクルの基調を維持し、グローバル流動性の増加に期待が高まる中、米国連邦準備制度(以下、FRB)が今後の政策金利の利下げペースを決定する上で重要視している労働市場の堅調さが再確認され、ビットコインは68,000ドルを回復した。
金曜日には、米国検事局が世界最大のシェアを持つステーブルコイン「USDT」発行企業であるテザー社を、マネーロンダリング防止規則違反の疑いで調査していると、米The Wall Street Journal紙が報じた。これに対し、同社のCEOであるPaolo Ardoino氏は「古い噂」であると否定。ステーブルコインで最大シェアを持つ同社への法的調査は投資家の不安感を刺激した。週末を迎えた土曜日の朝方、イスラエルのイランへ報復攻撃が開始されると、65,500ドルまで急落する場面もあった。
一連のネガティブ・ニュースがあったものの、65,000ドル以上を維持できた背景には、米国の堅調な雇用市場の再確認と、両候補者の暗号資産支持の維持が投資家心理の安定を促していると考えられる。加えて、米国の代表的なデリバティブ取引所であるCME(シカゴ・マーカンタイル取引所、以下CME)のビットコイン先物市場におけるOIが史上最高を更新、投資家の暗号資産市場に対する関心の高まりを裏付けている。具体的に、CMEのビットコイン先物OIで同取引所を除くグローバル取引所のOIを割った割合でも堅調に推移していることがわかる。これは投資額の水準のみならず、市場全体の割合にも高い水準になっており、機関投資家からの関心も伺える。今までの推移など、詳細のチャートは添付の表[CMEとCMEを除く取引所のビットコイン未決済建玉残高、その割合]を参照されたい。
今週は31日に予定されている日銀金融政策決定会合をはじめ、米国では雇用統計や実質GDPなどの重要な経済指標が発表される。執筆時点では衆議院選挙が開票まで完了し、国内情勢の変化もドル円相場に影響すると考えられる。なお、グローバルマーケットがキャリートレードを意識していることも念頭に置きたい。米大統領選挙まで残り2週間を切った今、引き続き緊張感を持って市場の動向を注視していきたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
3) ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
4) 上位5つの取引所におけるビットコインの未決済建玉残高グラフ
5) CMEとCMEを除く取引所のビットコイン未決済建玉残高、その割合
10/20~10/26週の主な出来事
10/27~11/2週の主な予定
【今週のひとこと】日銀金融政策決定会合
先週23日(水)にドル円が今年7月末以来となる一時153円台を記録しました。今週に衆議院議員選挙・日銀金融政策決定会合が控える中で先週は最大約4円の円安進行となったことから同会合に注目が集まっています。
日銀金融政策決定会合とは日本銀行のHPでは次の通りに記載されています。「日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合を、金融政策決定会合といいます。」同会合は年8回開催されており、今年は今週と12月18日、19日に開催予定です。
日銀金融政策決定会合での最大の関心ごとは政策金利の発表です。今年3月の会合ではマイナス金利政策の終了、17年ぶりの利上げ等、歴史的な転換点となりました。前回9月の会合では政策金利が0.1%から0.25%に引き上げられ、日本においても「金利のある世界」へと変化しつつあります。政策金利の上下により暗号資産価格への影響が想定されるため、今週と12月の会合に注視した方がよいでしょう。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。