ビットコインは27,000ドル挟んだレンジで揉み合う、今週のひとこと「トラベルルール」(暗号資産 週間マーケットレポート 5/29号)

5/21~5/27週のサマリー

  • BTC/USDは5/13の安値を割り込むことはなく、27,000ドルを挟んだレンジでもみ合う展開
  • USD/JPYは2022年11月以来の140円台到達
  • 日本政府が暗号資産に関する新たなAML(アンチマネーロンダリング)対策を閣議決定→6月から施行へ
  • Binanceグローバルが日本居住者向けサービスを11月30日に終了→Binance Japan株式会社(仮)に移行予定
  • 週末に米与野党間で債務上限引き上げが原則合意

暗号資産市場概況

5/21~5/27週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+0.79%の3,762,450円、ETH/JPYの週足終値は同+2.39%の256,905円であった(※終値は5/27の当社現物EOD[5/28 6:59:59]レートMid値)。

当週の暗号資産市場は、米国の債務上限問題を巡る議論と6月の金利動向の見通しの不透明感により方向感を失い、27,000ドル前後でもみ合う展開となった。米債務上限問題については、日本時間28日に与野党間で上限引き上げの原則合意がなされたが、法案の調整に時間を要するという事態も考慮したい。

また6月FOMCにおける利上げの有無については、5月前半までは見送りが大方の予想であり市場もそれを織り込んだ恰好であったが、参加者間で利上げを巡る意見の相違がみられたFOMC議事要旨や、市場予想対比で強い結果となった4月米個人消費支出(PCE)価格指数を受けて利上げ見送り観測が後退し、FF金利先物の水準は6月の利上げを約60%織り込む形となった。こうした先行きの不透明感からBTCは5月13日の安値を割り込むには至らなかったが、上値が重い週となった。

また米国の利上げ継続観測を受けてUSD/JPYが2022年11月以来の140円台半ばで終了。GW明けから利上げ見送りの観測が巻き戻され、約6円円安が進行したことで円建て暗号資産市場にとっては追い風となっている。今後の金利動向については、6月のFOMC前に発表される雇用統計やCPIの内容を考慮して決定される可能性が高く、指標発表の際のトレンド変化による突発的な市場の動きには十分注意したい。

また暗号資産を取り巻くマクロ的な環境変化については、香港が6月より個人投資家の暗号資産取引に関する新たな枠組みを施行することを中国国営放送のCCTVが報じたことが話題となった。CCTVの報道内容からは中央政府の意向も影響している可能性があることが確認され、米国が暗号資産への規制を強める一方で、以前暗号資産に対して強い規制を敷いた中国が規制緩和の動きを見せるということは注目すべき事象であろう。

今週の暗号資産市場は、大詰めを迎える米政府債務上限問題、米国の金利動向を推し量るうえで重要指標である6月2日の雇用統計にも気を配りつつ、世界的な株高を背景としたリスク性資産への資金流入の動向を慎重に注視する必要がありそうだ。その他5月29日の米国は祝日(Memorial Day)となり米株式市場は休場となっているため、一時的な流動性低下による不安定な動きには注意したい。

1:BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

2:BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

5/21~5/27 週の主な出来事

5/28~6/3週の主な予定

今週のひとこと「トラベルルール」

「トラベルルール」とは、マネーロンダリングおよびテロ資金供与への対策を目的として、金融活動作業部会(FATF)が定めた暗号資産の移転に伴う情報共有に関するルールです。

具体的には「利用者の依頼を受けて暗号資産の送付を行う暗号資産交換業者は、送付依頼人と受取人に関する一定の事項を、送付先となる受取人側の暗号資産交換業者に通知しなければならない」という内容です。

ではトラベルルールを提唱する金融活動作業部会(FATF)とはどういった機関なのでしょうか。

金融活動作業部会(FATF)とは、1989年にフランスで開催されたアルシュ・サミット経済宣言を受けて設けられた、パリの経済協力開発機構(OECD)内に事務局を置く政府間機関です。計37の加盟国・地域で構成され、各国の取り組みを相互審査しています。

活動内容はマネーロンダリング・テロ資金供与の対策(AML/CFT)として国際的な協調を図ることを目的として運営されています。

当初は麻薬犯罪に関する資金洗浄防止を目的とした金融制度の構築を主な目的としていましたが、2001年のアメリカ同時多発テロ事件発生以降は、テロ組織への資金供与に関する国際的な対策と協力の推進にも取り組むようになりました。

日本においても犯罪による収益の移転防止に関する法律の成立に関して大きく影響を与えました。

6月施行の同法の改正法についても、FATFの国際基準に準拠しており、先進国を中心に同様のルール整備が進んでいます。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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SBIグループの暗号資産取引所「SBI VCトレード」。SBIグループの掲げる顧客中心主義の理念のもと、お客様の満足度向上に資する暗号資産取引に係るサービスをフルラインナップでご提供してまいります。

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