3/19~3/25週のサマリー
- UBSによるクレディ・スイス買収で金融システム不安が後退
- FOMCは市場予想通り25bpの利上げを決定、声明文からは「継続的な利上げ」の文言が削除される
- 米証券取引委員会(SEC)が未登録証券提供の疑いでJustin Sun氏を提訴 米コインベースに対しても証券法違反の疑いでの法的措置計画を通告するWells Noticeを発行
- XRP訴訟の進展期待によりXRPが大幅上昇
暗号資産市場概況
3/19~ 3/25週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲0.11%の3,590,750円、ETH/JPYの週足終値は同▲3.40%の227,010円となった(※終値は3/25の当社現物EOD[3/26 6:59:59]レートMid値)。
週初の暗号資産市場は、スイス金融大手UBSによるクレディ・スイス買収が発表されたことで金融システム不安が和らぎ、全般に大幅上昇となった。また、同買収を受けてクレディ・スイス発行の一部劣後債(AT1債)が減損処理となったことで債券市場を中心に欧州市場で動揺が広がり、安全資産とされる金の先物価格が約1年ぶりに1オンス=2,000ドル台まで上昇。同様に暗号資産市場にも逃避資金の流入が見られたことで、BTC価格は28,000ドルを挟んで底堅く推移した。
当週で市場の注目度が最も高かったFOMCは市場予想通り25bpの利上げを決定し、声明文からは「継続的な利上げ」の文言が削除された。その他、ドットチャートでも2023年末の政策金利予測中央値が12月会合と変わらずの5.125%となるなど、利上げの打ち止め観測が強まったことでBTC/USDは年初来高値を更新し、一時29,000ドルに迫る場面が見られた。しかし、FOMC後の会見でパウエルFRB議長が年内の利下げに否定的な見解を示したほか、イエレン米財務長官が預金保険の対象拡大や保護金額の上限引き上げについては検討していないと議会証言で述べたことで暗号資産を含むリスク性資産は急落し、BTC価格は高値から2,000ドル超の下落を記録した。
同日、米証券取引委員会(SEC)が未登録証券提供の疑いでTRON財団創設者のJustin Sun氏を提訴したほか、米コインベースに対しても証券法違反の疑いで法的措置計画の通告が行われるなど、暗号資産市場は急落後も上値を抑えられる展開が続いたが、イエレン米財務長官が預金保護に関して、追加措置を講じる用意があると証言したことをきっかけに反発する場面が見られた。
また、当週はBinance.USによるVoyager買収に対してSECが行った異議申し立てが根拠不十分として裁判所に却下された件に関し、XRP訴訟にも有利に働くとの見方が広まりXRPが大幅にアウトパフォームした。
今週は、SECの動向次第ではあるが、重要経済イベントを通過し、金融システム不安も一旦は後退していることから引き続き底堅い展開が想定される。
1:BTC/USD週間チャート(30分足)
2:BTC/JPY週間チャート(30分足)
3:BTC/USD(橙色), XRP/USD(白色) 週間騰落率(30分足)
3/19~3/25週の主な出来事
3/26~4/1週の主な予定
今週のひとこと「クジラ(Whale)」
クジラとは暗号資産における大口投資家のことを指します。クジラとされる投資家の保有資産の閾値について明確な定義はありませんが、1,000 BTCや10,000ETHといった単位が用いられ易いです。
クジラは大きく「開発者・マイナー」「個人投資家」「金融機関・法人」に分類され、常に彼らの動向やニュースはマーケットからの注目を集めています。一般にクジラが長期保有することは市場の流動性を低下させるとともにボラティリティの高まりにも繋がり、反対の場合には市場の歪みを発生させる恐れがあります。
現在では、SNSなどでクジラの動向を速報・アラートする便利なツールもあります。ただし、これらはクジラの動きを適宜キャッチする分には問題ありませんが、必ずしも価格変動を予測できるものではありません。他のオンチェーンデータを複合的に用いることで、より精緻な分析・検証していくことが重要となります。
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