2024年にかけて、暗号資産の価格上昇に期待
2023年10月中旬以降、ビットコインを中心に暗号資産価格が急激に上昇しています。
<ビットコイン/日本円 年間チャート(日足)>
背景の一つとして考えられるのが、米国におけるビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の現物ETF(上場投資信託)承認への期待の高まりです。現物ETFが承認されれば、暗号資産への資金流入が見込まれるため、ETFに関する前向きなニュースが流れるたびに、ビットコインをはじめとした暗号資産の価格が上昇しました。
現状、SEC(米国証券取引委員会)による暗号資産現物ETFの上場判断は相次いで延期され、最終的には全て2024年に判断が持ち越しになっています。ARK Investと21 Shareによる申請の最終判断期限は2024年1月10日であり、2024年の上場に期待する投資家も多いと考えられます(仮にARK & 21 Sharesの申請が棄却された場合はBlackRockやVanEckなど7社が最終判断期限を迎える3月中旬が注目時期となります)。
また、価格上昇に関わるもう一つの要因として考えられるのが、ビットコインの半減期への期待です。ビットコインの次回の半減期は、2024年春ごろに予定されています。
ビットコインの半減期とは、約4年に1度、ビットコインのマイニング報酬を半分に調整するイベントのことです。半減期後にはビットコインが定期的に新規発行される数量が文字通り半分に減少します。ビットコイン発行量をプログラムで調整することで、価値を保つことに寄与すると考えられています。
過去の3回の半減期(2012年、2016年、2020年)では、ビットコインの価格は、半減期1年前~半減期後1年後まで上昇トレンドになりました。次回の2024年の半減期まで半年を切る中で、さらなる価格上昇が期待されています。
<ビットコイン/ドル 半減期チャート(日足)>
オレンジ:2010年7月〜1回目の半減期まで、ピンク:1回目の半減期〜2回目の半減期まで 水色:2回目の半減期〜3回目の半減期まで、黄緑:3回目の半減期〜現在
さらに、イーサリアムの大型のアップグレード「Dencun」も、当初2023年の予定から延期され、2024年の上旬に実施が見込まれています。「Dencun」では、レイヤー2のトランザクション手数料が大幅に削減されるとともに、ネットワーク全体の効率性改善が行われます。
レイヤー2とは、メインチェーンの取引負荷を削減するために、メインチェーンのセキュリティを活用しつつオフチェーンで取引を実行できるブロックチェーンのことを指します。アービトラム(Arbitrum)、オプティミズム(Optimism)、米コインベースが手がけるベース(Base)などが有名です。
これらのイーサリアム・レイヤー2プラットフォームは各社が開発を進めており、来年のWeb3領域でもホットトピックスとなるであろう分野の一つです。「Dencun」に含まれるアップデートでは、トランザクション手数料が最大で100分の1にまで削減されるとも言われており、レイヤー2のプラットフォームで実装できるサービスの幅が格段に増えることが予想されるため、イーサリアムにおける実装状況と、各レイヤー2プロトコルでの対応状況には要注目です。
今回紹介した現物ETF、ビットコイン半減期、イーサリアムのアップデートなど暗号資産特有の環境に加え、米国の金利も利下げ予想が拡大してきたことから、足元でビットコインをはじめとした暗号資産の価格には期待感が持たれています。
年末から来年にかけて、暗号資産投資を始めてみようかと考えている方に、初心者でもはじめやすい運用方法をご紹介します。
暗号資産の運用のススメ
暗号資産投資に前向きなニュースが揃っているといえども、やはり、暗号資産は投資商品の中でも価格の変動が大きく、売買するにはハードルが高そうと考える方もいるかもしれません。
そこで、価格上昇に期待しながら、価格の上昇を待つだけでなく暗号資産そのものを増やしていく「レンディング」や「ステーキング」というサービスをご紹介します。頻繁に売買をすることのない、長期保有(ガチホ)を目指す方にもおすすめの運用方法です。
「レンディング」とは、自分が保有している暗号資産を取引所などに一定期間貸し出すことで、利用料(賃借料)を受け取ることができるサービスです。利用料は基本的に貸し出した銘柄と同じ暗号資産で支払われます。暗号資産を長期保有しているだけでは暗号資産の数量は増えませんが、取引所に貸し出すことでコンスタントに暗号資産の数量を増やすことができるサービスです。
例えば、1週間1BTC(約600万円)を年率3%で貸し出したとすると、1週間後には0.000575 BTC(約3,450円)が利用料として受け取ることができます(この1週間でBTC価格が全く変動しなかった場合のシミュレーション価格です。実際の価格は変動しますので、あくまで参考としてご認識ください)。
暗号資産交換業者によって、レンディングを募集している銘柄や数量・期間が異なりますので、よく比較して選んでみてください。また、保有している暗号資産の価格が急に上昇して今すぐ売却したいと思っても、レンディング中であれば売ることができなかったり、途中解約時には手数料がとられたりする場合もあるので注意が必要です。
「レンディング」の他に、暗号資産を長期保有しながら報酬を得る方法として「ステーキング」があります。
ステーキングとは、コンセンサスアルゴリズムの1つの種類である「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」を採用しているブロックチェーンで、ユーザーは保有している暗号資産をブロックチェーンにロックし、ネットワークの安定化やセキュリティ向上等に貢献することです。ステーキングに参加することで、ユーザーは報酬を受け取ることできます。
ステーキングサービスも取引所ごとにサービス内容が異なりますので、内容をよく比較して選んでみてください。
SBI VCトレードの「レンディング」と「ステーキング」
最後に事例として、私たちのサービスもご紹介させてください。SBI VCトレードでは前述の「レンディング(サービス名称:貸コイン)」と「ステーキング」のサービスを提供しています。
SBI VCトレードのBTCレンディングでは、貸出期間7日で年率3.0%、貸出期間28日で0.5%など(※2023年11月実績)、高水準なレンディング年率をご提供しています。
また、SBI VCトレードのステーキングサービスは、特別な申込や手続きは一切不要で、対象の暗号資産を預けているだけで毎月報酬がもらえる仕組みです。SBI VCトレードで対応した暗号資産を買って、そのまま持っているだけでステーキングサービスを利用していることになります。暗号資産を売却や出金した際に自動的に解約となり、解約に特別な期間や手続きもありません。マーケットの状況を見ながら安心して利用できるサービスになっています。
SBI VCトレードのステーキングサービスで人気の銘柄であるイーサリアムは、ステーキング運用実績3.8%(2023年11月実績、手数料控除前の年率)となっているほか、年率10%を超える利回りの銘柄もございます。
これから暗号資産投資を始めようと考える方は、売買だけでないこれらの運用方法も参考に、ぜひ暗号資産投資を楽しんでいただけますと幸いです。
このコラムについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」を運営する、SBI VCトレード株式会社。この記事は、同社の市場オペレーション部 清水健登氏による寄稿コラム記事です。
<本記事について>
本記事は一般的な情報の提供のみを目的としたものであり、いかなる暗号資産、有価証券等の取得を勧誘するものではありません。また、株式会社幻冬舎及びSBI VCトレード株式会社による投資助言を目的としたものではありません。また株式会社幻冬舎及びSBI VCトレード株式会社が暗号資産の価値を保証するものでもありません。暗号資産投資やステーキングにはリスクが伴います。投資やステーキングを行う際はリスクを了承の上、利用者ご自身の判断で行ってください。
<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。/暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。/暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。/SBI VCトレード株式会社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。/SBI VCトレード株式会社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。/秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。/暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。