サトシが作ったビットコインの「アイコン/ロゴ」は、今のものと違う?
ビットコインを発明し、未だその正体が分かっていないサトシ・ナカモト。そんなサトシが残した約2年間の文章を、小宮自由氏の解説と共に紹介する連載「サトシ・ナカモトが残した言葉〜ビットコインの歴史をたどる旅」の第35回。
まずサトシのメールの前に、本連載の元になっている書籍『ビットコイン バイブル:サトシナカモトとは何者か?』の著者フィル・シャンパーニュ氏の解説も掲載する。
フィル・シャンパーニュ氏の解説
サトシがビットコインで使うロゴ/アイコンを提示し、これを著作権フリーとした。現在bitcoin. orgで使われているロゴはこれではなく、次のものである。現在は、サトシが提示したものは使われていない。
サトシ・ナカモト 2010年02月24日 午後09時24分23秒
それではサトシの投稿をみていこう。
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新しいアイコン/ロゴ
(注:斜体部分は、サトシ以外の者の発言を指す)
新しいアイコンです。どう思いますか? 古いのよりも良いですか?
フルサイズは530×529ピクセルで、カスタムサイズに縮小できます。
http://www.bitcoin.org/download/bitcoin530.png
大きいサイズでは遠近法の影が薄すぎました。32、48、フルサイズを修正しました。
このイメージをパブリックドメイン(著作権フリー)でリリースします。二次的著作物はパブリックドメインにするよう求めます。
引用:Sabunir 2010年02月25日 午後02時28分49秒
素晴らしいです。バナーコンテストの参加者には良い素材になるでしょう。なぜ縦横の寸法が異なるのですか?
一つだけ提案すると、コインの文字をもっと目立たせたいです。小サイズの解決では輪郭部分が扱いづらくなるので、コントラストで試すといいと思います。文字を全体より著しく暗くすると、読みやすくなるでしょう。または、内側の円を暗くし、文字を明るくするのもありです。
良い提案です。Bの明るさをわずかに増幅し、背景をわずかに暗くしました。ごくわずかです。前景は古いロゴのBC *1と全く同じ色になっています。
16×16サイズでBが読みづらいとしてもまあOKです。このサイズではコインだと分かればいいです。何をエンボス(浮き出し)加工にするかはそれほど問題ではないです。空白の無装飾の円ではコインに見えないので、何らかの細部が描かれているだけで十分です。
縦より横の方が微妙に長くなっているのは、下に伸びる暗い遠近法は下よりも右に向かうためです。
32×31と48×47のバージョンの作成が終わり、最初のメッセージに投稿しました。私は48がとても気に入っています。
皆さんは、Bの文字の外に向かって二本の線が突き出ていると、どんな印象になりますか?自分たちのロゴとして長くお付き合いできますか?
引用:Cdecker 2010年02月27日 午前03時24分07秒
SVG(スケーラブル・ベクター・グラフィックス)バージョンはどうですか? これだと必要なときに自動的に縮小サイズ、拡大サイズを生成できます。
SVGの操作が分かりませんけど、元の画像を500ピクセル以上と、とても大きなサイズにしてあるので、縮小できます。オリジナルの画像は作業が終わり次第提供します。
垂直線が完全にピクセル上に着くように、各アイコンをカスタム微調整する必要がありました。そうしないと、見苦しく、不鮮明になり、不統一になります。アイコンの作成というのは難題なのです。オリジナルは48から500までのカスタムサイズに変更するのに適していますが、それ以下には適していません。
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【訳注】
*1 金のコインに “BC”と刻印されたロゴが最初期のもの。この記事が詳しい。https://cointelegraph.com/news/the-btc-origin-story-who-designed-the-bitcoin-logo
解説
オレンジ色のコインに、ドルやユーロなどを模した二本の棒を付け足した “B” が刻印されたロゴは、今やおなじみのビットコインのシンボルです。しかし初期は、金色のコインにBと書かれた「いかにもお金」なデザインでした。
ビットコインのアイコンが特徴的なオレンジになったことは、後に続くコインのアイコンに大きな影響を与えています。実際に、様々なコインのアイコンを並べてみると、通貨とは思えないほど特徴的でカラフルです。
小宮自由