ビットコイン初期バージョンアップについてサトシのコメント
ビットコインを発明し、未だその正体が分かっていないサトシ・ナカモト。そんなサトシが残した約2年間の文章を、小宮自由氏の解説と共に紹介する連載「サトシ・ナカモトが残した言葉〜ビットコインの歴史をたどる旅」の第22回。
まずサトシのメールの前に、本連載の元になっている書籍『ビットコイン バイブル:サトシナカモトとは何者か?』の著者フィル・シャンパーニュ氏の解説も掲載する。
フィル・シャンパーニュ氏の解説
このリリースではソフトウェアの通信の問題点が修正された。サトシはブロックのプルーフ・オブ・ワークの発見に続く成熟カウントダウン*1、つまり、ブロックの解決により採掘者が獲得する報酬について言及している。
[ビットコインリスト]ビットコイン・バージョン0.1.3 サトシ・ナカモト 2009年01月12日 22時48分23秒
それではサトシの2009年01月12日22時48分23秒の投稿を見ていこう。
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インターネット接続上の最悪の問題点は乗り越えたように思います。0.1.3ではノードの通信が一定時間後に切断される問題点を修正しました。このバージョンではネットワークは旧バージョンよりも円滑に稼動しています。
ブロックの生成に成功すると、使用できる状態になる前に成熟カウントダウンが現れます。成熟すると、「クレジット(Credit)」欄が0.00から50.00に変わります。ブロックが有効となるには、ネットワークにブロードキャストされてブロックチェーンに組み込まれる必要があります。
ネットワークに接続されていないと「生成(Generate)」が動かないのはこれが理由です。未接続の状態でブロックを生成しても、ネットワークではその事実が知らされず、これを取り込まずに放置したままチェーンの作成を継続します。すると、成熟カウントダウンが「未承認(not accepted)」に変わり、これが未使用だったことを自分のノードで確認できます。
ステータス(status)欄から1を引くと、自分のブロックの後にいくつのブロックが連結されたかが分かります。
サトシ・ナカモト
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【訳注】
*1 原文では “maturation countdown”。現在はあまりこの言葉は使われていない。
解説
サトシはネットワークが突然切断されるバグを修正したことを告知し、同時にブロックの追加と報酬システムを説明しています。
小宮自由