今年どうなる? 暗号資産/ブロックチェーンなどweb3領域
「あたらしい経済」年始の特別企画として、ブロックチェーン・暗号資産業界を国内外で牽引するプレイヤー/有識者の方々に「2024年の展望」をご寄稿いただきました。80人を超える方々の40,000字を超えるメッセージには、これからのこの領域のビジネスのヒントやインサイトが溢れています。これからの「あたらしい経済」時代を切り開く、ご参考にしていただけますと幸いです。
ご寄稿いただいた皆さま
廣末紀之/加納裕三/國光宏尚/伊藤穰一/坂井豊貴/小田玄紀/大塚雄介/井坂友之/千野剛司/金光碧/仮想NISHI/中村奎太/東晃慈/栗元憲一/藤本真衣/渡辺創太/ビール依子/大日方祐介/トレスト/吉川絵美/松原亮/吉田世博/宮沢和正/正田英樹/近藤秀和/平田路依/FUJITA TAKUYA/木村優/Crypto Baby/久田哲史/齊藤達哉/大木悠/Yutaro Mori/Ran Yi/豊崎亜里紗(あとい)/稲見建人/Yoshi/岡部典孝/佐藤伸介/辻周悟/堀次泰介/鈴木雄大/熊谷祐二/岡本和士/柏木崇志/山田耕三/村田卓優/加嵜長門/上野広伸/小澤孝太/石濵嵩博/藤原哲哉/Yu Numazaki/高長徳/Akim/草野絵美/石川裕也/パジ(paji.eth)/施井泰平/徳永大輔/miin/赤木翔/辰巳喜宣/相原一也/松嶋真倫/藤井達人/小林英至/志茂博/中村健/紫竹佑騎/小野暢思・佐藤太思/平野淳也/原沢陽水/日原翔/落合渉悟/小宮自由/斎藤岳/柳澤賢仁/沼澤健人/田中計士/長瀨威志/星暁雄(敬称略/順不同)
暗号資産/ブロックチェーン業界「2024年の展望」
廣末紀之/ビットバンク
昨年は北米を中心にFTX事件の影響による規制強化が叫ばれる中、ビットコイン現物ETF実現期待などから相場に関しては想定以上の上昇が実現し、一方、日本は世界の規制強化ムードとは逆行し、法人税緩和、ステーブルコイン解禁など、政官民一体となったweb3産業促進が進展した1年となった。
今年度は、tether(USDT)規制リスクに注意しつつも、世界的な金融緩和期待などファンダメンタルズの改善、ビットコイン現物ETF実現、ビットコイン半減期による需給改善、などの好材料による相場の活況に伴い、web3業界全体の活性化が期待でき、本格的な春の訪れを感じさせる1年になると想定。業界的には、金融商品化、RWAなど既存金融機関を巻き込んだ取り組みの進展、コンシューマーリーチ力の高い大企業の参入によるgamefi/DAOなどB2Cユースケースの創出に期待。
当社グループとしては、これらの文脈に沿って、金融B2C(bitbank)/B2B(JADAT)、非金融B2C(Fiknots等)を全方位で強化し推進していく予定。
加納裕三/bitFlyer Holdings
2024年1月9日、bitFlyerは創業から10年の節目を迎えました。私は元々、既存金融の世界に身を置いていましたが、起業した日から既存金融と新しいクリプトの世界が繋がる日を心待ちにしていました。そして1月10日(日本時間1月11日)、その想いが10年越しに実現しました。米SECがビットコイン現物ETFの上場を承認したのです。2014年の創業時、ビットコインはほとんど知られておらず周囲の人からも怪しまれたものでしたが、たった10年で世界が変わりました。ETFの承認により、クリプトの世界は株式市場などの既存金融と繋り、新たな時代の幕が開けたのです。
日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表としては、2023年に引き続き、暗号資産の税制改正要望を続けます。また、日本がもう一度web3の分野で世界一を目指すために必要なルールの整備に尽力していきます。
2024年は、web3のマスアダプションがGame-Fiを通じて加速し、web3のすそ野が広がるのではないかと期待を込めて予想します。IEOを通じた資金調達を行う企業も増えることでしょう。新たなクリプト金融の世界も広がりを見せると考えています。
bitFlyerを創業した10年前と同じ情熱で2024年もweb3業界の発展に貢献していきます。
変わる世界、変わらぬ情熱。
「ブロックチェーンで世界を簡単に。」
國光宏尚/Mint Town ・フィナンシェ
2024年、長かった(?)クリプトの冬が終わり熱い夏がやってきます!
クリプト市場は、前回のバブルを遥かに上回るバブルになると思います。
その原因は2つ。1つ目はビットコインETFの承認。2つ目はデリバティブやDeFiの進化による、レバレッジの極大化。それにより市場の流動性が大幅に増します。結果、前回を遥かに上回る規模のバブルが発生すると思います。
ブロックチェーンの一番最初のキラーユースケース生まれました。ビットコインETFとステーブルコインです。
ビットコインETFをブラックロックやフィデリティが扱うということは、生命保険や年金基金を通して、ほとんどのアメリカ人が間接的にビットコインに投資することになります。
ステーブルコインの利用が一般化します。ビットコインはもともと、クロスボーダーでの決済や送金を意図して生まれましたが、結果的にはそうした用途には使用されず、「デジタルゴールド」、価値の保存手段として使われています。決済や送金はステーブルコインが担います。
Web3ゲームのトレンドとして、特に「IP(知的財産)」と「AAAクオリティ」が大きなナラティブになると思います。日本の強みは、世界的に有名なIPの豊富さにあり、これが大きなチャンスをもたらすと見ています。
Web3 is Now!!
伊藤穰一/デジタルガレージ
2024年は、民主主義と国家にとっては危機的な1年です。一方で、web3やクリプト、資本主義にとっては良い年になる可能性があります。
2023年は、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続き、さらにイスラエルとハマスの衝突と、世界は混迷を極めています。特に、アメリカの名門大学が政治的な状況により大きく揺れています。イスラエルとハマスの軍事衝突以降、差別や偏見に基づく事件などが相次ぎましたが、一部の大学が「表現の自由」に配慮する必要もあるという立場をとりました。これに対してユダヤ系の人たちから「差別的な反ユダヤ主義を明確に否定しなかった」などと批判が高まったのです。
これは非常に難しい問題で、もし大学が何も意見を言わなかったら「立場を表明していない」として攻撃されていただろうし、どの立場をとっても誰かの批判を受けることになる。日本にいると「なぜ?」と思うかもしれませんが、「どちらかを選ばないといけない」ということがグローバルで起こっており、特にアメリカではこれが「分断」を引き起こしています。
2024年は、「史上最大の選挙イヤー」と呼ばれるほど各国の重要な選挙が予定されています。11月のアメリカの大統領選だけではなく、1月の台湾総統選、2月のインドネシア大統領選、3月のロシア大統領選、4月から5月のインド総選挙があります。アメリカの大統領選では、トランプ前大統領が優勢なのではないかとの見方もあり、僕のまわりでは「もしトランプが再び大統領になったら、今度こそ本当に国を出る」と公言している人も多くいます。
こうした状況で、2023年に世界を席巻した「生成AI」が重要な意味を持っています。軍事衝突においては、AIによって進化した無人ドローンが戦車を倒す、さらに自律した武器、ウェポンが出てくると見込まれています。選挙においても「AIフェイク」による嘘やデマがSNSに広がり、その勢いを増すでしょう。LLM(大規模言語モデル:Large language Models)においては、どうコントロール・マネージするのか、AIのアカウンタビリティ(Accountability:説明責任)が課題となります。その意味では、プロバビリスティック(Probabilistic:不確実性の)プログラミングも進化しており、おそらく信用できる構造的なAIが今年に出てくるのではないでしょうか。
最後に、僕が2023年12月に訪問したブータンの明るい話をして終わりましょう。
ブータンは人口77万人の小さな国で貧しいですが仏教国で幸福な国でしたが、最近は若い人にとっては魅力が減って国外に行くようになってしまった。現在の国王がそれに危機感を持って、いまweb3・クリプトにフレンドリーな国にしようと税を新しくする施策などを最近に発表して、僕もアドバイザーに就任するので招かれて式典に参加してきました。式典には3万人が集まり、国王の演説はすばらしく、最後の歌では歌いながら泣いた人がいるほどで、リーダーとの一体感がありました。カーボンネガティブな水力発電のエネルギーがあり、最近はビットコインのマイニングを始めています。「これからだ」という未来を感じました。
世界の政治状況は不安定ですが、ブータンのような国もある。日本もweb3に関連する法律が変わり、web3プロジェクトや事業がしやすくなっています。大企業がさまざまなプロジェクトの発表をひかえていると聞いています。web3にとっては2024年は、きっと良い年になるのではないでしょうか。
坂井豊貴/慶應義塾大学・ONGAESHI
ブロックチェーン技術で発行されるトークンは、実需ある資産や、価値ある実業と紐づけられるものが主流になっていきます。つまり2023年に注目されたRWA(現実資産)の流れは、2024年も止まらないし、加速します。「Tシャツからスーツへ」の流れですね。
私自身はこれからも犬やミームやパチンコを愛し続けますが、この流れ自体は健全だし、その流れに自分も貢献したいと思っています。ただし私は、犬やミームやパチンコの「怪しさ」は、実需ある資産や、価値ある実業とも結び付けられると考えています。そもそも資本主義の半分はそういうものでできている。
スーツの上にTシャツを着るようなカオスの到来を期待しています。
小田玄紀/ビットポイントジャパン・SBIホールディングス・JVCEA会長
国内の暗号資産交換業者は2023年により一層のAML/CFT対策を実現しました。主要先進国では先駆けてFATFトラベルルールに基づくソリューション導入がなされ、2024年も引き続き改正外為法に基づく対応をはじめとしたマネーローンダリング対策の徹底を図っています。
セキュリティ対策も引き続き取り組みをしています。暗号資産というとハッキングのイメージがありますが、国内の暗号資産交換業者は2020年以降ハッキング事案は発生していません。
このような「守り」を固めることは今後の市場成長において大きな意味を果たすと考えています。
2023年は国内暗号資産審査も引き続き順調に展開されており、現在は国内暗号資産交換業者で取扱可能な暗号資産は100種類近くにまでなっています。IEOも多くの審査がされるようになっています。
2024年は海外でのビットコインETFの承認やビットコイン半減期の到来、国内でもステーブルコインの発行・流通が実現するなど大きな市場変化が期待されます。
暗号資産市場は250兆円を超え、主要暗号資産の1日あたり出来高は10兆円を超えています。東証の1日あたり出来高は3.8兆円程度なので、「暗号資産なんてただの投機だ」という主張は誤っていたことが証明されつつあります。
否が応でも変化は生じます。この変化にどのように向き合い、また、自らが良い方向に変化を起こすことが出来るかどうか。これが業界に関わる者として矜持すべきことではないかと思います。
あしたを、もっと、あたらしく。
このマインドを常に意識しながら、2024年も新しい価値の創出に貢献していきます。
大塚雄介/コインチェック
2023年は、Crypto Winterに耐えて、Crytpo Summerへ備える一年となりました。
市場の変化に適応してコスト適正化や新規事業を仕込んだ暗号資産交換事業者ならびにクリプト/web3領域の事業者は、ボラティリティの試練を乗り越えて、2024年は次なる機会を掴むことができると思います。
暗号資産交換所は、web3時代のインフラです。当社はクリプト/web3領域で新しい挑戦をするパートナーのweb3アプリケーションが成功するように、新規取扱い通貨の追加、IEO、INO、ならびにユーザー獲得支援のための共同マーケティング/PR等を通じて全力で支援してまいります。
『web3事業をやるなら、Coincheckに相談してみよう』
そう思っていただけるように、引き続きがんばっていきます!
井坂友之/コインチェック
2023年は年の後半にかけてCrypto Winterを抜け出し、徐々に明るい兆しが見えてきたことを実感しています。クリプト/web3領域の事業者が過去から継続して取り組んできた活動の成果があらわれた一年でもあり、2024年はさらに良いマーケットになっていくと信じています。
特に今年は、IEOやINOといったクリプト/web3プロジェクトへの挑戦が様々な業界・事業者にさらに広がっていき、暗号資産やNFTのユースケースは着実に増える一年になると思います。会計や税制のルールメイクが着実に前進していること、また、ステーブルコインなどが流通する素地が整ってきていること等を踏まえ、当社として新たな挑戦の検討も進めて参ります。コインチェックは昨年以上にクリプト/web3領域で新しい挑戦をするパートナーの皆さまに最大限の支援をすることを通じて、パートナー企業の事業やユーザーの方々をクリプト/web3へと接続し、暗号資産・NFTをより多くの人に身近に感じていただける世界を作ってまいります。
千野剛司/Binance Japan
今年のブロックチェーン業界のキーワードは間違いなく「リアルとの接続」です。特に伝統的金融との接続は間違いなく進展すると思います。
理由の1つ目は、現物のビットコインETFです。足元では米国SECによる承認観測が高まっていますが、仮に承認されれば日本での暗号資産ETFの解禁に向けた機運が高まると期待しています。ETFは特定の資産を株式のような有価証券の形にして証券市場で取引ができるようにするものです。これが実現すると暗号資産ETFは証券会社による取扱いが可能となり、暗号資産市場は、法人口座も入れて3500万弱の口座を有する証券市場と接続することになります。
2つ目は、ステーブルコインです。ステーブルコインはブロックチェーン経済圏で日本円等の法定通貨を使えるようにするものです。つまりブロックチェーン経済圏が伝統的金融を含めてリアルな世界と接続するための謂わば「接着剤」の役割を果たします。昨年の法改正で可能となった国内でのステーブルコインの発行と流通がいよいよ実現するのが今年だとみています。私どもBinanceも海外での経験を活かしてぜひ実現したいと思っています。
最後になりますが、昨年Binanceは日本法人(Binance Japan)によるサービス提供を開始するとともに、グローバルで行っていた日本向けのサービスを終了し日本法人への移管を行いました。移管は現在も継続中ですが、すでに相当数のお客様がお手続きを終えてBinance Japanでのサービスをご利用いただいております。先に挙げたステーブルコインだけでなく、「取扱い暗号資産100」などなど盛りだくさんの計画を早期に実現するため、アクセル全開で辰年を駆け抜けたいと思います。
金光碧/bitFlyer
2023年は「Crypto」のインフラとしてのユースケースは目立ちませんでしたが、個人的には日本、グローバルともにTreasury Walletを有する分散的なDAO、企業がCryptoを使ってインセンティブ設計する「DAO」の発展に期待したいです。
後者の「DAO」の成功事例は足元いくつか小規模なものも含めて出てきており、ユーザーにCryptoを意識させずに行動を活発化させ、コミュニティを盛り上げることに成功しています。日本では今年DAO法の成立が期待されており、ゼロ知識証明を応用して匿名性の担保を実現する手法も具体化してきています。
一方で、株や債券などの伝統的金融資産と無相関の「デジタルゴールド」としてのビットコインに機関投資家の興味が高まっており、現物ETF上場も受けてビットコインの金融資産としての地位は一定程度確立されそうです。
「インフラ」「デジタルゴールド」として2024年は暗号資産市場の大きな盛り上がりを期待しています!
仮想NISHI/SBI VCトレード
ビットコインの価格は、2023年を通して年初以来3倍近く上昇。2022年のFTXショックなど相次ぐ危機的状況を脱し『春の訪れ』を感じさせるものでした。
2024年のビットコインは現物ETF上場期待(1月8日時点)や半減期、イーサリアムにおいてはカンクンアップデートなど多くのポジティブなイベントが予定されております。
また、イーサリアムにおいては、レイヤー2で特に「アービトラム」「オプティミズム」などが活発に取引されており、加えてイーサリアムの代替となりうる「ソラナ」「アバランチ」も昨年価格を大きく上昇させました。更に「アプトス」「スイ」といった新技術を用いた勢力も頭角を現してきています。
春の次の季節は夏になります。今年は『夏の季節』到来となるのでしょうか。
皆様にとって今年もよいWeb3ライフが送れることを願い、新年のご挨拶とさせていただきます。
中村 奎太/メルコイン
2024年は多くの人にとって暗号資産やブロックチェーンの技術に触れる年になると思いますし、メルコインとしてもそうしていきたいと考えています。
23年は3月からメルカリでビットコインを取引できるサービスをリリースし、日本においてまずビットコインを持ってみるところから、多くの方に利用していただくことができました。
24年はビットコインを使った決済の導入から始め、ますます多くの方が、ブロックチェーンを活用したサービスを実際に利用するシーンを増やしていきたいと考えています。
半減期やグローバルでの金融的な動きも活発になり、さらに注目が集まる年に我々はよりユーティリティに着目した、人々にとってより身近に感じていただけるステップを踏んでいきたいと思います。
本年のメルカリ、メルコインにご期待ください。
東晃慈/Diamond Hands
2024年はビットコインにとって痛みを伴う前進の年になると予想します。
まず近くローンチが想定される現物のビットコインETFはビットコイン価格にも追い風になりますし、新しい投資家やユーザー層がビットコインに参入する年になると思います。価格的にも今までのバブルに比べて、ビットコインの市場占有率はそこまで下がらないのではないでしょうか。
その一方で利用者やOrdinalsなどを含めたユースケースの増加によりビットコインのオンチェーン手数料は高騰し、それをきっかけにコミュニティ内での論争や混乱を生み出す可能性があります。
またスケーリングソリューションとして期待されていたライトニングの技術的限界や課題、扱いずらさに対する批判もスポットライトを浴びそうです。
一方、オンチェーン手数料の高騰は、ライトニングとLiquidやFedimintなど、その他のレイヤー2プロトコルの相互互換性の改善を促し、ライトニング以外の周辺プロトコルの利用が進む年になりそうです。
今年は一部混乱が起きることも想定されますが、複数のプロトコルの併用を通してビットコインの機能性の改善やスケーリング性能の向上をしていくアプローチが具体化するという点で、ビットコインの将来性を示す前進の年になると言えそうです。
栗元憲一/Nayuta
2024年のBitcoinは既にETF承認が話題となっています。
原稿執筆時点ではまだ確定していませんが、1月前半にも承認されると見ている人達が多数存在しています。
Bitcoinのイノベーションは (1)特定の組織や国家によらず生成される価値 (2)特定の組織や国家に依存せずに送受金される価値の二つの大きなポイントがあると個人的にみていますが、ETFが承認されると(1)のイノベーションはPMFに大きく近づいたと考えられると思います。
一方で(2)についてはチャレンジの真っ最中です。Lightning Networkについては一年前の業界予想にも書いたようにカストディアルLNを中心としたアダプションがグローバルで進んでいます。昨年話題となったRiver financialのレポートでも分かるように世界中でTx数は大幅に増加しています。一方で現行バージョンの限界も共通認知され、その緩和策として一年前に予想したLiquidやFedimintとの組み合わせは2024年前半にはプロダクトが出てきそうです。
新しいアセットクラスとしてのBitcoinは、ETF承認、半減期、米国利下げ予想と、2024年に非常に大きな飛躍を遂げると考えています。価値保存として認められた後に、時間をかけて価値交換としてのBitcoinが少しづつ皆の関心となってくる年になることを期待しています。
藤本真衣/INTMAX
モンテネグロ、イスタンブールで開催されたネットワークステート(ネットワーク国家)を実験的に立ち上げたポップアップシティーZuzaluではゼロ知識証明を使い、自分が誰であるかを明らかにすることなく、Zuzaluの市民権を証明できるパスポートが使われてました。
また、ZKP2PというVemoの支払いメールを証明しオンランプ・オフランプをトラストレスにできるプロジェクトが出てきていたり、Witness Encryptionという最新の暗号技術をを使ってトラストレス・ビットコイン・ブリッジを実現間近まで持っていけそうなプロジェクトも出てきています。
2024年もこのような暗号技術の進化からは目が離せません! ここでは書ききれないので、詳細は「あたらしい経済(New economy)」によるaudible特別番組第45弾、暗号資産/ブロックチェーン業界、2024年トレンド大予想をお聴きください!
渡辺創太/Astar・Startale Labs
2024年はマスアダプションにむけて非常にクリティカルな年になると思います。AstarとStartale Labsとしては未来を予測するフェーズではなく、未来を創るフェーズに入ってきているのでかなり大掛かりなプロジェクトをいくつかローンチします。
また、Startale LabsとしてはアジアトップのWeb3企業を本気で目指しており、23年に完了した座組が24年になり日の目をみることになります。
A Star Tale (Astar + Startale)(1つの星 [希望 ] の物語)と名実なれるように頑張ります。
ビール依子/Polygon Labs
昨年はゲームを含むエンターテイメント、ブランド関連ユースケースの発表が目立ち、またマーケットの状況も温まってきています。今年はステーブルコインなども重要なキーワードですが、私は引き続きエンターテイメントやブランド関連の取り組みに注目しています。
厳しい冬の時代を乗り越え、準備を整えたプロジェクトは今年ついに本格ローンチするものも多く、ゲームは実際に遊べるものが増加し、ロイヤリティプログラムによりユーザーは保有したアセットを活かして新しいブランドとのつながりを築くことが期待されます。これにより、ユーザーにとってもWeb3がより身近に感じられる一年となるでしょう。
グローバルな視点から見ても、2024年はアジア、特に日本での動向が注目を浴びる一年になりそうです。日本のWeb3コミュニティ、開発者、企業が国際的なステージで躍進し、新たな可能性が広がることに非常に期待しています。
大日方祐介/Web3 Foundation
“NEVER FORGET WHY YOU STARTED(なんで始めたか、絶対忘れるな)” ― これは、この界隈に出入りして間もないころ、初めて登壇させてもらったイーサリアムカンファレンスで掲げられていたテーマです。今年に入ってあらためて、この一文がよく脳裏に浮かびます。
2024年は、初めてイーサリアムの共同創業者たちが対面で集まりVitalikがプロジェクトの全貌を講演したBitcoin Miami、Gavinが技術仕様を策定したイエローペーパーの公開、そしてETHのICOからちょうど10年の節目の年。バブルを期待する人も多いですが、この界隈を創り上げてきたテクノロジストたちのような初心に立ち戻るのが重要だと思います。
マーケット回復を予測して、多くのブロックチェーンも新たにローンチされようとしていますが、技術性・分散性の観点どちらからも本格的にその真価が問われる年になると思います。分散性の有無をしっかり見極める規制当局は増えるでしょうし、昨年にもあった技術面のストレステストのような事例は今後も起き続けると思います。
そんな中で、プロジェクトやコミュニティを創る側の人までも自らの持つトークンやビジネスの価値向上ばかりを考えるようになってしまっては、長期的には成り立たないものが出来上がるだけか、中央集権的なビジネス構造がまた一つ創造され少数の富裕層が生まれるだけで、分散型テクノロジーの志は果たされることはないでしょう。
そんな未来にふと辿り着かないよう、初心忘るべからず、やっていきたいと思います。
トレスト/Symbolバリデーター
ガートナーの日本におけるテクノロジーのハイプサイクル上でのブロックチェーンは、多くの人が熱狂した2017年には「過度な期待のピーク期」の頂点にあり、瞬く間に幻滅期に入りました。2023年8月発表のハイプサイクルでは長かった幻滅期の末期にあり、啓発期突入が今年なのか来年なのか、という段階にあるようです。
これまでのブロックチェーン/暗号資産はICOからNFTまで「よくわからんけどなんか儲かりそうだから乗っておけ」という類の勢いが強かったように感じます。しかし2024年からは、社会課題の解決や自律分散型で形成する経済など、ブロックチェーンの本質的な部分の啓発が深まり、理解が広がる時代に入っていくのではないかと思います。
日本では2024年よりステーブルコインの発行が相次ぐ見通しと言われており、そこにも注目していますが、ステーブルコインは企業間決済市場での活用以外の用途が見え難いという声もあるようです。
しかし、多種多様なチェーンが増え技術的な優位性比較の必要性が色あせる中、Symbolコミュニティにはステーブルコインを通じた個人間決済を啓発するモデルケースとなり得る土壌が育っている特異な優位性があります。
長年NEM/Symbolの日本コミュニティでは、基軸通貨を”お金”として消費すること以上に、「パブリックチェーン上でトランザクションを発生させる意味とステーキングの利点を学ぶ機会」として暗号資産決済を広めてきた経緯があり、決済を盛り込んだコミュニティ主導イベントもいくつか催されてきました。
もしSymbol上でステーブルコインが発行され消費への門戸が開放されれば、これまでコミュニティが培ってきたノウハウを生かし、ブロックチェーンに触れる機会のなかった層にアプローチし、業界全体の中でもとてもユニークなことを成し遂げそうなので、実現したらいいなと思ってます。
吉川絵美/Ripple
2023年は現実世界の資産(RWA)のトークン化が加速しました。Rippleは2012年の創業当初から「価値のインターネット(IoV)の実現」をヴィジョンとして掲げてきましたが、その土台となるのがまさにRWAのトークン化です。
今年Rippleは香港金融管理局のe-HKD Railパイロットプログラムの一環として不動産資産トークン化ソリューションのデモンストレーションに参画したり、ジョージアやモンテネグロのCBDC実証プロジェクトに選出されるなど先駆的なプロジェクトに取り組んできました。また、XRP Ledgerを活用したカーボンクレジットのトークン化プロジェクトも数多く立ち上がっています。
このRWAトークン化の動きは一過性のブームではなく、2024年も継続的に発展し、安全なトークン化技術、カストディ技術、規制整備、流動性などのインフラの成熟化が一層進んでいくと思います。
松原亮/Oasys
「Web3 とBCG(ブロックチェーンゲーム)は希望に」
ビットコインにリードされて全体が上昇する過程で、トリクルダウンにより通貨不安、戦争、貧困などの困難からの脱出の手段としての仮想通貨の実需が発生する地域に資金が染み出し、新たなブームを作ると予想します。
前のブームではコロナ禍の貧困からの脱出としてゲームを通じて、マスアダプションに手がかかりかけました。前の課題に対して様々な開発者が冬の間、研究開発を重ねてきたものが花開くと思います。
日本においても、円安によって露骨に炙り出された緩やかな衰退に対する希望として、浸透していくことでしょう。
OASYSではマスアダプションに向けた施策を辰年にかけてDragon Updateと銘打って、取り組んでおります。
Web3とBCGが日本にとっても希望になるように、世界で龍の如く登っていきます。
吉田世博/HashPort・HashPalette
2023年は、2024年の半減期を控え、次のマーケット成長のナラティブが明らかになった一年になったと考えております。
2024年における現在時点での最大のナラティブは、既存金融システムへの暗号資産のアグリゲーションではないでしょうか。米国におけるビットコインETFの承認や、日本におけるステーブルコイン規制の整備によって、機関投資家のポートフォリオや国際送金のツールといった既存金融システムの中にトークンが組み込まれることはほ重要なナラティブになると思います。
また、コンシューマー領域への普及は引き続き大きなテーマになると思います。多くのブロックチェーンゲームの代表されるGameFiの新たな盛り上がりや、friend.techが実証したSocialFiの可能性など、生活の中にWeb3が溶け込むキラーユースケースが生み出される一年になると思います。
それらを支えるインフラとして、Web3ウォレットの普及は大きなポイントであり、大阪関西万博での普及も見据えて、弊社も大きくベットしている領域です。
宮沢和正/ソラミツ
2024年のWeb3/ブロックチェーン関連の七大予言
・BTCのETF化に伴い、暗号資産が軒並み高騰
・世界中でブロックチェーンベースのCBDCプロジェクトが続々と登場
・ブロックチェーンを活用したクロスボーダー決済が開始
・日本発のステーブルコイン(預金型・特定信託受益権型)がいよいよスタート
・大手金融機関を巻き込んだ、日本主導のDeFi実証実験が開始
・値上がり期待型ではなく、デジタル証明書・鑑定書・会員権としてのNFTが続々と登場
・日本のWeb3/ブロックチェーン業界からユニコーン企業が誕生
当社ソラミツは、昨年2023年の活動として、
1)カンボジア中銀の「バコン」システムのユーザー数が1000万人(国民の2/3)を超え、取扱高はカンボジアGDPの70%に
2)カンボジアの「バコン」は、タイ、マレーシア、ベトナム、ラオスとクロスボーダー決済を開始
3)ラオスでのCBDCの実証実験を完了、ラオス中銀と継続検討中
4)ソロモン諸島でのCBDC実証実験を完了し、本番システムに向けて準備中
5)日本とアジアを結ぶクロスボーダー決済サービス「MUTSUMI」を発表
6)DeFi DEX PolkaSwapのStaking対応など大幅機能拡充
7)Fareless Wallet、ERC20はもちろんPolkadot対応の500種類以上の暗号資産を取り扱うMetaMask上位互換のDEX対応Walletを開発
8)Klaytn対応のDEXの開発、PolkaSwap開発の経験を横展開
9)英国Orillon社と携帯事業者向けの不正情報データベース連携システムの構築
など、様々な実績を残すことができました。
2024年は、更なる飛躍と業容拡大を予定しており、上記の七大予言を自ら達成していきたいと思います。
正田英樹/chaintope
ブロックチェーン領域において、本年は世界が日本に期待をする年になると思います。
日本は動きは早くはありませんが、着実に法整備も整えて来ています。
そして、日本は日本人の気質によって、ブロックチェーンを社会の役に立てる、社会問題を解決するために使えないかと考えている人物が多いことが挙げられます。
地方創生のためのDAOも増えて来ると思います。DAOも暗号資産による厳格な分配に重きを置くよりも、主体的に社会に役立つコミュニティーを作り上げるためにDAOの活用が期待されます。特に防災の領域には活用が予想されます。
また脱炭素を加速させる仕組み、循環型経済を加速させる仕組みにブロックチェーンが活用され、正確なエビデンスを元にトークンやコインが発行される仕組みが出て来ます。このトークンやコインは、金銭的価値と同時に社会に貢献した価値の見える化としての軸もあり、社会に新しい評価の軸を作る重要な役割を果たすと思います。
日本人だからできるブロックチェーンの活用に世界が賞賛する年になると思います。
近藤秀和/Japan Open Chain
皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年度はステーブルコインが話題になりましたが、今年はRWAが話題の中心になると考えております。暗号資産領域も詐欺的なプロジェクトが闊歩したいた時代が過ぎ去り、業界も冬を超えて春になってきており、本格的に暗号資産やNFTの社会実装が始まる年になるでしょう。また、暗号資産を扱うウォレットのセキュリティやユーザビリティの改善、インフラレイヤーのさらなる進化、エンタープライズ領域の進化が期待されます。
まだまだ日本にはweb3プレイヤーが圧倒的に少ない状況ですので、今後どんどん新しいプロジェクトやスタートアップが増えていくことを期待しております。
平田路依/Ava Labs
2024年に私が注目する技術領域はブロックチェーンのバーチャルマシン領域での並列処理技術です。近年、NFTやDeFiの出現がスマートコントラクトを活用した新しいアプリケーションの価値を浸透させてきました。しかし、インフラストラクチャの面では、一部の高負荷な利用ケース(例えば碑文NFT)が他のユーザーのアプリケーション利用と競合する問題が生じています。これは、多くの場合、シングルスレッドEVMを使用していることが原因です。これにより、L1レイヤーでの並列処理能力を持つ新しいVMに対する関心が高まっています。
既存のEVMの並列処理化や、新たな並列処理VMの登場はWeb3のマスアダプションにとって必要不可欠だと思っています。特にAvalancheのHyperSDKは手軽に並列処理VMを開発できるツールとして新しいブロックチェーンVMのカンブリア爆発の年になるではないでしょうか。
FUJITA TAKUYA/Cosmos Japan ・ mycel
2024年は様々なレイヤーにおけるクロスチェーンプロトコルの発展に注目しています。
2023年後半は、チェーン間のインターオペラビリティを下敷きとして、Celestiaなどのモジュラーブロックチェーンを提唱するプロジェクトの出現が目立ちました。
2024年は、ユーザーが直接触れない層におけるL1やL2間における連携がより発展、複雑化すると共に、ユーザーが触れるアプリケーションのレベルにおいてもクロスチェーンプロジェクトが当たり前になるでしょう。さらにそこにintent-centricな設計が載ることで、ユーザーがそれらチェーン間の垣根を意識しない仕様になっていくだろうと考えられます。
これらにより、今まで以上に多くのユーザーがクリプトに触れやすくなることで、プライバシーに関する課題が顕在化し、ゼロ知識証明の重要性もより説かれていくでしょう。
木村優/UnUniFi
2023年に注目されたキーワードの一つは、間違いなくモジュラーブロックチェーンだと思います。2023年末時点ではSolanaにおいてミームコインブームが爆発していますが、これはSolanaのガス代が高ければすぐに萎んでいたであろうとも言えます。広い意味でブロックチェーンのユースケースを捉えればミームコインも一つのユースケースであるとであると言えますし、inscriptionでガス代が高騰しているエコシステムはまだまだスケーラビリティの改善が求められていると思いますが、そこでモジュラーブロックチェーンのパラダイムは間違いなくエコシステムにスケーラビリティをもたらすでしょう。
2023年に注目されたキーワードではありますが、モジュラーブロックチェーンの設計で作られたレイヤー2ブロックチェーンが多く稼働しだすのは2024年です。ガス代の低減により可能になった熱狂がビットコインの半減期と重なるような、熱い年になるのではないかと期待しています。
Crypto Baby/Mask Network・KudasaiJP
今年3月にはBitcoinの半減期を迎える予定で、これまでの相場に見られた”半減期後のバブル”に期待している人も多いのではないでしょうか。バイナンスという一世代を築いたCZの引退やバイナンスインターナショナルの各国からの撤退というニュースも昨年あり世界規模での規制が進んでいるのを感じます。しかし、Bitcoin ETFが承認されれば今後の市場拡大の大きな追い風になるでしょう。つまり、規制下マーケットの拡大による資金流入がマクロな2024の市場背景になると思っています。
個別カテゴリについて触れるとするなら、私はレイヤー2の発展に注目しています。(気になるカテゴリはたくさんありますが笑)例えば、ArbitrumとOptimismを合わせたチェーン上資産は約5000億円に達し、増加傾向となっています。今後はOptimistic rollupベースのレイヤー2だけでなくZk rollupのレイヤー2も徐々に頭角を現していくでしょう。
久田哲史/Datachain
2023年は「パブリックとエンタープライズの”技術”や”ユースケース”が溶け合い始める年になる」と書かせて頂きましたが、2024年は、まさにその実例が日本からも誕生することになるでしょう。
Datachainとしても資本参画をさせて頂いたProgmatでは、セキュリティトークンの運用規模は24年3月に1,000億円を超える規模にまで急成長しています。また、2024年にはProgmatのプラットフォームを用いて法規制に準拠したステーブルコインが発行される予定です。
その中で、ステーブルコイン等のRWAを用いたクロスチェーン取引を実現するのがDatachainや、私たちのパートナーであるTOKIの役割です。技術的には、すでに80以上のチェーン同士をつなぐメッセージングプロトコル「IBC」を用いています。
RWAのトークン化という巨大な潮流の中で、これまで研究開発により培ってきた技術を元に貢献できるよう、頑張っていきたいと思います。
齊藤達哉/Progmat, Inc.
金融とトークンの境界が融け、統合が進む1年になる。
次世代金融システムの中核に、ブロックチェーン技術が浸透するという表現も可能だ。
価値の源泉が「データ自体(の需給)」にある「暗号資産」と、価値の源泉は「RWA(実在資産)」側にありデータは価値の表象に過ぎない「RWAトークン」とで、視座は異なる。
「RWAトークン」は、実在世界側での法的整理/スキーム構築とRWA管理者の信用が肝だ。
キャッシュフローをもたらす資産のトークン化は「ST(Security Token)」、法定通貨(に対する債権を含む)のトークン化は「SC(Stable Coin)」だが、規制上それぞれの発行者/仲介者はライセンスが必要となり、必然的に金融機関が重要な役割を担う。
端的には、以下のような進捗が期待される。
①複数の”国産SC”プロジェクト(円建て/ドル建て)の市場投入/流通が開始される。
②STの流通市場(START)が本格稼働し、SCを利用した決済制度の高度化(DVP)が本格検討される。
③STの市場規模が、2,550億~3,550億まで到達する。(世界No.1規模)
「暗号資産」については、決済利用よりもキャピタルゲイン目的での資金流入が現実的とみる。米国で先行して「ETF」の”試行錯誤”が進む中、仮に”SEC承認”となった暁には、日本でも「ETF」の議論が進むことを期待したい。
具体的には、現在「管理型信託」しか認められていない国内信託について、「運用型信託」も可能となれば、米国のブラックロックに頼る必要もなく、日本の金融機関でも「暗号資産ETF」を創れる。
日本が規制整備で先行できる期間は限られている。
まず確実にRWA領域で世界No.1市場となり、暗号資産でもNo.1となる”転換点”となる1年にしたい。
図解・解説:https://note.com/tatsu_s123
大木悠/dYdX Foundation
辰年は、物事が目に見えて大きく動き、変わっていく年だという。2024年、クリプト業界では今まで見たことも聞いたこともない人・プロジェクトが多く登場するかもしれない。
2023年、クリプト業界は一つの時代が終わりを迎えた。世界最大の取引所として君臨してきたバイナンスの創業者CZが引退した。変化の兆しはすでに出ている。
dYdXは分散型取引所(DEX)であり、創業者のアントニオ・ジュリアーノは、バイナンスなどの中央集権的な取引所(CEX)を含む取引所ビジネスでのNO.1を目指している。しかし、アントニオはこの目標達成には少なくとも5年は必要と見ている。2023年、dYdXはコスモスの技術を活用して、独自のブロックチェーン「dYdXチェーン」を立ち上げた。ようやくスタートラインに立った。
私の勤め先であるdYdX Foundationは、dYdXの運営企業ではない。実はdYdXには、どの個人・組織も中央の意思決定者として君臨していない。取引所は世界中に散らばる60のバリデーターによってみんなで管理され、dYdXというプロジェクトの方針を決めるのはDAOのガバナンスだ。dYdX Foundationは、dYdXのガバナンスをサポートすることが使命だ。
完全に分散化した取引所であるdYdXはある意味壮大な実験だ。2024年、クリプト業界の変化への一助になれればと思う。
Yutaro Mori/Orca
今後クリプト圏におけるユーザーの活動は、高いスループットと低い手数料に特化したブロックチェーンに流れていきます。その大本命であるSolanaも直近数ヶ月で多くの方々から改めて注目を得ることができました。特にアジア地域のクリプトコミュニティの方々は、この市場の変化に驚かれていたという印象が残っています。
私はこの変化に対してまだ懐疑的な方達の疑念は、今後クリプト圏の重心がSolanaにますます移行するにつれて、驚きの連続を通じて確信に変わっていくのではないのかと考えています。(翻訳:@rg_orca)
Ran Yi/Orderly Network
2024年は以下の点が業界にインパクトを与えると見ています。
①ビットコインのL2スケーラビリティとスマートコントラクトの開発
2024年はL2ソリューションとスマートコントラクト機能の開発が進む中、特にオーディナルズ とBRC-20の導入によってビットコインのDeFiエコシステムが栄えると考えます。これによりビットコインが独自のネイティブアセットとdAppsの開発が加速します。
②幅広い機関の導入
今年はTradFiとクリプト間でより深い統合が見られると考えます。特にビットコインETFの上場とRWAのトークン化で、より多くの伝統的資産がチェーン上に登場します。Orderly Networkの様なプラットフォームが伝統的金融取引所に対する分散型として機能し、ビットコインETFは機関投資家への導入及び取引活動を促進し、従来の市場と仮想通貨市場間の境界線をさらに詰めると思います。
③オンチェーンインテントとAI
インテントとソルバーにより、通常ではクジラ向けの高度な金融サービスが誰でも利用できるようになります。AIはオーダーメイドのインテントベースのサービスを提供し、ソルバーアルゴリズムを最適化し、dAppとの対話を合理化することで、ユーザー体験をさらに向上させます。
④DeFiが主流になる
分散型取引所(DEX)によるCeFiの再現は、ユーザーによるDeFiの採用を促進し、より幅広いユーザーに馴染みのあるインターフェースを提供します。またDeFi上でミームトークンとエアドロップがユーザーを引き寄せ、コミュニティの参加を促進する鍵となります。
⑤抽象化(Abstraction)とさらなる抽象化
アカウントやチェーンの抽象化などが、web3 dAppsのUXの向上と、web2ユーザーの引き寄せに重要な役割を果たし、web3テクノロジーの普及のための重要な触媒となります。
豊崎亜里紗(あとい)/Cega
あけましておめでとうございます。
2024年は、マクロ動向が暗号資産界隈を大きく動かすであろう一年と予想されます。個人的には、ETFの承認と米国の利下げの可能性が最も注目すべきポイントだと考えています。これらの要因は、米国大統領選挙と密接に関連してくるでしょう。以下に、これらのマクロの要因がDeFiをどのように影響するかについての考えをまとめてみました。
もし市場が一年を通して下落したり乱高下したり、暗号資産に対する風当たりが強まった場合、流動性の供給はリステーキングのマルチレイヤー化などがトレンドになると予想されます。SolanaのテクノロジーがEVMの領域に進出したり、Bitcoin上でのスマートコントラクトが一般的になったりと、引き続き主要なエコシステムが目立つでしょう。
逆に、市場の活気と同時に飛躍するカテゴリーで注目しているのはデリバティブとRWAです。デリバティブには、暗号通貨を使用したものだけでなく、ブロックスペースの先物などが登場する可能性があり、既存の金融商品のオンチェーン化なども挙げられます。
Cegaは引き続きDeFiデリバティブの市場リーダーとして、新しい技術の開発と啓蒙を牽引していきます。今年も変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
稲見建人/UXD Protocol
2024年はZK Rollup, Restaking, High ThroughputのL1の3つが特に評価される年になると予想。
ZK RollupはStarknetのトークンローンチが高いValuationをつけ、Zkrollup競争が加速する。
Restakingに関してはEigenlayerとBablyonに注目している。
High Throughput L1に関してはSolanaとMonadが強いコミュニティを背景に存在感を示し続ける。
アプリケーション側では特にgamefiに注目しているが、全体的にアプリケーションよりもインフラが優位であることには変わりがないと予想。
ビットコインのETFが承認され、より多くの人がクリプトを認識する年になる。ビットコインに資金が流れるが、その後は資産を大きく増やそうとするリテールの資金がアルトコインに流れる。
クリプトはしばらくはグローバルなデジタルカジノとして発展していく。
Yoshi/StableFish
2024年に最も注目される成長分野について、世界的に著名な10社※が行った予測レポートを元にランキングを作成したところ、以下の分野が注目されています。
1位 DePIN(6社)
2位 AI+ブロックチェーン(6社)
3位 モジュラー型ブロックチェーン、BTC上でプロジェクト開発(4社)
実物インフラを共有するネットワーク「DePIN」が、最も注目を集めています。すでに地図情報、無線LAN、GPU、ストレージなどの分野で利用されており、その低コストのサービス提供が市場のさらなる拡大を促すでしょう。また、DePINを効率的に運用するためのブロックチェーンとして、SolanaやICPなども注目を浴びそうです。
金融分野では、Celestiaを筆頭にモジュラー型ブロックチェーンの採用が拡大しています。これにより、送金やDeFiの利用が安価になり、より多くのユーザーが恩恵を受けられます。また、DeFiが規制に対応することで機関投資家の市場参入が促進され、DeFi市場の成長が期待されています。Uniswapの対応が注目されており、成功すれば飛躍が期待できます。
※Coinbase, a16z, Messari, Nansen, VanEck, Hashed, Pantera, Spartan, Bitcoin Suisse, Brevan Howard