ファン・エコノミー時代のあたらしいプラットフォーム「FiNANCiE(フィナンシェ)」とは
「FiNANCiE」は達成したい夢を持つユーザー(ヒーロー)がヒーローカードを発行でき、またそれを応援するユーザー(ファン)がそのヒーローカードを購入することができるファン・エコノミー時代のあたらしいコミュニティ・サービスだ。
ヒーローは「FiNANCiE」上でファンに自分のヒーローカードを販売することで、そのファンから活動資金や様々な協力が得られるようになる。またこの「FiNANCiE」にはヒーロー、ファンに加えて著名人や起業家などから選ばれた第一線のヒューマンキャピタリストという強力な応援者も存在する。
カードを購入したファンやヒューマンキャピタリストは、ヒーローが発行したヒーローカードを「FiNANCiE」内のマーケットプレイスで売買することが可能。さらにそのヒーローカード売買時も、その取引に応じたインセンティブをカードを発行したヒーローが受け取ることができる仕組みだ。またヒーローカードの売買は「円」での取引が可能になる。
そして「FiNANCiE」上で発行されるヒーローカードの保有権利はブロックチェーンで管理されるため、保有する証明は常に公開され、誰にも不正に改ざんされることはない(またヒーローカードの購入等に個人情報は開示されないので、ユーザーは安心して「FiNANCiE」に参加可能)。
日本版はヒーローカードを日本円での売買しかできないが、今後、海外で展開するグローバル版では「FiNANCiE」トークンを外部の仮想通貨取引所で取引することも可能になる。(注:日本居住者の取引は不可)。
その他、ヒーローカードの初回売り出し時にダッチオークションの仕組みを取り入れた初回価格決定方法や、マーケットプレイスでの流動性の解決のため「Bancorアルゴリズム」を採用など、今までにない先進的な技術も多く取り入れたサービスである。
まずサービス設計の中で、特にオンチェーンとオフチェーンのそれぞれのメリットを上手く取り入れた仕組みであることも魅力的だ。 ブロックチェーン技術を利用して、透明性(発行数、保有状況)と流動性(将来の流動性向上も含む)、トークンモデルに関わる取引及び、それに伴うトークン(ヒーローカード、Financieトークン)のビジネスロジックはオンチェーンで実装している。
一方、現状のブロックチェーン技術の課題や、現行の法律を遵守するため、またUXを重視する部分に関しては、オフチェーン実装(現金決済・コミュニティ周り)をしている。
これらを「FiNANCiE」というプラットフォーム内で上手く両立させたサービスになっている。
「あたらしい経済」編集部は、あたらしいブロックチェーンサービスである「FiNANCiE」の創設者であり、株式会社gumiの代表取締役会長である國光宏尚氏に、「FiNANCiE」に込めた想いと、彼が描くちょっと先の未来について語っていただいた。
(あたらしい経済 編集長 設楽悠介)
「FiNANCiE」創設者 國光宏尚氏インタビュー
インフルエンサーに見る日本と海外の違い
−「FiNANCiE」については事前に投資家やメディアにもプレゼンされたそうですが、反応はいかがでしたか?
日本国内はもちろん、アフリカや中東をのぞいたほとんどの国でプレゼンしました。面白いことに、日本国内での反応は大変良かったのですが、海外ではまったく刺さらなかったんです。
恐らく日本では、オンラインサロンなど、「個人」がプレイヤーになるサービスが出てきていることがベースとしてあるからだと思います。そしてそこからインフルエンサー的な人もどんどんと出てきている。そして日本のインフルエンサーといって思い浮かぶ方々はネットで影響力があってコミュニティがあって評価経済を生きているみたいなイメージがあると思います。一方海外のインフルエンサーは誰かって言うとキム・カーダシアンとかになってくる。カーダシアンファミリーっていったらスーパーセレブですよ。
日本のインフルエンサーというのは、どちらかといえば「新しい生き方の提案」をしているのに対して、海外のインフルエンサーは、今の延長線上での「セレブ」や「スター」なんです。
この違いは「個」がベースにあるかどうか。日本では世界より先に「個」の時代が来ていて、物質的な豊かさだけが評価されるわけではなくなってきているのだと思います。
貴族≒ニート? 暇が新しい価値を生む
−確かに車だったりブランド物だったりの物欲が薄れていますし、誰もが金持ちになりたい、という風潮ではなくなってきています。では次に求められるものは何だと思いますか?
これからの世の中は、どんどん暇になります。暇になるから時間ができてゆっくり考えられるようになります。
中世にいろいろな文学や宗教、哲学などが発展したのは、圧倒的な数の奴隷や農奴がいて、貴族は働く必要がなく時間があったからです。
日本も産業革命が大成功し、どこの国よりもモノを作る力を身につけました。現代ではその結果として、圧倒的に時間がある「ニート」という名の貴族が数多く生まれたのだと思います。ニートは親という名の働き手に支えられて、働かなくていい、という環境にあります。本当に忙しかったり貧しかったりしたらニートになれないですからね。これは国が豊かになったということです。
親が働くから自分は働かなくてもいいという人が増えた。これは昔の貴族と一緒だと思います。結果、働くことやモノを作ることに心を奪われる必要がなくなって、より新しい芸術を生みだし、生産の方に動きはじめるわけです。
自分が働かなくてよくなるから、金を稼ぐということ以外のところに時間を割くようになる。2ちゃんねるや動画投稿サイトで、「嫌儲」ってありましたよね。金を稼ぐのを嫌う考え方。ああいうのもその流れだと思っていて、そういう文化がめちゃくちゃ花開いたのが日本です。そこからnoteだったりオンラインサロンだったり「個」が広がりましたが、海外はそこまでまだいってない。まだ海外は金を稼ぐとかモノを作る方に時間をかけているんです。
日本は次の世界でも先進国に
−国民性を考えるとアメリカの方が自己主張が強く「個」のイメージが強かったので意外です。なぜ日本は大国よりも先んじているのでしょうか?
日本は産業革命が成功して豊かになった。というか、モノが作れて、物質的に豊かになる超先進国だったからこそ、その次の時代でも先進国になっているんだと思います。
この先は更にAIという名の働き手が勝手に働いてくれて、暇になる時代が来ます。そうなると、金を稼ぐとかではなくて、嫌儲的な考え方が広がるでしょうね。
アメリカではまだまだみんな金持ちになることを目指していると思います。だからキム・カーダシアンやジャスティン・ビーバーに代表される物質的に豊かな人=セレブに影響を受ける。ところが日本は見方が違う。日本では「個」であり、自己実現が評価されはじめています。ものすごく進んでいるんですね。
承認欲求を終えて自己実現の時代へ
−「FiNANCiE」はなぜこのようなサービス形態にしたのですか?
「FiNANCiE」は、Facebook、Instagram、YouTubeの「次のSNS」になりたいと思っています。今までのSNSは承認欲求をベースにしていました。でもこれは続かないと思います。人からの“いいね”が欲しいがためにフェイクライフ、フェイクフォトを積み重ねるなんて続かないでしょう。そんな承認欲求の時代が終わった時、次に来るのは自己実現だと思うんです。
「FiNANCiE」はその自己実現をアシストするサービスです。自分が持っている夢を叶える、もしくは人の夢を応援することによって自己実現する、というものです。夢を叶えると言っても、みんなが起業家のようにリスクをとって挑戦できるわけではありません。これは会社と同じで、みんなが起業家になれるわけじゃないけれど、初期のメンバーとしてやっていくこともあれば、そこに投資して会社を大きくしていく人もいる。その人に合った役割がありますよね。「FiNANCiE」は、夢に向かってそれぞれに合った役割でみんなが集まってやっていく、というところを重視しました。
初期からのファンにメリットがあることが重要
−夢を発表する人がいて、それを応援する人がいる――とは今ネットでも増えてきたクラウドファンディングや投げ銭のようなサービスとはまた違うものでしょうか?
クラウドファンディングや投げ銭などの仕組みは、初期から応援した人にメリットがないのが問題です。初期のファンは支えてきたという自負はあるけれど、初期から支えていようが今から入ろうが与えられるものがあまり変わらない。でも「FiNANCiE」だと、最初から応援している人はヒーローカードの価値が上がり、初期から支えてくれたということが可視化されます。
例えばアイドルになりたい子を応援したのが、最初10人だけとします。その後みんなの努力で夢が叶って、応援してくれる人が100人1000人と増えていくと、その子のヒーローカードの価値が上がる。この時、間違いなく言えるのは、売れてないときに応援してくれた10人と、売れてから応援しはじめた人は同じではないということです。
スタートアップ企業がよく出来ているのは、初期に入社した人は、生株だったりストックオプションが持てるところです。その後もっと優秀な人が多く入ってきてその人の存在感が薄れたとしても、あとから入ってきた人よりも株を多く持っていますよね。ということは、より優秀な人がたくさん出てきて、会社が成功したときには、初期に入社した人はリスクを取った分うれしい結果になる。あとから来た人はあとから来た人でもちろんうれしい。
ここは結構大きいところで、今のオンラインサロンなどは、初期からいた人にメリットがなさすぎるから、新しく入ってきた人に良い感情を抱けないんです。もし初期にトークンだとかをたくさん持っていたら、あとからいっぱい人が入ってきたら価値が上がります。そうすると、あとから人が増えてくればくるほどうれしいし、なんなら勧誘までしてくれるかもしれませんよね。
今までブロックチェーンのプロジェクトで、それをうまくやっていたのがEthereumやNEMだと思います。それらはビジョンが明確にあって、その上で賛同する人たちが集まって、コードを書ける人はコードを書く。マイニングできる人はマイニングする。宣伝できる人は宣伝する。結果、EthereumやNEMを使う人が増えればその価値が上がるので、広がることに対して熱意をもって取り組んでいますし、みんながハッピーになります。このへんが新しいですよね。
(第2回につづく)
→第2回「AIができないこと、多様性こそ人間の価値〜ドリーム・シェアリング・サービス「FiNANCiE(フィナンシェ)」創設者 國光宏尚氏インタビュー(2)」はこちら
ドリーム・シェアリング・サービス「FiNANCiE(フィナンシェ)」はこちら
https://financie.jp/
記事編集:深谷その子・設楽悠介(あたらしい経済)