DAOが世界を変える、シン資本主義と民主主義2.0。落合渉悟 × 内田善彦

落合渉悟

DAOが世界を変える、シン資本主義と民主主義2.0。

ブロックチェーンエンジニアの落合渉悟氏の初の著書『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』が上梓された。web3関連の出版が相次ぐ中、異色の存在感を放つ本書は、DAO(自立分散型組織)が世界を再構築できるのかについて、思考を巡らせた1冊になっている。書籍の中で落合氏が現在開発を進めているDAO作成プロトコル「Alga(アルガ)」についても紹介されている。

「あたらしい経済」は本書の出版を記念して書籍の中に収録された落合氏と3人の有識者の対談パートの一部を「試し読み」として公開する(全3回)。

今回は東京大学 特任教授の内田善彦氏との対談「DAOが世界を変える、シン資本主義と民主主義2.0。」の一部を公開する。

ぜひこの記事で書籍の魅力にふれ、本書を手にとっていただきたい。

DAOは無限の可能性を有する では、考慮すべき「リスク」とは何か

落合(以下:O):こちら、東京大学の内田教授です。リスクマネジメントの専門家で、わかりやすく言えば、政策の実施を含む様々なプロジェクトの推進に伴って生じる失敗の可能性を分析することを専門とされています。

最初に内田先生とZOOMでお話ししたとき、衝撃を受けました。僕が考えるこの国のDAOを説明すると、ものの30分で、「DAOで国をつくれると思います」という結論に行き着いたからです。例えばある省庁を、DAOの仕組みで削減することもできるよね、ともおっしゃった。短時間で、ここまで理解してくださる方は他にいなかったので、極めてユニークでした。

内田(以下:U):当たり前だと思ったことをお話ししただけなので、ユニークと言われると意外です(笑)。テクノロジーが発達して、様々な人の意見の集約を目的にしたとき、これを民主主義と呼べるかどうかわかりませんが、「DAOってありじゃない」くらいの気持ちだったと思います。DAOが有効な手段として考えられる、と直感的に思ったということです。ただ、どう実装していくかは別の話です。ここを遺漏なく考え始めると、私の前に落合さんが対談された樋田さんの言われる、「30年」が出てくるのだと思います。

O:今日は内田先生と、国家のDAO化が進んだと仮定したとき、それでもまだ残る問題とは何だろうということをお話ししたいと思っています。僕がキーワードにしたいのは「失敗できない政策」です。DAOで国が回る未来においても、一度しかチャンスのない、つまり失敗できない政策は存在すると思っていて、その点について、内田先生の考えをお聞きしたい。

というのは、僕は、DAOですべてを解決できるとは考えていないからです。DAO=万能とか、DAO=ユートピアと安直に思っているわけではなく、あらゆる可能性を考慮しようと努めています。そうした姿勢を伝えたい。同時に、ここで内田先生に指摘いただいたリスクや問題点を、再帰的にDAOシステムの中に取り込んでいきたいとも考えています。前段が長くなりましたが、少し自己紹介をいただいてよろしいでしょうか。

U:私はもともと、大学では工学系に進学し、原子力工学を学んでいました。核融合に火をつけるのを夢見る学生だったのですが、実験がなかなかできない分野なので、修士課程に進む際に数値シミュレーションをやろうと情報工学に移ったんです。学部でエネルギー、修士で情報工学を勉強したので、あとバイオをやったら三冠王だなと思っていたところ、就職活動の折にいくつかの感動するエピソードを経て、まったく畑の異なる日本銀行に入行します。日本銀行在籍中に金融に関する数学の修士号と経済学の博士号をとりましたが、日銀ではこれらを金融機関のリスクマネジメントという観点から活用していました。いろいろな分野に手を出していますが、貪欲にいろいろ学ぶことが、自分の性に合っているのかな、と。その後、金融庁を経て、今、東京大学にいます。

O:ありがとうございます。まさに原子力と金融のスペシャリストでいらっしゃる内田先生に、今日はお聞きしたいことがたくさんあります。先ほど言った「失敗できない政策」を考えたときに、僕がまず思い浮かべたのは、「原発」と「バイラクタルTB2 *1 」なんです。TB2は、ちょっとオタクっぽい話になりますが、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争でも、今のロシアによるウクライナ侵攻でも使われている、高度5000メートルから地上を攻撃できる無人ドローンです。

DAOという、中心のない仕組みを国に実装したとしても、僕たちは原発を使っているかもしれないし、TB2が空を飛んでいるかもしれない。そのとき、DAOでどうやって身を守るのか。国家がDAO化しても、例えば原発とか軍事には、専門的な訓練を積んだ、いわば失敗しない政策を立てるリーダーが必要かもしれない、とぼんやり見えてくるわけです。内田先生は専門家として、原発にまつわるリスクを考える上で、印象に残っていることはありますか。

U:そう来ましたか(笑)。私は原子力に関する政策の担当者だったことはないですし、専門は核融合で、核分裂とはまったく違うものですから、今の落合さんの質問からは逸れると思いますが、原発では、昔から「絶対安全」という言葉が使われることがありました。地域のコンセンサスを誘導するために、推進側は「絶対」を使いたくなるのだろうと思います。

同じことは金融業界でも見られます。法令上は「絶対儲かる」と言ってはいけないのですが、営業担当者が、つい営業推進を重視するあまり使ってしまうことがありますし、言葉には出していないけども「絶対損しない」といったニュアンスを顧客に与えてしまったことが後になって問題になることもあります。アップサイドもダウンサイドもある現象に対して、リスクであるダウンサイドには目を瞑ることで、アップサイドを強調する。こういった例は多いと思います。

O:今、金融の話が出ましたけれど、資本主義にも、目を瞑っている点があると僕は思っているんですよ。目を瞑って、無限に成長が続くことにしていると。この点、いかがでしょうか。完全に話が横道に逸れましたが(笑)。内田先生と話したいことがありすぎまして。

U:資本主義が目を瞑っている点があるとすれば、外部不経済 *2 の問題が一番大きいと思います。今、「脱成長 *3 」と呼ばれるムーブメントが、欧州を中心に起きています。脱成長とまでいかなくても、地球環境問題を考えて、SDGsのように、持続可能な成長を目指すべきという議論は広がっています。しかし、資本主義の枠組みでは、外部不経済をプライシングすることができない、または非常に困難です。SDGsは、普通にやっては資本主義の枠組みに収まらないから、貨幣と財の交換という世界の外側で社会の合意を形づくる必要があったから生まれた枠組みであると考えるのが分かりやすいです。

つまり資本主義には、大きな限界があるということです。その中で、どう社会を回していくのか。どう資本主義と折り合いをつけていくのか。これからのコミュニティや国には、それが問われるようになるだろうと思います。

O:温暖化も外部不経済のひとつだと思いますが、SDGs投資やESG投資で、それらを資本主義に織り込んでいこうという動きもありますよね。その結果、金融資産の値付けが非常に難しくなっている。今や数理モデルの変数がどんどん増えていて、カオス系に足を突っ込んでいるような時代に入っていると思います。私たちはそういう複雑な時代に生きていて、その中で、ソリューションを見出していかなければならない。それを自覚するとともに、DAOを考える上で、「資本主義」がひとつ、今日のテーマになってきますね。

資本主義がプライシングできないもの──「主観」が存在感を増す時代

U:「失敗できない政策」の話に戻りますと、私がもうひとつ言いたいのは、失敗できない政策の目的が、失敗しないことになる場合があるということです。失敗できない政策を実装すると、必ず、ある程度失敗しないことに労力が割かれます。

不幸にして失敗に近づいてしまった場合には、失敗をなかったことにするという、次の技が繰り出されることになる。いずれにしても「失敗できない」を追求すると、本来の政策目的の実現が、一番重要なことではなくなってしまうことがあるということです。もちろん、本来の目的の実現も目指すのでしょうけれど、それ以外のことに意識が向けられる分、本来の目的から外れ出てしまうことがでてくるわけです。ここからが重要で、外れ出た内容が母屋を取ってしまうというか、議論の主題が置き換わってしまうことも少なくない。こうした意味で、絶対に失敗できないことに取り組んだ結果の様々な失敗事例が、世の中にはあると思います。

特に日本人は几帳面で、失敗しちゃいけないという議論には丁寧に対応する。ゆえに、よく言われるように、心配し過ぎて、作り込み過ぎて、その結果、過剰に自信を持ったりして、グローバルのコンペティションで敗れかけていますよね、というのが、ここ20~30年です。ですからこれまでの経験を踏まえると、失敗と仲良く付き合う道を探ることも必要なんじゃないかと、私自身は思っています。

O:今の話を聞きながら、「トロッコ問題 *4 」が脳裏をよぎりました。例えば原発事故が起きないようにすることは必要なんですが、内田先生がおっしゃられたように、事前の予防策を張り巡らしていくと、原発によって安定的にエネルギー供給をしようという本来の目的よりも、予防策が主になっていく。そして社会全体の厚生が損なわれていくわけですよね。

こういった、余計なことをし過ぎた結果、パレート効率 *5  )が崩れていく構造は、私たちが払わなければいけないコストという形で、社会に存在していると思います。これはDAOが解決するような問題ではなく、DAO化した国家でも付き合わなければいけない問題だろうとも思います。

さらに言えば、科学の粋を詰め込んだ道具も、異常系やコーナーケースをケアする社会が負担するコストまでを加味すると、果たして便利と言えるのか。道具の便利さを、そうした視点で分析していく時代になっていく気もしますね。

U:資本主義でプライシングできないものをどう扱えばいいのか、という問題が、ここ10年で大きくなってきたし、これからますます大きくなっていくはずです。こうした問題への対応は、従来の間接民主主義では、代議士が皆の意見を直接集約するという形でしかできなかったわけですが、DAOになれば、一人一人の意見を集約した上で、対応できるようになる。これは良い方法のひとつだと私は思っています。

なぜなら、世の中には、「主観」でしか判断を下せない領域がたくさん残っているからです。主観より、なんとなく思い浮かべることができる「将来の平均」と言ったほうが適切かもしれませんが。

O:「一般意思 *6 」と言い換えることもできるかもしれません。

U:そうですね。SDGsも、うまくマネージするには、金融市場でやり取りできる形態に置き換えるほうが、いろんな意味で頑健と思います。しかし、プライシングに必要な根拠をつくる議論には結論が出ないことも多い。今のところは。温暖化のマイナス効果を数値で求めようにも、仮説の山の上にしか算出できないわけです。これは理論に見えて、実態は主観です。

O:仮説がひとつズレたら、もう。

U:大幅に結果が変わってきます。数字がズレるということは、例えば温暖化についての対策は必要ないといった、まったく逆向きの結果が出ることがあり得るということです。語弊を恐れずに言えば、これではもう理論というより主観です。

ですが、今の経済学では「主観のプライシング」は難しい。考えられる方法のひとつが、マイクロな意見を何らかの方法で収集・集計していくこと。その先にある合意や意思決定という形で、主観を観測できるようにする。これはDAOが実現しようとしていることと非常に親和性が高いと思います。

O:「主観のプライシング」、キーワードですね。IoTやAIでビッグデータを集めて、いわゆる一般意思を形成しようする動きが最近出ていますが、行政など、データが集約される運営主体の恣意性をケアできないという点で、極めて脆弱だと思っているんです。まさに失敗できない行政で。DAOなら、腐敗に対処しながら同じような一般意思の形成ができるという観点は非常に刺激的で面白いと思いました。中心のないDAOであれば、恣意性の問題はクリアできるので。

そういった方向に向かう一歩目として、まずは町内会とかPTAといった手触りのあるマイクロパブリックでAlgaを使ってもらい、道具としての使い勝手を感じてもらう。使い手に面白いと思ってもらえるカスタマイズや工夫を凝らしていくところから始めて、徐々に、大きな単位で試してみようという動きにつなげていけたらと。何十年スパンで、そういう全体像を描いているところです。

クリプトをどれだけ使っても、クリプトの思想は受け入れない、という立場

U:話がDAOに落ち着いて、ちょっとほっとしております(笑)。ここからもう少し、資本主義と民主主義についてお話ししてもよろしいでしょうか。もちろんここで議論し尽くすことは不可能なのですが、お聞きしたいテーマなので。

Chapter01で落合さんが書かれているように、DAOが民主主義の改善の道具だとすると、資本主義についてもこのままでいいのか、という大きな枠組みの問題が出てくると思います。ここまでお話ししてきたように、資本主義には捨象しているものがたくさんあるわけです。しかしながら、DAOを使う上で、インセンティブを与える方法は資本主義の枠組みを使いますよね。Algaでも、金銭的なインセンティブをつける形でコミュニティに貢献してもらうという枠組みを使っています。

O:そうです。

U:Algaがインセンティブを与える仕組みに使っているクリプト *7 のツールには、格差が広がるところまで広がるような、資本主義の権化のようなところがある。しかし、このクリプトを使いながらも、Algaの目指すところはクリプト的な資本主義ではなく、格差が広がらない社会であると仰っています。この捻れは興味深いと思っています。

O:その点については、クリプトの価値観や思想と、Algaの思想は離れすぎている、という立場を僕はとっています。

Algaはクリプトの道具をたくさん使うんだけど、目指す思想は、クリプトの思想とは異なるということです。

U:ここを整理しておくのはかなり重要だと思っています。これは落合さんのほうが詳しいと思いますが、今、DAOというのは、Web3も含めて大変なブームになっていますよね。その中で、クリプトとかDAOとかDeFi *8 など、単語を聞いたことはあるけれど、詳しくは知らないという人がたくさん生まれていると思います。こうした状況のもとで、クリプトとDAO、あるいはDeFiとDAOは似て非なるものという立ち位置を明確にしておかないと、落合さんが目指すDAOが趣旨とは異なった形で解釈されたり、想像されてしまい、結果として悪い副作用が生じてしまわないかと、リスクの専門家の私としては考えてしまうわけです。どれだけ説明しても、最終的に、受け止める側がどう受け止めるかはコントロールできないのですが、避けられる誤解は避けたほうがいいかなと。

O:交通整理をしておくだけで、吸収効率がまったく変わってくると。

U:そうですね。

O:やっぱり僕は、クリプトを、ニュートラルな道具としてしか見てないですね。クリプトとDeFiを組み合わせる例でいうなら、例えば住民から集めて貯まっている町内会の歳入を、円で持っていたら希釈される一方です。しかし、例えばドル建てで運用して、議決が通ったときだけ円に戻すとか、使い方の可能性が広がる。アセットクラスが多様になっていくDeFiを現実世界の機能や価値と接続すればいろんなことができると思っているんですが、ただ、どこまでいってもDAOにとってDeFiは「土管」でしかないだろうと。価値が流通する土管でしかないという見方をしているので、クリプトの道具は使っても新自由主義やリバタリアン的な思想は安易に受け入れないという、おそらくユニークな立場に僕はいると思います。

U:ここは重要なところですね。ひょっとするとDeFiに詳しい人にも3時間、4時間かけないと誤りなく説明できないような議論ではあるけれど、誤解のリスクを減らすのは必要だと思います。

リスクマネジメントの観点から言うと、リスクには大きく3種類あります。1つ目がその存在が今わかっているリスク、2つ目がその存在が今はまだ知られていないリスク、3つ目がその中間。

で、2つ目のリスクから言えば、知られていないんだから議論できないのだけれど、その部分のリスクを吸収できる十分な大きさの余白を取っておくことは大事です。これよりももう少し具体的に議論できるのが3つ目で、30年後、国はDAOになっているかという議論はここに入るかもしれません。そして、DAOとクリプトの思想は違うという今の話は、1つ目に入ると思います。今わかっているリスクのコントロールは、やればできます。だからこそ、やっていかないと、味方は増えない。一方で、対応し過ぎているといつまでたっても始まらないので、バランス感覚が求められるわけですが。

O:それに対する僕の解としては、まずはAlgaという、誰でも使えるマイクロパブリックアプリを使ってもらうことなんです。誤解されてもたかだか町内会のアプリだよね、というところから地ならしをしていく。公共にリーダーがいないというのはどういうことなのかを、頭と体で理解している層を増やしていくことが、外堀を埋めていくというか、内田先生の言われる誤解のリスクを減らしていくのにつながるのかなと。

この本をはじめ、サイトを立ち上げたり資料を作ったりして、いろんなところでAlgaの説明はしていますけど、そしてもちろん、理解したい人が説明を求めてきたらしますけど、全員に内容を完全に理解してほしいというところまでは望んでないですね、僕は。

U:その立ち位置、すごく実践的でいいと思います。一方で、十分に理解していない人が参画して失敗したとき、誰が責任をとるのかという問題が生じるでしょうね。DAOもDeFiもこの種の問題が起きる構造は同じで、その一部は「匿名性」から生じています。だから、匿名にどこまでこだわるのかも、ポイントになってくるだろうと思います。マイクロなオピニオンを拾い集めることがDAOの本質であって、必ずしも匿名性にはこだわらないというやり方だってあると思います。次の段階として、匿名でなくても分散=ディセントラライズドと言えるのか、という議論につながるわけですが。

要するに「資本主義的アプローチ」と「匿名性が必要となること」と「ディセントラライズド」はすべて似て非なるものですよね。これらひとつひとつに対して立ち位置や定義を明確にしていかないと、どうしても誤解は生まれてくるかなと、私は思っています。

O:すべてここで答えるのは難しいですが、ひとつには、僕は完全なる匿名性とか、完全なる分散化は、このマイクロパブリックアプリケーションにおいては必要ないと思っています。投票のときの匿名性とか、脅迫耐性や票買収耐性を確保するための匿名性、それから、自治会の銀行口座ともいえるスマートコントラクトにお金がプールされているとき、これが恣意的に誰かに奪われない保証が必要とかですね。もちろん他にもありますが、匿名性や分散化を担保すべきこうした点については、今のクリプトのコンテキストをありがたく頂戴するんですけど、匿名性のマキシマリズムに染まる必要はない、というのが僕のスタンスですね。

U:その点は私も同感です。ただ、すべての参加者が匿名である必要性はない、という今の落合さんの考え方は、実名がなくなったときに真のDeFiが成立すると考える、大方の人たちにとっては、奇異に映るように思います。

今のクリプトの世界は、まさしく意識の高い人ほどマキシマリズムに染まっていて、それを原動力としてクリプトは大きくなってきたところがあるわけです。ですから落合さんが異なる立場をとるならば、やはりその点をアドバルーンのように高く掲げて伝えていかないと、誤解の元になるかなとは思います。

落合さんのように自身が実際に地方に暮らして、実践を指向されているエンジニアって、ほとんどいないと思います。そこから出てきたオリジナルな思考を、誤解を解消できるところは解消したうえで伝えてほしいと、私は思います。

書籍につづく)

*1:トルコ空軍用に開発された中高度長時間滞空型の無人戦闘航空機。遠隔操作で攻撃ができる。ロシアの軍事目標を攻撃する映像がウクライナ軍によって公開され、脚光を浴びた。
*2:市場を通じて行われる経済活動の外側で発生する不利益。公害、環境問題は代表的な外部不経済である。イギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルが用いた経済学用語。
*3:経済的成長を目指すグローバルな資本主義が環境破壊や人的搾取を生むとして、21世紀の初頭からヨーロッパを中心に広がった新たな思想運動。フランスの経済哲学者・思想家セルジュ・ラトゥーシュらによって提唱された。
*4:多くの人の命を救うために、1人を犠牲にするかしないかという倫理的ジレンマを問う思考実験。トロリー問題ともいう。
*5:イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱したもので「資源を配分する際、誰かの効用(満足)を犠牲にしなければ、いかなる人の満足も増すことができない状態」のこと。資源が無駄なく最大限利用されている状態。
*6:共同体(国家)の成員である個々人が理性的、合理的に政治参加し、その結果として生まれる共通の利益を求める意志のこと。
*7:「crypto」は暗号を意味する。高度な暗号化とプログラミング、P2Pの金融取引とインターネット上のスマートコントラクトを用いて非集権的な方法で設計されたデジタル資産。
*8:DecentralizedFinanceの略。ディーファイと読む。分散型金融。ブロックチェーン上で構築できる中央管理者のいない金融サービスなどのアプリケーションを指す。

書籍情報

『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』落合渉悟(著)/フォレスト出版

ブロックチェーンが切り開く新しい国家の地平線

海の向こうでは理不尽な戦争や政治的な混乱――。
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ブロックチェーン技術を利用すれば、従来の国家的枠組みから完全に分離したバーチャルな“独立自治体”の創設も不可能ではない。

本書は「Ethereum界の奇才」と呼ばれるブロックチェーン技術の第一人者であるエンジニア・落合渉悟が、ブロックチェーンを基盤にしたDAO(Decentralized Autonomous Organizationの略=自立分散型組織)によるメタ国家を生み出すプロジェクト「Alga」を通して、Web3技術による新たな世界構築の可能性を探る。

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プロフィール

落合渉悟
思想家/人権ハクティビストイーサリアム関連技術研究者/開発者/ブロックチェーンエンジニア大阪大学大学院情報科学研究科情報数理学専攻スマートコントラクト活用共同研究講座特任研究員
2016年よりブロックチェーンの高速化に関わる研究で実績を残し、現在はDAO(自律分散型組織)型自治プロトコル「Alga(アルガ)」ファウンダー。情報科学全般の広く深い知見に加え、制度設計の基礎を踏まえた洞察や、アクティビズムの実戦に即した民族学的分析に長けており、パブリックチェーンが社会に与える影響を遠く見通しながら多くのユニークなプロジェクトに知見や実装を提供している。とくに制度設計に精通しており、「the fairest democracy」というTEDxtalkはブロックチェーン時代の民主主義について世界的な議論を巻き起こした。

内田善彦
東京大学総合文化研究科・特任教授
1994年日本銀行入行。金融研究所企画役、金融機構局企画役等を経て、2020年より現職。この間、2005~07年、大阪大学大学院経済学研究科・助教授、2014~17年、金融庁監督局・監督企画官。金融機関のリスク管理・経営管理に関して様々な角度から考察を加える。東京大学工学部卒、同大学院修了(工学修士)、コロンビア大学大学院修了(ファイナンス数学修士)、京都大学大学院修了(経済学博士)。

この記事の著者・インタビューイ

落合渉悟

落合渉悟
思想家/人権ハクティビストイーサリアム関連技術研究者/開発者/ブロックチェーンエンジニア/大阪大学大学院情報科学研究科情報数理学専攻 スマートコントラクト活用共同研究講座特任研究員
2016年よりブロックチェーンの高速化に関わる研究で実績を残し、現在はDAO(自律分散型組織)型自治プロトコル「Alga(アルガ)」ファウンダー。情報科学全般の広く深い知見に加え、制度設計の基礎を踏まえた洞察や、アクティビズムの実戦に即した民族学的分析に長けており、パブリックチェーンが社会に与える影響を遠く見通しながら多くのユニークなプロジェクトに知見や実装を提供している。とくに制度設計に精通しており、「the fairest democracy」というTEDxtalkはブロックチェーン時代の民主主義について世界的な議論を巻き起こした。著書に『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』(フォレスト出版)。

落合渉悟
思想家/人権ハクティビストイーサリアム関連技術研究者/開発者/ブロックチェーンエンジニア/大阪大学大学院情報科学研究科情報数理学専攻 スマートコントラクト活用共同研究講座特任研究員
2016年よりブロックチェーンの高速化に関わる研究で実績を残し、現在はDAO(自律分散型組織)型自治プロトコル「Alga(アルガ)」ファウンダー。情報科学全般の広く深い知見に加え、制度設計の基礎を踏まえた洞察や、アクティビズムの実戦に即した民族学的分析に長けており、パブリックチェーンが社会に与える影響を遠く見通しながら多くのユニークなプロジェクトに知見や実装を提供している。とくに制度設計に精通しており、「the fairest democracy」というTEDxtalkはブロックチェーン時代の民主主義について世界的な議論を巻き起こした。著書に『僕たちはメタ国家で暮らすことに決めた』(フォレスト出版)。