「レバレッジ取引」とは？ なぜ暗号資産が下がっても儲けられるの？
コラムニストであり、暗号通貨（仮想通貨）投資初心者のアラサー女子・りょかちが、SBI VCトレード株式会社 代表取締役社長の近藤智彦さんから暗号資産投資について教えてもらう、こちらの連載。
これまでの連載（第1回、第2回）では、アプリで実際に暗号資産を購入しながら、投資の基礎であるチャートの読み方、暗号資産にしかないお金を増やす仕組み“ステーキング” 、“貸コイン（レンディング）”などについておうかがいしました。
そしてそれらの記事公開後から価格が大きく高騰しているビットコイン。今回は今年に入ってからの価格上昇の理由について、まずはお話しています。さらに、投資の気になるワード「レバレッジ」についても、解説いただきました。
取材日：2024年2月15日
ビットコイン過去最高値を大きく更新！理由は大きく2つ
近藤さん：前回は昨年12月25日に対談させていただきましたが、そこから随分価格が上がりましたね。今日（2月15日）は円建てビットコインが過去最高値を更新しました（著者注釈：その後3月6日にドル建てでも過去最高値を更新。記事公開時までに、一時73,135ドルまで高騰しました！）。
りょかち：今日ニュースで見て、思わずSBI VCトレードのアプリを開いて、購入した暗号資産の価格を確認しました（笑）。
近藤さん：結果的にものすごく良いタイミングで購入できたんじゃないですか？
りょかち：12月の取材の時に2万円分日本円を入金して、2月15日時点で総額2万7000円くらいになりました（著者注釈：その後もビットコイン価格の上昇で現在は3万円を超えています、もっと買っておけばよかったかな）。どうしてこんなに価格が上がったんだろう？
近藤さん：まず、1月11日に大きく値上がりしました。これは暗号資産に関する重要なニュースがあったからなんです。ETF（上場投資信託）ってわかりますか？
りょかち：つみたてNISAを始めた時に知りました。特定のテーマに合わせて、証券取引所で購入できる色々な株を組み合わせて売っている商品ですよね。日経平均に連動しているETFとか、見たことがあります。
近藤さん：そのとおりです。そしてすごいのが、1月10日、アメリカでビットコイン連動型ETFが承認されたんです。
りょかち：それはつまり……、何ができるようになったんですか？
近藤さん：ETFとして販売されることで、多くの人がビットコインに投資しやすくなったと考えるのが良いかもしれません。それによって、機関投資家など、これまでよりもさらに幅広い層が参入しやすくなりました。
りょかち：買いやすくなって買う人が増えることを見越して、値段が上がってるってことですか。
近藤さん：そうですね。あと、直近の値上がりは4年に1度あるビットコインの「半減期」も影響しています。2024年4月頃予定されています。
りょかち：出た！なんとなく聞いたことあります、「半減期」って。ビットコイン特有のものですよね？ どういうことなんでしょうか？
近藤さん：なるべくわかりやすく説明すると、ビットコインは「マイニング」というビットコインの取引を承認する作業行為を行うことで、マイニングした人は新規発行されるビットコインで報酬が貰えるようになっているんです。「半減期」は、そのマイニングによって得られる報酬が半分になってしまうタイミングのことを言います。
りょかち：一時的にではなくて、その時期が来たら、その後もらえる報酬が半分になってしまうっていうことですよね。
近藤さん：そうです。なので、マイニングをする人にとっては損に見えるんですが、一方で、それによって、市場に流通するビットコインは減少するので、ビットコインの価値は上がっていくんですね。
りょかち：わー！ 賢いな！ ビットコインは国が発行しているわけじゃないから、金融政策はできないけど、その代わりに事前にプログラムされたルールがあって、それによって価格が調整されているんですね。
近藤さん：「半減期」のタイミングは約4年に1回とプログラムされていてます。これまで、2012年、2016年、2020年に半減期がありました。そして、2013年、2017年、2021年に、つまり半減期の翌年にビットコインはその当時の最高値を更新しているんです。
りょかち：じゃあ、今年4月に「半減期が来るということは、2025年にまた価格が大きく上がるってことですか？
近藤さん：もちろん、3回連続で起こったことが、4回目に起こるかはわかりません。ただ、今のところ3回連続で値段は上がっているんですね。
りょかち：そうですね。みんなが買ったら値段は上がっているし、相場はみんなの気持ちの集合体だから、どう転ぶかわからないってことですね……。でも、直近値段が上がっている理由がよくわかりました。
元手以上の利益とリスクを求める人に。「レバレッジ取引」とは？
りょかち：株もそうですが、自分が「価値がありそう」と思って購入したものは、普段の買い物と同じで、持っているだけで楽しいです。価格が下がることはあっても、マイナスになることはないし。
近藤さん：それが現物取引の良いところですよね。でも暗号資産のトレードには、他のやり方もあるんですよ。SBI VCトレードのアプリでは「レバレッジ取引」もできるんです。
りょかち：「レバレッジ」って「てこの原理」のことですよね。ビジネスの現場でも言葉としてはよく聞きます。だけど、投資に関しては、「レバレッジ取引」なるものをしたことがなく、どういうものかわかっていないかも。
近藤さん：まず初心者の方には、暗号資産投資は余剰資金で挑戦し、現物取引で購入して長期保有する、もしくは前回説明したように積立でコツコツ購入するのが良いと思います。一方、レバレッジ取引は短期で頻繁に取引する人が利用することが多い取引です。
りょかち：「レバレッジ取引」には、どういったメリットがあるんですか？
近藤さん：例えば、1万円を口座に持っていれば、2万円分のビットコインが購入できる、つまり資金にレバレッジを掛けられるのが「レバレッジ取引」です。りょかちさんが持っている1万円を担保にSBI VCトレードが2万円を貸してビットコインを購入する、とイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
りょかち：そんなの、いいんですか（笑）。それじゃあ、もし前回、全部レバレッジで暗号資産を購入していたら、7,000円の2倍の1万5000円ほど儲かったってことですよね。絶対そっちのほうがいいじゃん。
近藤さん：ただ、元手以上の損失を被ることもあります。例えば、さっきのように1万円の入金で2万円分のビットコインを購入した場合、ビットコインの価格が急に60%下がったら、マイナスが出てしまいますよね。
りょかち：1万円払って、1万2,000円分損しちゃったから2,000円マイナスだ。どうしよう。
近藤さん：基本的には「ロスカット」という仕組みがあるので、マイナスになる前に自動的に決済される仕組みになっています。でもあまり急に価格が下がりすぎると、マイナスになることもかなり可能性は低いですが起こります。その点では現物取引よりもリスクがあることを認識して挑戦していただきたい取引です。
りょかち：自分の元手以上に取引ができるけど、増えるスピードも減るスピードも倍な訳ですね。
近藤さん：現物取引に比べ、リスクは増えますが少ない元手で大きな利益を得られるので、資金効率は良い取引です。だから短期のトレーダーが主に活用しています。
値段が下がっても上がってもハッピー？
近藤さん：また、「レバレッジ取引」では、資産を元手に「買う前の暗号資産を売る」こともできるのが特徴です。先に売っておいて、さらに安くなったら時点で買ってその差額で利益を出すという取引がレバレッジだとできるんです。
りょかち：買ってから売るんじゃなくて、最初に売ってから買うことができる、なんかタイムマシンみたいだ。世の中にはニーズを捉えた商品が沢山ありますね！
近藤さん：価格が下がることを見越して「売る」というポジションを取ることを、「ショート」、価格が上がることを見越して「買う」ポジションを取ることを「ロング」と呼びます。
りょかち：買うんじゃなくて「ポジションをとる」と言うのは面白い…！ でも、いつかは買い戻さなきゃいけないんですよね？ 期限はありますか？
近藤さん：そうです。期限はないんですが、さっきとは逆に値段が上がりすぎて、りょかちさんが大幅に損しそうな場合にはロスカットされますね。
りょかち：なるほど。「ショート」の場合は、値段が下がれば下がるほど、後で買い戻す時に安くなっているから儲かる。値段が上がれば上がるほど、後で買い戻す時に値段が上がっているから損するんですね。
近藤さん：そのとおりです。10万円の価値がある時に先に売っておいて、5万円まで下がった時に購入すれば、5万円得する、という感じですね。
りょかち：そんな取引があるんだ、面白い。
近藤さん：なので、ビットコインに価値を感じるなら、現物ではビットコインを購入しておいて、レバレッジでは「ショート」ポジションを取っておく、ということもできます。そうすれば、価格が上がれば現物の値段が上がってハッピーだし、価格が下がっても、レバレッジでちょっと儲かって嬉しい。
りょかち：めちゃくちゃ賢い！ つまり世の中に値段が下がって喜んでいる人もいたわけですね。その場合、利益はどの通貨で貰えますか？
近藤さん：日本円でもらうことができます。
りょかち：なるほど。早速やってみたくなりました！ アプリで気軽に買えるのはやっぱり嬉しいですね。現物を前回購入したから「ショート」ポジションを取ってみよう！
（つづく →アプリで「レバレッジ取引」に挑戦！ 投資初心者でもトレーダー気分!? 今こそ暗号資産投資するべき理由とは）
関連リンク
取材/執筆：りょかち
撮影：堅田ひとみ
＜本記事について＞
本記事は一般的な情報の提供のみを目的としたものであり、いかなる暗号資産、有価証券等の取得を勧誘するものではありません。また、株式会社幻冬舎及びSBI VCトレード株式会社による投資助言を目的としたものではありません。また株式会社幻冬舎及びSBI VCトレード株式会社が暗号資産の価値を保証するものでもありません。暗号資産投資にはリスクが伴います。投資やステーキングを行う際はリスクを了承の上、利用者ご自身の判断で行ってください。
＜暗号資産を利用する際の注意点＞
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。／暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。／暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。／SBI VCトレード株式会社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。／SBI VCトレード株式会社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。／秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。／暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。