ビットコインのレイヤー2(L2)とは?
今回はビットコインエコシステムの拡大に伴い話題になっている「ビットコインレイヤー2(L2)」についてまとめます。
OrdinalsやBitVMの登場により拡大しているビットコインエコシステムですが、なぜビットコインにL2が必要なのでしょうか? また、このトレンドは一過性で終わってしまうのでしょうか?
ビットコインL2が発展している背景には、大きく分けてスケーラビリティ問題の改善、dApps開発可能性の2つの要因があります。
スケーラビリティ問題は、ビットコインが分散性とセキュリティに軸を置いているためにネットワーク上での検証に時間がかかり、送金の処理速度が遅いという問題です。それに加え、Runesの登場により取引が急増している現状もあり、4月24日時点で取引手数料は平均70ドルを超え、30日間の平均と比較して1395.8%上昇をしています。
BabylonのBTCステーキングなど、多くのプロトコルが誕生していることも取引量を増加させる要因となっているでしょう。
L2はこの課題の解決を目指しています。L2を支える主な技術は、ステートチャネル、ロールアップ、サイドチェーンの3つです。
ステートチャネルはLightning Networkが使用する、ユーザー同士の取引チャネルを作成しオフチェーンで実行することで、オンチェーンで処理する情報を減らす技術です。
ロールアップはオフチェーンで処理した複数のトランザクションを集約してメインチェーンに記録する技術です。
またサイドチェーンはメインチェーンに類似した仕組みを採用する別のチェーンのことで、ブリッジを用いてメインチェーンと接続し、相互運用が可能です。
これらのL2の技術を利用してスケーラビリティ問題を改善することで、ビットコインの分散性とセキュリティを活かしながらdAppsを開発できる可能性があるということから、現在さらなる注目を集めています。
ビットコインL2で代表的な2つのプロジェクト
ここからは、ビットコインL2の中でも代表的な2つのチェーンを紹介します。
・Rootstock
Rootstockは、ビットコイン上でスマートコントラクトを実行可能にし、ビットコインのdApps展開をサポートするプロジェクトです。EVMと互換性のあるRSK仮想マシン(RVM)を活用しているため、イーサリアムのスマートコントラクトを実行できるようになっています。Rootstockはビットコイン上でBTCをロックすることで発行できる、BTCと1:1でペッグされたRBTCというトークンが利用できます。
ユーザーはRBTCでRootstockエコシステムを利用でき、すでにステーキングやクロスチェーンウォレットなど、さまざまなdAppsが開発されています。オフチェーンインフラレイヤーであるRIF OSを統合しているためトランザクションはオフチェーンで実行され、スケーラビリティ問題を改善しています。
・Stacks Network
Stacks Networkも同様にスマートコントラクトとdAppsの導入によりビットコインの機能を拡張するL2ですが、コンセンサスアルゴリズムにProof-of-Transfer(PoX)を採用しています。
また、Stacksはトランザクション履歴をすべてビットコイン上に記録することでセキュリティの恩恵を受けています。PoXによって、Stacksブロックのブロックハッシュのみがビットコイン上に書き込まれていくため、ビットコインのブロックスペースを占有せずに済むことも特徴的です。すでにネーミングシステム(BNS)やNFT、イールド系など複数のdAppsが展開されており、今後の動向にも注目です。
ビットコインL2分野は日々新しいチェーンが誕生し、既存チェーンの改善を図っています。5月1日にはOP Stack上のORUとして開発され、OptiMineというマイニング方式を導入したBuild on Bitcoinがメインネットローンチの延期を経て実施しました。
OptiMineは、シーケンサーがブロックの生成をORU上で行い、マイナーがブロックを検証しているため、PoWのセキュリティを保ちながらスケーラビリティに問題が起きないブロック生成を実装する仕組みです。
このような新しい技術の登場もこの分野の加熱を加速させています。
OKXやSkyland Venturesから投資を受けるMerlin Chainのトークンリリースも記憶に新しいでしょう。まだ課題を抱えていますが、ビットコインのセキュリティを継承した汎用性の高いL2の登場は、ビットコインのアセットとしての価値も高める可能性があり、今後登場する新興チェーンにも注目です。
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