日本銀行が中央銀行デジタル通貨の実証実験を今春に開始か
日本銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を今春に開始する予定であることが、日本銀行総裁 黒田東彦氏のFIN/SUM(フィンサム)2021における登壇で明らかになった。
この登壇は「情報システムと金融システムの融合、アズ・ア・サービスの先にあるもの」と題されており、内容は「金融におけるアズ・ア・サービス、情報システムと金融システムの融合について、デジタルトランスフォーメーションの現状」を説明したものとなっている。
黒田総裁は「日本銀行では、昨年10月に中央銀行デジタル通貨に関する取り組み方針を公表したあと、この方針に沿って、実証実験に向けた準備を進めてきました。この春からはいよいよ実験を開始する予定です。
日本銀行として、現時点でCBDCを発行する計画はないとの考え方に変わりはありませんが、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要であると考えています」と話した。
さらに「将来、CBDCが必要になった時点で初めて検討を開始するということでは適切でないとの考えは、海外の中央銀行においても共有されています。ちなみに、国際決済銀行(BIS)が最近行った調査によれば、65の対象中央銀行のうち、86%が何らかの形でCBDC発行のメリット・デメリットを分析しており、60%がCBDCに関する概念実証やパイロット実験について検討しています。
日本銀行としては、デジタル社会の到来という大きな変化を迎える中、中央銀行マネーをどのような形で提供していくべきか、今回のテーマになぞらえれば、セントラルバンキング・アズ・ア・サービス(Central Banking as a Service)のあり方について、この機会にしっかりと検討しておきたいと考えています」と話した。
参考:情報システムと金融システムの融合、アズ・ア・サービスの先にあるもの
(images:iStocks/artacet)