NTTデータが「BlockTrace®」の提供開始
NTTデータがブロックチェーン技術をベースとしたDX推進ソリューション「BlockTrace®」の提供開始を発表した。
NTTデータは、ブロックチェーン技術をDX推進におけるキーテクノロジーの一つと位置付けており、具体的な社会課題を解決するソリューションとして提供することで、日本・グローバルにおけるDX推進をしていく狙いがあるようだ。実際に2017年よりブロックチェーンのビジネス利用を推進するグローバル専門チームを発足させ、活用ユースケースを模索してきた。
「BlockTrace®」はビジネスシーン・ユースケースに応じたブロックチェーンプラットフォーム上に、顧客の適用シーンに応じたアプリケーションを構築・提供するソリューションだ。
具体的に「BlockTrace®」には次の4つのソリューションを提供する。
(1)BlockTrace for Security Token:証券や不動産所有権、絵画・骨董品などの流通を促進するソリューション。これまで証券化できなかったモノをトークン化し新たな市場を創造すること、小口化による流動性の向上が期待できる。米セキュリタイズ(Securitize)社との協業によりソリューション展開。
(2)BlockTrace for Supply Chain:サプライチェーンにおける情報共有ソリューション。ブロックチェーン上でのデータを管理・共有することにより、トレーサビリティー性の向上、データセキュリティーの担保、原本性の保証などが可能となり、リコール時のトレース容易性の向上、Tier2,Tier3などの直接取引のない企業とのデータ共有、債権書類を使った新しいファイナンス等が可能となる。また、ビジネスコラボレーション&IoTプラットフォーム「アイクアトロ(iQuattro)」と組み合わせることで、IoT連携機能等のサプライチェーンプラットフォームとして必要となってくる機能を活用することができる。
(3)BlockTrace for Cold Chain:低温輸送保証をサポートするソリューション。輸送中の位置情報・温度管理情報をブロックチェーン上に書き込むことで、生鮮食品の品質状態を見える化し、エンドユーザーに訴求することができるため、商品価値の向上を見込むことができる。また、医薬品や化学品などのセンシティブな温度管理輸送が必要なシーンにも応用できる。
(4)BlockTraceデータ管理プラットフォーム:Hyperledger Fabric,Corda,Quorum等のブロックチェーンミドルウエアをアーキテクチャーに含んだ基盤プラットフォーム。顧客のユースケース、必要とする非機能要件に応じたミドルウエア選定・アーキテクチャー選定する。本来ブロックチェーンが苦手としていた「大容量ファイルの登録」、「ユーザーごとのデータアクセス制御」も実現するアーキテクチャーの提案も可能とのこと。
今後はNTTデータは「BlockTrace®」を活用し、顧客とのDX推進を進めると共に、案件を重ねながら新たなユースケースとサービスを展開していく予定だ。
(追記:3月18日19時)
あたらしい経済編集部は、Securitize Japanカントリーヘッドの小林英至氏へ取材を行った。
Securitize Japanカントリーヘッドの小林英至氏へ取材
-証券や不動産所有権、絵画・骨董品の中で、小口化の優先順位が高いものは何でしょうか?
小林英至:STOによって案件組成・管理コストが大幅に下がる事により、今までは経済的に成り立たせることができなかった小口化が可能になるため、小口化によるメリットは特定の証券・資産の種類に限定されるものではありません。
例えば、不動産投資はかなり一般的になっていますが、一物件あたりの単価は大きくなってしまいます。小口化する事により少額からでも投資可能になり、メリットは大きいと言えます。
有価証券でも通常の株式でなく、これまで一般の投資家に手の届かなかったストラクチャードファイナンス、私募案件などはSTOによる小口化によりメリットが期待できます。
小口化だけでなく、これまで投資案件化が難しかった映画・音楽・絵画などの芸術品、骨董品、希少品、IPなども一般投資家に提供可能となっていくと考えています。
(imaes:iStocks/LeshkaSmok)