シンガポールDBS銀行が中国アントグループのブロックチェーン基盤を活用した貿易金融取引に成功

シンガポールDBS銀行が中国アントグループのブロックチェーン基盤を活用した貿易金融取引に成功

シンガポールDBS銀行がアントブロックチェーン(Ant Blockchain)の貿易プラットフォームのトラスプル(Trusple)上で約420万円(4万ドル)以上の貿易金融取引を成功させたことを発表した。

この貿易金融取引は、シンガポールの石材メーカーのiQuartzがDBS銀行の代理として行った。iQuartzは「クォーツ・ストーン」と呼ばれる人工石材を製造・加工し、米国とシンガポールの建築資材市場の顧客に販売している企業だ。

貿易金融取引関連で抱えていた課題として「iQuartzのような中小企業が海外のサプライヤーと国境を越えた取引を行う場合、手作業による長いプロセスと複雑な書類作成に悩まされていました。

その結果、納品サイクルが数ヶ月に及ぶこともあり、iQuartzは商品の受け取りが遅れ、業務に支障をきたし、シンガポールの経済活動が活発化する中、新たなビジネスチャンスを掴むことができませんでした」とリリースで説明されている。

iQuartzはトラスプルを活用することで、取引注文がすぐにブロックチェーンに記録でき透明性が高まり、サプライチェーン全体をよりよく監視できるようになったようだ。

またDBS銀行はトラスプルを利用して、iQuartzのサプライヤーへの支払いを自動的に行い、取引が成立したことをデジタルに確認できるようになったとのことだ。

またリリースでは「iQuartzのような中小企業はトラスプルを通じて、銀行の支払い保証や請求書の購入資金を直接申し込むことができ、利便性が向上します。

このように中小企業は最後まで手間のかからないシームレスな貿易取引プロセスを享受することができるようになり、本来の業務に集中することができます。

同時にサプライヤーは、支払いの確実性とキャッシュフローの予測可能性が高まり、ビジネスを成長させるための戦略的な機会に向けて、運転資金をより最適化することができます」と説明されている。

DBS銀行の中小企業向け銀行業務のグループヘッドであるジョイス・ティー氏は「今日の取引は、DBS銀行がデジタル・ファイナンスに対する能力と広範なテクノロジー・パートナーシップを活用して、世界経済の状況が大きく変化する中、シンガポールの中小企業が競争力を維持できるように支援する能力があることを強調しています。

中小企業は、新規市場への参入やサプライチェーンの強化のために、地域的な機会を活用しようとする傾向が強まっていますが、複雑な貿易プロセスに悩まされることも少なくありません。

DBS銀行は、ブロックチェーンなどの新技術を活用することで、アジアの国境を越えた貿易活動が活発化する中、中小企業がパンデミック後の経済復興に参加するための障壁を低くしています」と述べている。

iQuartzの最高財務責任者であるジョシュア・フアン氏は「わたしたちのような中小企業にとって、アジアの幅広いビジネスコミュニティとつながることは重要であり、そのために当初からサプライチェーンを海外に分散させる措置をとっていました。

しかし貿易書類の作成や融資の手続きは非常に面倒で、従業員の多くの時間を費やしていました。トラスプルのインターフェースは、操作が簡単で直感的に理解でき、サプライチェーンの可視性が格段に向上しました。

またDBS銀行のサポートにより、中小企業にとって国境を越えた取引を行うことがこれまで以上に容易になりました。DBS銀行とトラスプルのパートナーシップにより、中国からの原材料の購入が大幅に促進され、iQuartzが東南アジアで最大級のクォーツストーンメーカーになるという現在の事業成長の軌道を支えることができます」とコメントしている。

アントグループの先端テクノロジービジネスグループのプレジデントを務めるウーフェイ・ジアン氏は「トラスプルでは、バイヤーとサプライヤー間の信頼と透明性を強化し、クロスボーダー取引に関わる中小企業や金融機関の障壁を下げることをビジョンとしています。

iQuartzがトラスプルで取引を行い、プラットフォームのシンガポールにおける最初の中小企業の顧客となったことは心強いことです。

アントグループでは、すべての参加者にとってビジネスをより簡単に、より低コストで行うことができるように努めています。

また、DBS銀行のようなより優れた現地金融機関パートナーの参加を歓迎し、デジタル技術の革新的な使用を通じて中小企業が地域経済の新たな機会を得ることを共に支援していきたいと考えています」と述べている。

参考:DBS

(images:iStocks/Pavel_R・Ninja-Studio)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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