HashPortが東京大学エッジキャピタルパートナーズとセレスより3.5億円の資金調達
ブロックチェーン分野のコンサルティングを提供する株式会社HashPort(ハッシュポート)が、株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)運営のUTEC4号投資事業有限責任組合、及び株式会社セレスを引受先とし、総額約3.5億円の資金調達を実施したことを3月2日発表した。
UTECは東京大学が承認する「技術移転関連事業者」として、大学・研究機関等の技術や人材を活用するベンチャー企業への投資活動を通じたベンチャー・キャピタル・ファンド運営を行う企業である。
また株式会社セレスは現金や電子マネー等に交換可能なポイントサービス「モッピー」などを運営する企業であり、連結子会社の暗号資産交換業登録を完了した株式会社マーキュリーと持分法適用関連会社の暗号資産取引所を運営するビットバンク株式会社にて、暗号資産・ブロックチェーン関連事業を展開している。
今回の資金調達はハッシュポートが掲げる「すべての資産をデジタル化する」というミッションの実現に向けた取り組みを強力に推進すべく実施を行ったとのことで、調達した資金についてはプロダクト及び人材採用に充当するとのことだ。
株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズの代表取締役である郷治友孝氏はリリースにて「UTECは、投資を行ってきましたフレセッツが、暗号資産の登録や上場に関する監査やコンサルティング事業に強みを持つHashPortに経営統合されたことに伴い、HashPortに追加投資を行わせていただきました。HashPortの知見とフレセッツの技術が生み出すシナジーが暗号資産をはじめとする様々なトークン領域において生み出す大きなポテンシャルに期待しております。また、HashPortが『東大ブロックチェーンイノベーション寄附講座』と連携し、最先端の研究成果の実用化を担っていくことも期待をしております」とコメントしている。
また株式会社セレスの経営企画室長である寺東宏城氏は「もともと技術力に定評があり、暗号資産ウォレット開発をしていたフレセッツに投資させていただいていたところ、そのフレセッツと、高いブロックチェーン技術コンサルティング力と実績を有するHashPortさんとの経営統合には、無限のシナジーが見込まれると考えています。さらに盛り上がりを見せる暗号資産・ブロックチェーン業界の台風の目になっていただきたいと思います」とリリースにてコメントしている。
なおHashPortでは人員拡大に伴い、3月より東京大学の運営するインキュベーション施設に移転をするとのこと。東京大学本郷キャンパス内という環境を活かし、今回の資金調達に参加した東京大学エッジキャピタルパートナーズが支援する「東大ブロックチェーンイノベーション寄附講座」と連携し、研究・開発を強化していくとのことだ。
編集部のコメント
ハッシュポートは先日、法人事業者向けのウォレット開発企業フレセッツ(Fressets)株式会社の全株を取得し、3月1日付で事業譲渡されることが明らかになっていました。
今回のリリースにてハッシュポートは
(1)米国において機関投資家の参入や暗号資産規制の複雑化により、高度な専門性を持つウォレット事業者へのニーズが高まっており、Anchorageをはじめとした高い専門性を有する事業者が誕生し、CoinbaseによるXapo Institutions(現Coinbase Custody)買収など業界再編も進んでいる。
(2)日本においても、国内の規制に最適化され、日本語で細やかなサポートが受けられる、安全なワンストップ型サービスを希望するニーズは根強く、フレセッツの技術とハッシュポートの知見が組み合わせることでより良いサービスを提供可能であると考えている。
それらを背景に「暗号資産」のみならず、今後増加が予想される、「デジタル通貨」、「セキュリティトークン」、「NFT(ノンファンジブルトーク)」の各領域に対しても、フレセッツの研究成果を活かした高いセキュリティレベルのブロックチェーン技術基盤を提供することで、デジタル資産領域のナンバーワンのプラットフォーマーを目指す。
と述べています。
フレセッツ全株取得のニュース記事ではハッシュポートの代表取締役である吉田世博氏とフレセッツ代表取締役の柚木庸輔氏への取材を行っています。併せてご覧ください。
→【取材】ハッシュポートがフレセッツの全株取得(吉田世博氏/柚木庸輔氏コメント)
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStocks/BadBrother)