【取材】同性パートナーのためにブロックチェーンを活用した「パートナーシップ証明書」を発行、一般社団法人Famiee発表

同性パートナーのためにブロックチェーンを活用した「パートナーシップ証明書」を発行

⼀般社団法⼈Famiee(ファミー)がブロックチェーン技術を活用して、同性パートナーのための「パートナーシップ証明書」の発⾏を、2021年2⽉25⽇よりスタートすることを発表した。

Famieeは、多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を推進するプロジェクト。同性パートナーのためのパートナーシップ証明書は「家族関係証明書」の第1弾となる。

現在、約40の企業や団体が、社内の福利厚生制度の申請時に、 Famieeの証明書の利用を決定している。具体的には株式会社セールスフォース・ドットコム、損害保険ジャパン株式会社、マネックスグループ株式会社、株式会社丸井グループ、株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社ホットリンク、株式会社LIFULL、ラクスル株式会社などがあげられている。

またFamieeがブロックチェーン技術を活用した理由は、家族関係に関する証明書を発行するからには、発行主体の責任として、人間の一生の時間を超えて、親子二代三代以上(半永久的に)、証明書のデータが保管され、かつ、発行した証明書が検証可能な技術であると考えたからとのこと。

Famieeのパートナーシップ証明書は、申請から発⾏までスマホのアプリ上で⾏うことができる。現在はiOS版のみで、今後Android版にも対応していく予定。ちなみに証明書の紙での出力も可能とのことだ。

発行対象者の要件は、20歳以上であること、配偶者がいないこと及び相手方当事者以外の者とのパートナーシップがないこと、近親者でないこととなっている。また居住地の条件はない。

 証明書に関する情報の秘匿性とプライバシー保護に関して

証明書に関する情報の秘匿性とプライバシー保護に関しては、⼀⽣の時間を超え半永久的に証明書のデータが保管され、かつ検証可能なものにするため、ブロックチェーンの技術を活⽤している。

これにより、証明書のデータを保存するシステムは、中央管理者がいなくとも半永久的に稼働し、データの改ざんが不可能になり、⾼いセキュリティを担保できるようになっているようだ。また申請者の情報は、証明書発⾏時の本⼈確認や独⾝要件確認など、申請要件の確認のみに利⽤され、個⼈情報は、証明書発⾏直後にすべて破棄される。

⼀⽅、証明書の偽造検知や多重申請を防⽌するため、申請者情報は理論的に解読不可能な⽅法で符号化され、符号データのみがブロックチェーン上に記録される。

システムの全体像とプライバシー保護の仕組み 

申請するパートナーは、スマホでFamiee のアプリをダウンロードし、画⾯に従い利⽤申請し、申請書類の提出を⾏う。Famieeはサーバー上で申請の通知を受けると同時にKYC・本⼈確認の専業であるTRUSTDOCK 社に書類確認を委託する。確認が取れたのち、申請したパートナーの情報はハッシュ化されブロックチェーン上に保存される。

一方で、福利厚⽣制度を活⽤したい⼈もしくはサービスを受けたい⼈から Famieeの証明書を提出された企業や団体は、証明書の真がんを検証するため、証明書上にあるQR コードからFamieeの検証サイトにアクセスする。提出された証明書に記載された情報から⽣成されるハッシュと、ブロックチェーン上に保存されているハッシュ化されたデータを⽐較し、証明書の真正性が証明される。

あたらしい経済編集部は、一般社団法人Famiee代表理事、ホットリンク株式会社代表取締役社長 内山幸樹氏へ取材を行った。

Famiee代表理事 内山幸樹氏へ取材

ー上場企業は、投資を受ける側の側面として、LGBTを含めたダイバーシティーへはどのように対応すべきだとお考えでしょうか。

内山幸樹:LGBTを含めたダイバーシティに関して、自社内の制度改革は、対応して当たり前だと思います。

投資家に投資をしてもらいたいからというわけではなく、自分の身近にいる人が当たり前に生きれない環境は、上場企業でなくとも、経営者として当然変えていかなければいけないと思います。

また上場企業の代表であるからには、社会に対する影響力は非常に大きく、その影響力を、社内だけでなく、社会がLGBTやダイバーシティーを受け入れるようになるために活用し続けないといけないと思います。

導入企業や賛同者からのコメント

クオンタムリープ株式会社 代表取締役会⻑ ファウンダー出井伸之氏 「この問題は日本ではなかなか見えにくく社会の中に隠されていますが、まず見えるようにすることが最も大切です。

子どもの貧困問題と同様に、徐々に見えてくることで賛同者も増えてくると思います。Famieeの活動が、企業や個人から応援されて問題を認識することが一番重要だと思っています。頑張ってください」 とコメントしている。

マネックスグループ株式会社 代表執行役社⻑CEO 松本大氏は「LGBTは人口の 7%いると言われていますが、これは左利きの人や AB 型の人の割合と同じです。ごく 普通に、左利きの人や AB 型の人が周りいるように、ごく普通にLGBTの人もいます。

私たちマネックスグループ、マネックス証券では、就業規定や慶弔規定の上でLGBTのカップルも他の家族と同じ扱いにしています。Famieeのパートナーシップ証明書ももちろん受け入れます。当たり前のことが当たり前に受け入 れられる社会の早い実現を目指すFamieeプロジェクト、私たちも応援しています」とコメントしている。

株式会社JobRainbow 代表取締役 星賢人氏は「この事業は国という枠組みを超え、家族の在り方を再定義するすごいプロダクトになると確信しました。 真摯にさまざまな LGBT 当事者や多様な方々に向き合いながらFamiee の社会実装に取り組まれるメ ンバーの皆さんの姿を近くで見ていたからこそ今日という日を迎えられたことをうれしく思います。

また一人の LGBT 当事者としてもこれから Famiee がつくる未来にわくわくしています。ローンチおめでとうございます」とコメントしている。

女子サッカー選手 下山田志帆氏は「Famiee証明書発行おめでとうございます。現在、私自身、同性のパートナーがいますが、ライフプランを 考える時に諦めなくてはいけないことや選択してもできないことが多かったので、今回その選択肢が増えうれしく思っています。Famieeを中心に、自分に合う選択のできる人が一人でも多く増えていく社会になるといいと思います」とコメントしている。

R&C株式会社 代表取締役、一般社団法人保険乗合代理店協会 理事 足立哲真氏は「ローンチおめでとうございます。我々保険業界としても、まだまだパートナーシップ制度への対応の遅れはありますが、業界をあげて取り組んでいきたいと思っています。

我々は、パートナー共済そして保険事業としてほけんの未来を虹色にというミッションのもと活動しています。誰もが安心して保険に入れて残せる、そん な社会を一緒に作っていきたいと思います」とコメントしている。

江戶川病院 腫瘍血液内科部⻑ 兼 がん免疫治療センター⻑ 兼 プレシジョンメ ディスンセンター⻑ 明星智洋氏は「医療機関として、輸血や手術の同意書の取得や家族へのインフォームドコンセプトなどへの同席も、 Famieeの証明書の発行に伴って我々の医療機関では、通常の家族同等で扱います。その他 LGBT の方たちの権利を行使できるように少しでも体制の整備に努めていきたいと思います。一緒にこのプロジェ クトを成功させましょう」とコメントしている。

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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