ハッシュポートがフレセッツの全株取得
ブロックチェーン技術のコンサルティングを手掛ける株式会社ハッシュポート(HashPort)が、法人事業者向けのウォレット開発企業フレセッツ(Fressets)株式会社の全株を取得し、3月1日付で事業譲渡されることが日本経済新聞の報道で明らかになった。
また今回の取引に合わせてハッシュポートは、東京大学発のベンチャーキャピタルUTECとセレスから約3.5億円を調達するようだ。調達資金は、法人事業者向けのウォレット開発などに充てられる。
フレセッツの柚木庸輔代表取締役は退任し、TWO CUBES(トゥーキューブス)を設立している。TWO CUBESは柚木氏含め会計士3人で設立したコンサルティング企業。具体的には暗号資産のデューデリジェンス及びトークンバリュエーション研究、暗号資産交換業者のハンズオン支援などを行っているようで、今後幅広く事業を展開していくようだ。
あたらしい経済編集部はフレセッツ代表取締役 柚木庸輔氏とハッシュポート代表取締役 吉田世博氏へ取材を行った。
フレセッツ代表取締役 柚木庸輔氏へ取材
ー事業譲渡先としてハッシュポートを選択した理由はなんでしょうか?
柚木庸輔:譲渡先としてハッシュポートを選定した理由は、先方の営業能力及び企画能力と、フレセッツの技術能力が、双方補完関係となり、双方のポジティブな面を掛け合わせることで、シナジーを最大化できると考えたためです。
今後ハッシュポートが展開していく事業においてはウォレットの技術やノウハウが必須ですので、その点でも、フレセッツの技術者の良い面が発揮できると思っています。
ハッシュポート代表取締役 吉田世博氏へ取材
ーハッシュポートがフレセッツの株式を全株取得した理由を教えてください
吉田世博(以下吉田):ステークホルダーの開示タイミングの関係で、詳細につきましては3月1日(月)に皆様に正式にご報告させていただく予定でございます。
ー法人事業者向けのウォレット開発は、具体的にどのようなビジネスユースケースを想定して、取り組まれるのでしょうか?
吉田:ウォレット・カストディ分野は、暗号資産関連領域の中でも大きな成長が期待できる領域であると考えております。
米国では、機関投資家の参入や暗号資産規制の複雑化により、高度な専門性を持つウォレット・カストディ領域へのニーズが高まっております。
Anchorageをはじめとして専門事業者が複数誕生しており、CoinbaseによるXapo Institutions(現Coinbase Custody)買収など業界再編も進んでおります。
一方で、暗号資産交換業向けウォレットは高い技術力とセキュリティが求められ、日本においては選択肢が限られております。特に、海外の製品をそのまま利用するのではなく、日本の規制に最適化され、日本語で細やかなサポートが受けられるワンストップ型サービスを使いたいというニーズは根強く存在すると考えております。
高い技術力を持つ開発チームと、暗号資産交換業への豊富なコンサルティング経験を有する弊社が協力をすることで、日本の暗号資産交換業者の皆様に新たな選択肢を提供すると共に、来たる機関投資家の参入の受け皿を構築することを2019年より構想して参りました。その発表を近いうちに皆様にできることを大変楽しみにしております。
(images:iStocks/pgraphis・m_pavlov)